シニア花井の韓国余話

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北朝鮮の主張を反映した民主労総の「統一教科書」

2012年06月17日 22時39分33秒 | Weblog
韓国大手紙・ 朝鮮日報12年6月16日記事抜粋
 全国民主労働組合総連盟(民主労総)は5月に『労働者統一教科書-労働者よ、統一をお願い』を発行したが、この本は「北朝鮮の実情は北朝鮮の視角から見るべき」とする、いわゆる「内在的観点」に基づいて記述されている。3代世襲、核開発、北朝鮮住民と脱北者の人権問題なども、北朝鮮の立場を理解すれば全て理由があるという。また「南韓(韓国)は米国の植民地」という主張も、この本で貫かれている。
■核開発により社会主義を守る
 同書は「北朝鮮が核を選択した理由」について「米国が北朝鮮を孤立させたため」としている。6・25戦争(朝鮮戦争)から3日後の1950年6月28日に始まった、米国による北朝鮮封鎖政策については「(80年代末)社会主義諸国が相次いで崩壊した際、さらに激しくなった」と記載されている。これによって北朝鮮は危機感を持ち、生存のために核開発の道を選択した、というのが同書の主張だ。同書ではさらに(90年代 の苦難の行軍を乗り切り、社会主義国家体制を守り抜くために、北朝鮮は“先軍政治”、つまり軍事力強化や国防産業の強化を進めた」「(最終的に)2005年、米国を相手に政府次元で核開発を宣言した」としている。同書にはまた「北朝鮮は米国の軍事的脅威や孤立の中で“戦争には戦争で対抗する”という対応策に乗り出した」「北朝鮮は世界の中で自分たちの存在を知らしめ、社会主義体制を守ってきたと言える」とも記載されている。その一方で「今北朝鮮が訴えているのは“韓半島(朝鮮半島)の非核化”だ。この点に注目すべきだ」と主張している。つまり「北朝鮮の核武装は米国の核の脅威に対抗するため」というわけだが、これはまさに北朝鮮の言い分を反映したものだ。
■3代世襲という言葉は「呪文のような魔術」
 同書は3代世襲と人権問題についても、徹底して「内在的観点」の立場を貫いている。同書は3代世襲について「呪文のような魔術」とした上で「北朝鮮に対する考え方を一度に変える魔法の呪文のようなもの」と表現した。同書は「社会主義体制で最も重要なのは思想であり、イデオロギー。北朝鮮は権力の移管こそ、社会主義の変革で重要との認識を持つようになった。90年代に社会主義制度そのものが崩壊した原因も、権力移管の失敗から始まった」と主張している。同書は「それがなぜ『息子でなければならないのか』という問題について、北朝鮮は『説明する理由はない。そのような見方で後継者を見つめることこそ、体制を非難する人間たちの考え方に過ぎない』としている」と記載し、北朝鮮の主張をそのまま紹介した。北朝鮮住民や脱北者の人権問題に対しても労働新聞などの資料を引用し、北朝鮮の主張を紹介している。たとえば脱北者の強制送還問題については「北朝鮮の現実と立場を理解し、慎重に対処しなければならない」とし、中国政府関係者の発言を引用しながら「韓国の一部メディアが脱北者問題を政治問題化しているが、これは事実に反することで、問題解決の役に立たない」と主張している。
■内戦が米国の介入で全面戦争に
 同書は南北分断も米国の責任としている。「米軍が進駐した南韓では、植民地統治体制が続いており、新たな国を建設する夢は挫折した。それによって民衆の生活はさらに厳しくなっている」「米軍政はわが民族を植民地という過去のトンネルに再び引き戻した」と非難した 6・25戦争が起こった原因についても、東国大学の姜禎求教授の主張をそのまま引用している。その内容は「南韓の単独選挙と単独政府樹立に反対する全民衆の抗争から始まり、分断を解消するための民族による内戦に拡大したが、後に米国の介入により事態が一変し、性格が異なる全面戦争に発展した」というものだ。民主労総は同書で韓国を「隷属的で親米に偏向している」と非難した。さらにこれを克服することが、進歩的民主主義を実現する道だと主張した。また、韓国社会の各分野での指導者に対しては「米国の世界観が骨の髄まで染みこんだ親米主義者」と表現している。同書には民主労総のキム・ヨンフン委員長が書いた発刊の辞があるだけで、筆者の名前は明らかにされておらず、共同で執筆された可能性が高い。主な内容は国内外の左翼系学者の主張や、労働新聞の内容がそのまま引用されており、彼らが言いたいことは全て網羅されているようだ。民主労総は今後2カ月にわたり、自分たちの組織に統一学校を設け、この教科書を使って教育や討論を行う予定だ。


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