おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

六月花形歌舞伎 通し狂言「鯉つかみ」

2015-06-22 22:46:45 | 観たもの
 大阪松竹座での「通し狂言『鯉つかみ』」です。6月13日初日、26日千穐楽という通常の公演期間の約半分という、変則的な歌舞伎公演です。愛之助さんのブログによれば、もともと6月の松竹座は、上旬にOSKの公演があるだけで、後は何も入ってなかったそうで、「それならば…」と愛之助さんが後半を受け持ちましょうということで決まった公演だそうです。「鯉つかみ」という演目は発表されましたがそれ以外の情報が全く伝わってこなくて、切符は買ったものの、本当に幕は開くのだろうかと思ってたんですが、急遽決まったからだったんですね。

 歌舞伎座は孝夫さん、吉右衛門さん、菊五郎さん、幸四郎さんの大顔合わせ、博多座は鴈治郎襲名披露と、主だった役者さんがほとんどそちらに行ってしまっているので、なかなか座組みも大変だったとお察しします。ただ、その分、普段大きなお役がつかないお弟子さんたちが活躍する場面が増えるので、それはそれで楽しむことができました。一昨日、記事にさせていただいたりき彌さん、まだ名題下さんですが、序幕で話の発端となる大百足の生贄になる庄屋娘という重要なお役をされていましたし、千次郎さんや蔦之助さん(左團次センセイのお弟子さん)といったお若い名題さんが主役に絡んでいかれてました。「こんなに台詞がたくさんあるお役でよかったね」と親戚のおばちゃんのような気分で客席から見守って?おりました。

 もちろん座頭の愛之助さんは十二役早変わりあり、宙乗りありの大車輪の大活躍です。ご本人が言いだしっぺの公演なので、お客さんの入りをいつも以上に気にされていたみたいですが、満員御礼の日も出たみたいで、お客さんはよく入っているようです。私が見た土曜の夜の部もほぼ満席でした。

 十二役早変わりですが、以前「伊達の十役」というのは見たことがありますが、十二役は初めてです。ちょうど私が行く前の日に蘭鋳郎さまがブログで感想を書いてくださっていて、おかげで少し予習させていただきましたが、とてもではありませんが、覚えることはできません。序幕は番附片手に見てましたが、二幕目以降はあまりの役の多さについていけず、番附は放置、とりあえず舞台を見ておりました。まあ、それでも、衣装や鬘が変わるので、「変わった」ということは認識できました。そして、見た目だけでなく、ちゃんと役役を演じ分けていらっしゃるので、混乱することなく、お話についていくことができました。たぶん、脚本もいいんでしょうね。ボーっと見ててもわかるようにストーリーを組み立てて、登場人物を動かしていらっしゃるんでしょう。水口一夫先生、すごいです。

 ただ、正直なところ、そう頑張らんでも…とは思いました。「別に十二役もせんでもええんちゃうん?明治座と同じ六役でよかったんちゃうん?」と…。共演なさる役者さんのご都合もあるとは思うのですが。番附を見ると、歌舞伎役者さんではない方も大勢ご出演のようですし。

 「鯉つかみ」という演目、私は永楽館での初演を見ています。それも最前列で水浴びをしながら拝見しました(←ちょっと自慢です)。それから3年の間に今回を入れて5回かかっています。短期間にこれだけ再演される演目も珍しいと思います。見た目が派手で、特に最後の水浴びのところが盛り上がるので、いいんでしょうね。愛之助さんファンの方には「また『鯉』?」って感じだったみたいですが。

 今回も客席は大いに盛り上がりました。私は例によって三階席なので、水浴びの場面は遠くから見ているだけでしたが、鯉役の佑次郎さんもすっかりお役が身につき、思いっきり暴れたはりました。仕掛けもいろいろあって、上からでも面白く見ておりました。

 秀太郎さんが「ケレンの中にもちゃんとした歌舞伎の舞台をご覧いただきたい」とおっしゃっていましたが、ちゃんと歌舞伎の舞台になっていたように思います。決してテープ音楽ではなく、義太夫も長唄?もありましたから。

 あと、気になるのは、愛之助さんがこの後来年8月まで歌舞伎の本公演にご出演がないとか。南座の鴈治郎襲名披露もパスなんでしょうか。上方歌舞伎でこれだけお客さんを呼べる役者さんはいらっしゃらないので(孝夫さんはもちろんいらっしゃいますが、京都、大阪の公演って“出張”でいらっしゃっているような感じなので)、毎月とまでは言いませんがコンスタントに歌舞伎出演はお続けいただき、歌舞伎役者・片岡愛之助で頑張っていただきたいと願っております。

 
 
 十二役です。ポスター・チラシにもあるんですが、お役の名前がないので、できればこの形の一枚もののプリントのようなものが欲しかったです。

 
 終演直後の一階席です。暗くてわかりづらいですが、5列目までビニールのポンチョやシートが配られました。

 
 
 お弁当はとん蝶で済ませました。高島屋へ行きたかったんですが、その時間がなく、中途半端なお弁当なら、これのほうがシンプルで美味しいので。お値段も非常にリーズナブルですし。
コメント (4)
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