福島原発の事故以降、原子力安全保安院(経済産業省)は毎日のようにニュースに登場するし、文部科学省も放射線のデータなどを公表しているし、農作物の検査などは厚生労働省が結果などを発表している。
こうして考えたときに、今の状況の中でもっと重要なはずなのに、名前が全くといっていいほど聞かれない行政機関が一つある。大気が放射能が大量に放出され、水や土壌、生態系における環境汚染が進行している中、環境省が全くといっていいほど静かであるのはとても残念だ。
日本の環境政策の根幹をなしている環境基本法(1993年)は、第2条で「環境への負荷」を定義している。
そしてその上で、人類の存続の基盤である環境が人間活動による負荷によって損なわれないようにそれをきちんと保全する必要があることを指摘し、そして、その負荷をできるだけ軽減するために持続可能な社会を構築していくことがうたわれている。
何とも素晴らしい! (ただ、この作文を小学校の国語の先生が読んだら、赤ペンだらけになって帰ってきそうだ・・・。一文で書き切ろうとするからだろうか)
ただ、環境省の政策担当者がいかに環境・生態系保全に対して意欲を燃やしていても、その高い志は早くも第13条でくじかれてしまう。
つまり、放射性物質による大気汚染・水質汚濁・土壌汚染については、この環境基本法の範囲外であり、環境省の政策事項ではないというのだ。
しかも、さらに問題であるのは「原子力基本法その他の関係法律で定める」という部分が空振りで終わっている点だ。つまり、この第13条を具現化する条項が「原子力基本法その他の関係法律」にないというのだ。(三陸の海を放射能から守る岩手の会)
また、川田龍平 参議院議員の環境委員会での質問を紹介しているこのブログによると、
とある。つまり、放射性物質による大気汚染等についても、環境基本法がうたう基本理念が適用されるものの、その法律はその政策領域をカバーしておらず、しかもそれをカバーするはずの原子力基本法などには、その詳細規定が見当たらない、という中途半端な状態になっているようだ。
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このことは、私が良く一緒に仕事をするレーナ・リンダルさんのTwitterで知った。彼女はここに、
肝心なときに何も動けない環境省というのは非常に残念だ。以前も触れたように、スウェーデンでは原子力事業の監督機関は、環境省に属する放射線安全庁である。
<以前の書き込み>
2011-03-28 原発の安全性をどの省が監督するべきか?
こうして考えたときに、今の状況の中でもっと重要なはずなのに、名前が全くといっていいほど聞かれない行政機関が一つある。大気が放射能が大量に放出され、水や土壌、生態系における環境汚染が進行している中、環境省が全くといっていいほど静かであるのはとても残念だ。
日本の環境政策の根幹をなしている環境基本法(1993年)は、第2条で「環境への負荷」を定義している。
(定義)
第二条 この法律において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
そしてその上で、人類の存続の基盤である環境が人間活動による負荷によって損なわれないようにそれをきちんと保全する必要があることを指摘し、そして、その負荷をできるだけ軽減するために持続可能な社会を構築していくことがうたわれている。
(環境の恵沢の享受と継承等)
第三条 環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。
(環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等)
第四条 環境の保全は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない。
何とも素晴らしい! (ただ、この作文を小学校の国語の先生が読んだら、赤ペンだらけになって帰ってきそうだ・・・。一文で書き切ろうとするからだろうか)
ただ、環境省の政策担当者がいかに環境・生態系保全に対して意欲を燃やしていても、その高い志は早くも第13条でくじかれてしまう。
(放射性物質による大気の汚染等の防止)
第十三条 放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法 (昭和三十年法律第百八十六号)その他の関係法律で定めるところによる。
つまり、放射性物質による大気汚染・水質汚濁・土壌汚染については、この環境基本法の範囲外であり、環境省の政策事項ではないというのだ。
しかも、さらに問題であるのは「原子力基本法その他の関係法律で定める」という部分が空振りで終わっている点だ。つまり、この第13条を具現化する条項が「原子力基本法その他の関係法律」にないというのだ。(三陸の海を放射能から守る岩手の会)
また、川田龍平 参議院議員の環境委員会での質問を紹介しているこのブログによると、
この法案(注:環境基本法)策定の93年に宮沢首相は「法第3条と原子力関連法との関係でございますが、法第3条は 環境に関する認識とその保全とそのあり方についての基本理念を規定したものであり、その理念は 放射性物質による大気汚染等につきましても当然運用されます 」と明快な答弁をされています
とある。つまり、放射性物質による大気汚染等についても、環境基本法がうたう基本理念が適用されるものの、その法律はその政策領域をカバーしておらず、しかもそれをカバーするはずの原子力基本法などには、その詳細規定が見当たらない、という中途半端な状態になっているようだ。
このことは、私が良く一緒に仕事をするレーナ・リンダルさんのTwitterで知った。彼女はここに、
最近、いろいろな反原発のデモがあるけれど「環境基本法第13条の撤廃を」というデモもあっていいのでは? 環境省の役割を拡大すべき。今環境省がとても静かだというのはとても残念。大気、水、土壌の放射能公害が明らかに起こっているのに。日本は広島だけではなく水俣の国でもあるとの旨のメッセージを書いていた。
肝心なときに何も動けない環境省というのは非常に残念だ。以前も触れたように、スウェーデンでは原子力事業の監督機関は、環境省に属する放射線安全庁である。
<以前の書き込み>
2011-03-28 原発の安全性をどの省が監督するべきか?
環境省の権限を拡大するのは大変だろうな
でも気象庁と原子力安全保安院は環境省の下に入るべきとは思う
まだそんなレベルなんだな
実際そうだよな
今日、こんな記事をみつけました。
少しは明るい材料だなと思いました。
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042101001090.html
環境省には、もっと頑張って活躍して欲しいですね。
ただ、この報告書にしても自分たちの能力を生かすのではなく、「民間調査会社に調査を委託」したものだというところは、残念ですが。そういうテーマに関心を持って打ち込んで、能力や知識を培って、積極的に推し進めていくために経済産業省や国土交通省と対等にやり合って行こうとする方はおられないのでしょうか? それともそのような専門性を伸ばしていくことが難しい組織構造なのでしょうか?
初心者にもわかりやすく、記事を拝読させていただいています。
ありがとうございます。
ご存じかも知れませんが、スウェ―デンのエネルギー政策も紹介されている 鎌仲ひとみさん監督の映画が、東京では一部で関心が高まっています。
http://888earth.net/index.html
これも見ても、日本はあらゆる面で遅れていると感じます。