シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

低迷する韓国経済:抜本対策先送りのツケ、急増する家計債務  

2015年12月30日 09時29分23秒 | Weblog
不動産市場活性化のため規制緩和、借金増加で消費余力低下
 勤続6カ月で年収2200万ウォン(約230万円)の会社員、Aさんはすでに貯蓄銀行などいわゆる「第2金融圏」から2000万ウォン(約210万円)を借りた。それでも生活費が足りず、キャピタル会社などからさらに700万ウォン(約70万円)を借りようとしている。そうなると、1年分の給料を全て返済に回しても借金の完済ははるか遠くなる。
 韓国の家計債務が、まるでブレーキの故障で暴走する機関車のごとく、恐ろしいスピードで増加している。家計債務残高は9月末現在1166兆ウォン(約120兆円)で、今年に入り81兆ウォン(約8兆4000億円)増えた。増加幅は昨年通年(66兆ウォン=約6兆8000億円)をはるかに上回る。家計債務残高は毎年過去最高額を更新している。
 特に、家計向け融資のうち約半分は金利の高い貯蓄銀行など第2金融圏が貸し付けたものだ。韓国銀行(中央銀行)によると、所得に占める元利金の返済比率が40%を超えている世帯、または債務が資産よりも多い世帯は計112万世帯に上り、これら世帯の借金は143兆ウォン(約14兆7000億円)に達する。
 借金が増えても、返済能力が同時に上昇すれば大きな問題にはならないかもしれない。だが、韓国の家計債務の可処分所得比は昨年末基準で164%と、世界的な金融危機に見舞われた2008年の150%をも上回る。所得は毎年3-4%の増加にとどまっているのに対し、家計債務は6-7%ずつ増加したためだ。
 韓国は、世界的な金融危機以降、債務を減らして貯蓄を増やすという「苦痛の時間」を過ごした先進国とは逆を行った。米国は家計債務の可処分所得比が07年に143%とピークに達し、最近は114%まで低下した。金融危機直前に180%まで上昇した英国は、今では154%に下がっている。債務の負担が軽くなったこれらの国では、消費などの内需が持ち直し、景気が回復に差し掛かったと評価される。
 これに対し、家計債務を減らす努力を怠った韓国は、さらに膨らんだ借金に苦しみ、消費余力が落ちている。米国が利上げに踏み切れば市中金利が上昇に転じ、借金を返せなくなる世帯が増えるとの危惧も高まっている。
 政府は家計債務の増加にブレーキをかけようと、ここ5年間で6回にわたり骨太の対策を発表した。だが不動産市場の活性化を通じた景気回復策と重なり、掛け声倒れに終わるのが常だった。急激な消費の冷え込みが景気回復の火種を消してしまいかねないという懸念も、家計債務に対する抜本対策を先送りした理由だ。専門家らは「このまま放置すれば、先送りしてきた『苦痛の時間』が一度に訪れるかもしれない」と懸念を強めている。
方顕哲(パン・ヒョンチョル)記者
韓国大手新聞 朝鮮日報15年12月30日記事抜粋


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