スウェーデンの今
スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員
 



今週日曜日のスウェーデン・ラジオで、日本の男女平等に関するルポタージュを放送していました。日本の(元)議員や大臣のインタビューもあります。要旨を以下に掲載します。

ルポタージュは下のリンクで聞けます。
日本の男女平等の現状(スウェーデン・ラジオ:2010年1月31日)
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<東京の郊外に住む44歳の主婦>
子供と夫を送り出した後、食器洗いや掃除を済ませる。自由な時間は有意義に使って、何か新しいことを学びたい。テニスをしたり、ダンス講座に通うことが孤独の対策になっている。夫婦はともにIT関連を仕事をしていたが、子供ができてから妻は仕事を辞めた。夫は他の日本男性と同様、夜遅くならないと家に戻ってこない。だから、平日は家事を手伝うことはない。

日本の価値観も徐々に変化しつつあるものの、北欧と比べると非常にまだまだ異なる部分がたくさんある。日本人の4割「男は仕事で稼ぎ、女は家庭に残るべき」と考えている。この考え方は女性の間でも一般的だ。

この主婦はパートの仕事をしたいと思っている。他の友達もパートをしている人が多い。子供を持つ女性が仕事をしたいと思ったとき、パートくらいしか仕事がない。しかし、賃金は比較的低いうえ、雇用が安定していない。


さて、霞ヶ関の官庁街。建物は大きいが、グレーで古びれた感じがする。外見はスウェーデンの大都市の郊外の集合住宅地に似ている。ここで働く人はみなスーツを着ている。

日本では昨年の選挙で政権が交代した。自民党が負け、民主党や社民党などからなる中道左派連立政権が誕生した。新政権は、男女平等に関して高い意欲を持っているが、男性がやはり多数を占めている。例えば、副大臣ポストは22あるが女性はたった1人だけだ。


<辻本清美・国土交通副大臣、社民党>
彼女は、男女平等の現状に非常に不満だ。「今日は霞ヶ関で100人以上の職員に会ったが、女性は自分だけだった」

彼女は、以前から国会議員をしてきたが、女性議員が男性議員とは同等に扱われず低く見られている、と感じている。

昨年の選挙で女性の国会議員は54人となった。日本では記録的な数だ。しかし、比率で見るとたった11%でしかない。辻本氏は「女性議員が少なくとも3分の1になることが目標だ。そのためには、医療・育児や環境に関する政策をよくしていく必要がある」と語る。


官庁街からさほど遠くないところに事務所を構えているのは自民党の元議員であり、女性議員として日本で有名だった猪口邦子氏だ。以前は、大学教授や大使、そして、日本で初めての少子化対策・男女共同参画担当大臣を務めたことがあるが、現在は政界を退いた。

<猪口邦子氏>
昨年の選挙の際に、自民党が比例代表名簿で下位の順位しか与えようとしなかった理由は、自分が「政治エリートの家系の出身ではないうえに、女性であったことだ」と語る。「女性は、自民党の中で地位を維持するのが難しい。政治に足を踏み入れるのはそれ以上に難しい」

日本の男女平等が遅れてきたことについては、戦後復興のなかで経済政策ばかりが優先されるなか、社会政策の発展が遅れたためだという。


日本の新政権は、子育て世帯に対する給付の引き上げや労働時間の10%減を目標として掲げている。そして、それを達成するために努力しているのは、新しい少子化対策・男女共同参画担当大臣となった福島瑞穂氏だ。彼女は社民党党首であり、言ってみれば日本の「モナ・サリーン」だ(注:モナ・サリーンはスウェーデン社民党の女性党首)。しかし、あまり適切な比較ではないかもしれない。というのも、社民党は日本では小さな政党に過ぎないからだ。

<福島瑞穂・少子化対策・男女共同参画担当大臣、社民党>
「社民党は政権の中では新参者だが、大臣として、男女平等の分野で適切な政策が行われるよう、指導力を発揮したい」と語る彼女はスウェーデンを好んでおり、男女平等運動の一翼を担ったスウェーデンのミュルダール夫妻の書籍から童話『長くつ下のピッピ』まで様々なスウェーデン関連書物を読んでいる。

しかも彼女は、非常に珍しい政治家だ。子供を持っているものの夫とは籍を入れていないからだ。「私はスウェーデンのサンボー法(パートナー法)を実践している」と語る。

彼女は、自分の娘のような婚外子の権利の向上にも努め、相続の際の同権を実現しようとしている。また、結婚した女性が自分の苗字を維持できるようにもしたい。日本では現在、それが不可能なのだ。

そして、保育所の数を増やしていくことが必要だとも考えている。3歳以下の子供のうち保育所に通っている割合は、わずか2割だ。育児サービスに費やす予算を増額しなければならない、と彼女は語る。


<再び最初に登場した主婦>
条件のよいパートの仕事を見つけるのは難しいが、何とかなると考えている。もしくは、勉強をしてみたい。とにかく家庭から外に出て、社会の一員になりたいと彼女は言っている。

(以上、ルポタージュの和訳でした。)
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日本にいればそれが普通だと思えることでも、一歩距離を置いて改めて見てみると、それが異様に思えることがある。男女平等もその一つだ。

女性の大学進学率が上昇してきたが、高い学費を払って大学にせっかく通って仕事を得ても、結婚して子供を持つようになると、多くの女性が仕事を辞めざるを得ない現状は、社会的に見て悲惨だと思う。経済的に見ても、それまで費やしてきた学費の無駄だし、人的資源の大きな浪費だとしか思えない。

その一方で、家計を支えなければならない男性は、長い就業時間に耐えなければならない。スウェーデンのように共働きの社会であれば、家計に必要な所得を二人で分担して稼ぐわけだが、その分を一人で稼がなければならないとなると、就業時間がその分、長くならざるを得ない。

しかも、長い就業時間がフルタイム労働における標準形であるから、夫婦が二人ともフルタイムに就いてしまうと家庭との両立が不可能となり、結局どちらかが仕事を辞めるか、パートタイムに就かざるを得ない。自分の能力を生かして、社会で働き、自己実現を果たしたい女性にとっては、家庭を持つことはそのような夢を諦めることを意味する。男性にはそのような夢が許されるのに、女性だったらダメ、というのは理不尽ではないか?

一人ひとりが自分の意欲や能力に応じて自分を生かし、満足した人生を送られる社会を目指して、日本の社会が少しずつ変わっていって欲しいと思う。そのためには制度の改革ももちろん必要だが、それ以上に意識の改革も必要だと思う。つまり、自分は務めている企業の一部だとか、通っている学校の一員だとか、もっと大きな話として日本人だとかというような集団意識にとらわれず、そして、男性だから・女性だからこうしなければならない、というような制約にとらわれずに、「まずは自分という人間がいて、それが何をしたいのか」という個人の意識を高めていく必要があると思う。この意識が日本では特に弱いと感じる。そして、そのうえで個人の自己実現をサポートするような制度作りを政策サイドから行っていくことが必要となる。


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コメント
 
 
 
ちょっと一言 (日本のおじさん)
2010-02-07 05:04:33
いつも楽しく読ませていただいております。GMの破綻以降、SAABが気になっていたところ、スウェーデンの空気を感じられる貴重な貴ブログを発見し、それ以来の読者です。

ちょっと現在の空気とずれているかな、と思ったので一言。
「まずは自分という人間がいて、それが何をしたいのか」行き過ぎた個人主義が現在の日本の問題と考えているひとりです。
すでにこの考え方は限界を迎え、日本という国家、日本人の良さという大事なものをもう一度見直そう、というのが現在の空気ではないでしょうか。
(しかも、政策サイドからサポートされないと実現できない個人の自己実現ってとっても矛盾している気がしませんか?)
個人の自己実現の追求、その積み重ねの結果が金融工学によって生み出されたフェイクマネー、その上に実現された幻想の世界、だったのではないでしょうか。(絶賛崩壊中ですが)
欧州における高福祉の政治体制も、金融が永遠に成長していく、という幻想の上に成り立っており、こらから大変な時代を迎えますよね。まったく、すごい時代にうまれてしまったもんですね。
しかもスウェーデンにお住まいの佐藤様は、よりそれを近くでご覧になることになるのですよね...

経済、社会の専門家でもなんでもない、40歳間近のおじさんのひとりごとですが、何か参考になれば。
(いや、ちょっと黙ってられなくなっただけですね。無視いただいても結構です)
 
 
 
Unknown (Yoshi)
2010-02-07 09:23:51
コメントありがとうございます。

現在の日本の空気がどうであれ、自分の考えを持つということが大切だと思います。時代の空気を読んで、ただそれに自分を合わせていくだとか、他人の顔色を窺いながらものを考えるなどというのは、私の嫌いなことです。

「まずは自分という人間がいて、それが何をしたいのか」と書いたのは、集団的なアイデンティティー以前の問題として、自分という意識が欠如していることを私は問題だと捉えているからです。

小さいときから制服を着せられ、学校への帰属意識を教えられ、社会に出たら今度は企業社会や自分の属する組織への帰属意識ばかりを植え付けられていくことに慣れきってしまっていれば、それが問題と感じられなくなってしまうのかもしれません。

あとは価値観の問題です。日本という国家だとか日本人だということが何にもまして重要だと考えるのか、それとも自分というしっかりとした「根っこ」をしっかりと持った上で、家族があり、自分の暮らす社会があり、そして、その後に国家だとか統治機構だといったものを考えていくべきなのか、ということです。明らかに私の考えは後者です。

自分のアイデンティティーがしっかりなければ、根無し草です。それこそ「時代の空気」に流されるだけになってしまいます。

そういう意味で私の考えは「個人主義」ですが、「個人主義」というとあなたのような短絡的な解釈、つまり「自分勝手に何をしても構わないということ」という早とちりをする人が多く、閉口してしまいます。

>しかも、政策サイドからサポートされないと実現できない個人の自己実現ってとっても矛盾している気がしませんか?

これはよく意味が分かりません。市場や伝統的な社会に任せていては解決できない問題は、政策サイドからサポートを行うことで解決の道を図らなければなりません。しかし、これも価値観の問題ですので、あなたにそのような問題が見えないのであれば、それはそれで結構です。

それ以降の、「個人の自己実現の追求」と金融工学やフェイクマネーうんぬんは、話の飛躍です。
 
 
 
Unknown (dojin)
2010-02-07 09:47:53
お世話になってます。いまのところウプサラで順調に生活しています。

個人の意識の確立と言う話は近代化以降の日本人が喧々諤々やってきたテーマで、私はとても参入する準備はできていませんし、労働市場の研究もちゃんとフォローしてないのでアレですが、私の周りを見ると、高学歴層の女性とそうでない女性との差が顕著です。高学歴層については、企業側もだいぶ配慮し始めているし、優秀な女性はそういう職場を選んでキャリア形成を考えているようです。

ただ、この「高学歴層」ってのはほんの一部の高学歴層である可能性が高く、「そこそこ高学歴」層でさえも結婚・出産・子育てでキャリアを降りていく(降りざるをえない)予備軍な気もします。男性の性別分業意識についてはよくわかりませんが、同世代(1980年代前半生まれ)でも依然強固な層は確実にいますね。

そういう意味では、このままでは私の世代では性別分業が強固に残存していくのはほぼ間違いないように思います。これは労働市場と社会保障制度が組み合わさった問題で、そこに人々の規範意識も絡んでくるという点で、どういう解決(する必要はないという意見もいるでしょうが)の糸口があるかなかなか難しいですね。まぁいろんな人が努力しているようです。

ちなみにこんな論文もあるようです。
The Sex Wage Gap in Japan and Sweden: The Role of Human Capital, Workplace Sex Composition, and Family Responsibility
http://esr.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/23/2/203

ちなみに社民の福島さんはスウェーデンが好きとのことですが、日本の社民の税制改革案は、スウェーデン社民が1991年に行った税制改革(個人所得税の累進性の緩和、法人所得税の法定税率の引き下げ、課税ベースの拡大、児童手当拡充等)と多くの点で真逆ですが、そこらへんはどう考えているのでしょう。どっちがいいとか悪いとかではなく、気になるところです。長文失礼致しました。
 
 
 
Unknown (kumoki)
2010-02-07 10:15:38
もし日本人が、自分の考えを発言し実行することが苦手だとしたら、それはやはり教育に大きな理由があるようにわたしも思います(Yoshiさんが帰属意識のところでそう考えられたと理解しました)。自分でものを考えたり他人と議論したりするのは、訓練すればどの国の人間でもできるようになるはずのことだからです。
日本のおじさんの書かれた「日本人の良さ」が具体的に何を指すのか分かりませんが、もしそれが本来の日本人の人間としての良さについてであれば、それは「正直である」など、どの国の人も本来持っているはずの良さではないでしょうか。個人主義とも表現されるスウェーデンの社会は、意外にも「自分に正直であり、他人にも誠実である」が基盤のところで作用しているように見受けられます。つまり、個人の態度がそうであるということです。

ところで、根っこが「個」から生えてくるのものなのか、社会から生えた根っこが「個」なのか。これを読んで両方ではないかと思いました。
 
 
 
Unknown (dojin)
2010-02-07 10:30:49
連投失礼します。

>そこらへんはどう考えているのでしょう

これは、Yoshiさんに尋ねているわけではないです。すみません。ただ、最近1991年の二元的所得税への税制改革をいろいろ調べる機会があって、スウェーデン社民ていうのはやはり面白いなぁと思いまして。

あと、最近、「ゆとり教育」の寺脇氏とフィンランド在住の方もツイッターで議論されてましたが、私自身は「個の確立」うんぬんはあまり問題ではないと思っています(参入しないといいながら参入してしまいました)。学校や企業への帰属意識というのは近年は労働市場の流動性もあってけっこう低くなっていると思いますし、ナショナリズムも日本では一部の先鋭化した人たちを除けばたいしたことはない。では「個」の強固なアイデンティティがあるかといえば、そんなにないと思いますが、それが労働市場や家事育児の性別分業の解決のネックになるとは思えないです。

性別分業を緩和する上で、明らかにネックになる日本人の意識があるとすれば、今の私がとりあえず思いつくのはクソ仕事さんブログがいつも糾弾している「社蓄」意識です。これは、実はその言葉とは裏腹に帰属意識うんぬんとあまり関係なしに日本の各種取引に通低する「顧客第一主義」の言い換えで、2年半たらずの会社人生活で私(帰属意識はほぼゼロでした)も知らず知らずにはまっていました。

私は基本的に水掛論になる精神論は好みませんが、個の確立うんぬんより先に、この顧客第一主義の仕事文化を変えるほうが効果的だと思います。ただ一方で、このような大きな「意識改革」や「文化改革」がなくても、ある程度の性別分業の緩和や長時間労働の緩和は可能だと信じたいですが。

 
 
 
Unknown (羅愁)
2010-02-07 20:57:27
こんにちは.いつもブログを楽しく拝見しています.

コメントを書いたのですが,あまりに長かったため,まこと勝手ながら,こちらのブログに掲載させて頂きましました.すみません.

http://rashu.seesaa.net/?1265543577

 
 
 
「凋落した福祉国家スウェーデンの惨状」?? (Unknown)
2010-02-07 23:01:28
この記事との直接の関係はないので恐縮ですが、以下のネタはどう思われますか?

http://ameblo.jp/sanntyan/entry-10150031629.html
http://b.hatena.ne.jp/entry/ameblo.jp/sanntyan/entry-10150031629.html

「女性、女性、全て女性の社会進出が悪い」と言わんばかりの雰囲気が、胡散臭さ爆発なんですけどね、私は反論するだけの知識も経験がないのですよ。
 
 
 
線引きの幅 (WaterBlue)
2010-02-08 06:15:31
いつも拝読させて頂いております。
個人的には女性の社会進出自体については賛成です。
労働力も増えますし、男性にも自分の子供と過ごせる
時間が増えるメリットもありますので…。

ただイスラムや中国と、西側諸国の法制度や人権等の
問題についても度々思うのですが、
どこまでを「○○国は意識が遅れている」と認識し、
どこまでを「多様性を認めるべきか」とするのか
線引きの問題はあるようにも、少し思います。

過去を見ると産制と優生保護法や、昔の帝国主義は
「疑いのない善きもの」として過ちを犯したけれど
現在でも一部のグリーニーや人権活動家の言動には
独善や全体主義の危険性を感じる時もあります。
その一方で地域や時代に関わらず、変えていかねば
ならない普遍的な問題もあると思います。

しかし解答がなく、自分達で考えて決めるという姿勢を
重視するならば、地域によってバラ付きが出てしまう事を
認めねばならなくなるのではないでしょうか。
この点で「先進的な○○国と比べて~」という意見の
組み立て方には正直、少し違和感を感じる部分がありますし
仮に「分かっていない人達(この視点も差別性あるけど)」に
よる衆愚政治であっても、全ての国が北欧と同じ社会形態に
至るべきなのかな、という疑問は少しあります。
 
 
 
多様性とは (WaterBlue)
2010-02-08 06:23:01
連続で申し訳ありません。上記のように書いた理由なのですが

■夫婦別姓制度を哲学する
http://uaa-nikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-7013.html

私は「なあなあ」は分かりにくいし、団体への帰属意識が薄いので
幼いうちから議論や自己責任と自己決定を重視する社会の方がいい
とは思うのですが、上記のblogの意見を読んで、
人によってはストレスを強いる生き方なんだろうと理解できますし
そういう社会を望んではいない大人や子供もいるのが自然なの
だろうな、という印象を受けました。

けっきょく「選択の幅がある社会」という状況が望ましいと思うので
政治的な立場としては別姓でいいという事になりますが、ただ
主観もあるけど、福島瑞穂氏が著書で主張したような
「すべての女性は~べき」になってしまうと違和感を感じます。

夫婦同姓も主婦を選択するのもひとつの生き方なので、それを
「○○国では何%がXXなので、△△国も同じにすべき」では変だし
「アレを選ぶ人は後進的で愚か」となると独善というか。
そういう意見の尊重の幅と同時に、アイデンティティの拠り所と
しての宗教的な精神基盤が薄い日本の場合はどうなんだろうか
いろいろ思うところもあります。

あと荻上チキ氏も少し書いておられましたが、日本で語られる
北欧のお話やイメージは、極端にユートピアとディストピアの
間を揺れているような気もします。
 
 
 
Unknown (Yoshi)
2010-02-08 07:00:49
>「凋落した福祉国家スウェーデンの惨状」??

色眼鏡を通して物事を見て、すべてをバラ色に描くのはおかしいと思いますが、その反動として悪いところばかりをことさらに描きたてて、鬼の首を取った気になっている、一部の論説にも違和感を感じます。

ブログ等でも、わずかな事例をことさら一般化してスウェーデン社会全体に当てはめてようとしているものも多々あります。

問題の全くない社会などありません。程度の差はあれ、どこの社会も様々な問題に悩まされており、そして、多くの場合、問題は複数の社会に共通しているものです。

大切なのは、では様々な問題を解決するために以下に議論し、努力し、糸口を探っていこうとするのか。それとも、シニカルになって「やっぱり無理なんだ」と最初から何もしようとしないのか。

>この記事との直接の関係はないので恐縮ですが、以下のネタはどう思われますか?

直接関係ないので逐一コメントはしませんが、バランスの取れていない週刊誌の記事や、悪いところばかりにしか目にやらず、わずかな事例をあたかも一般的な話として取り上げたり、統計の扱い方にも問題がある武田氏の本は、いくら読んでも真面目な議論の土台にはなりません。
 
 
 
Unknown (Yoshi)
2010-02-08 07:35:20
>線引きの幅 (WaterBlue)

>過去を見ると産制と優生保護法や、昔の帝国主義は「疑いのない善きもの」として過ちを犯したけれど現在でも一部のグリーニーや人権活動家の言動には独善や全体主義の危険性を感じる時もあります。その一方で地域や時代に関わらず、変えていかねばならない普遍的な問題もあると思います。


おっしゃるとおり、普遍的なものが何か、を議論するのは難しいでしょう。私が言いたいのは、自分がどのような軸足を持ち、どのような価値観に立って、どのような社会を望んでいくかをはっきりさせたいということです。

それに賛同しない人がいれば、それまでの話です。

>地域によってバラ付きが出てしまう事を
認めねばならなくなるのではないでしょうか。

これに対して明確な答えは持っていませんが、その地域なり社会で暮らす人々がどう感じているのかが重要かと思います。抑圧を感じていたり、そのために社会的な問題が生まれており、それに対して声をあげる人がいて、自分が共感できるならば(もしくは自分がその社会で暮らしているならば)、多様性がどうであれ、何らかの形で行動を起こすべきかと思います。


>けっきょく「選択の幅がある社会」という状況が望ましいと思う

私も基本的にその通りだと思います。(ただ、事柄によっては、選択肢を拡大することによって別の問題を引き起こす恐れがあるので、スウェーデンの様々な政策も、そのバランスを取るために苦労しています)

>福島瑞穂氏が著書で主張したような
>「すべての女性は~べき」になってしまう
>と違和感を感じます。

スウェーデンでもかつて数十年前に専業主婦が多数いた頃、当時の女性活動家の声もそのように感じられたのかもしれません。しかし、それから社会が少しずつ変化していき、女性が中等・高等教育の様々な分野に進出し、男性と同じキャリアを追求できる条件を(すくなくとも制度の上では)獲得した今の若い世代にとっては、もしかしたら感謝されることかもしれません。

私も強制や押し付けは危ないと思います。ただ、政治や政治家の役割というのは、ただ単に現段階の有権者の声を掬い上げて、そのまま政治に反映するだけでないと思います。自分が信念として掲げていることがあれば、たとえそれがすぐには受け入れられなくても、その正当性を訴えて、少しずつ支持を勝ち取って、実現していくことも政治の役割ではないかと思います。


>夫婦同姓も主婦を選択するのもひとつの生き方なので、

これも難しい問題で、果たして当事者自身が積極的に選んでそうなったのか、それとも伝統的な社会の延長に今の制度があって、それ以外に選択肢がないから、とりあえずそうしているのか・・・。これも、他の選択肢があることを知らなければ、現状で満足という事になるでしょうが、ひとたび他の選択肢の存在を知ってしまうと、途端に不幸せになってしまう、ということもあるかと思います。


>アイデンティティの拠り所と
しての宗教的な精神基盤が薄い日本の場合は

この点ではスウェーデンは日本と共通していると思います。


>あと荻上チキ氏も少し書いておられましたが、日本で語られる
北欧のお話やイメージは、極端にユートピアとディストピアの
間を揺れているような気もします。

まさにその通りだと思います。どうして、もっとバランスの取れた冷静な見方が出来ないのか、と私も思います。両極端すぎます。

なんだか、とっても考えさせられました。ありがとうございました。
 
 
 
Unknown (Yoshi)
2010-02-08 07:46:14
Dojinさん、ありがとうございます。

>私の周りを見ると、高学歴層の女性とそうでない女性との差が顕著です。高学歴層については、企業側もだいぶ配慮し始めているし、優秀な女性はそういう職場を選んでキャリア形成を考えているようです。
>ただ、この「高学歴層」ってのはほんの一部の高学歴層である可能性が高く、「そこそこ高学歴」層でさえも結婚・出産・子育てでキャリアを降りていく(降りざるをえない)予備軍な気もします。男性の性別分業意識についてはよくわかりませんが、同世代(1980年代前半生まれ)でも依然強固な層は確実にいますね。

そうですか。私もいろんな人から経験談を聞いて現状のイメージを作り上げていましたが、それとほぼ一致します。


>学校や企業への帰属意識というのは近年は労働市場の流動性もあってけっこう低くなっていると思いますし
>では「個」の強固なアイデンティティがあるかといえば、そんなにないと思います

やっぱり宙ぶらりんのような感じですよね。私も、それが労働市場や家事育児の性別分業の問題を解決する障害になるとは直接は思いませんが、男女平等や女性の社会進出に限らず、私自身どういう社会が望ましいかと考えたときに、やはり避けて通れないのではないかと思います。

「社蓄」意識については、情報ありがとうございます。詳しく読んでみます。
 
 
 
Unknown (Yoshi)
2010-02-08 07:53:02
dojinさん、もう一つ。

>日本の社民の税制改革案は、スウェーデン社民が1991年に行った税制改革(個人所得税の累進性の緩和、法人所得税の法定税率の引き下げ、課税ベースの拡大、児童手当拡充等)と多くの点で真逆ですが


これはまさにその通りで・・・。
社会保障を議論するときには、受給面と負担面の両方をあわせて議論しなければならないと思いますが、後者はどうしても不人気になるため、どうしても前者の「手厚い福祉」のほうにばかり議論が集中し、では誰がどのように負担するのかという話がないがしろにされがちですよね。これは大きな問題だと思います。

余談ですが、1991年の税制改革は80年代から長い時間かけて準備が進められてきたのですが、85年の金融規制緩和同様、一部のテクノクラートが策定し、その内実をあまり表立って議論することなく議会可決させ、実行してしまったという側面もあるようですよ。
 
 
 
Unknown (Yoshi)
2010-02-08 08:01:54
kumokiさん

>個人主義とも表現されるスウェーデンの社会は、意外にも「自分に正直であり、他人にも誠実である」が基盤のところで作用しているように見受けられます。

その通りだと思います。個人主義であると同時に、他者との繋がりや連帯感を大切にする、というのは、スウェーデン人の社会学者も自分の生まれ育った社会に深くメスを入れる形で分析し、その通りだという結論に至っていました。

その具体的な事例は、まさに「羅愁さん」がブログのほうに書かれていることで、私も共感してしまいました。
 
 
 
Unknown (WaterBlue)
2010-02-11 06:15:45
レスありがとうございます。

>当事者自身が積極的に選んでそうなったのか
仰るとおり、主体的な意思の有無や個人の幸福度は
第三者から見て判定しにくいので、どこまで踏み込んで
いいのか分からない、センシティブな面があると思います。

ヤマギシ会やオウムなどの騒動も少し思い出しましたが
ジェンダーの話に関わらず、文化の多様性や個人意思、
価値観の尊重と共存については、他の多くの問題や争い
も似ている部分があるのかもしれません。
菜食主義と肉食、堕胎や捕鯨の是非、教育と躾と虐待等でも…。

色々な物事について考える契機を与えていただいて
ありがとうございました。
感情論や暴力的手段に陥らずに、バランスを考えながら
冷静に議論をしていくことが大切なのでしょうね。
 
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