スウェーデンの今
スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員
 



スウェーデンの技術系新聞に掲載された記事の邦訳です。


「スウェーデンのエネルギー将軍が日本に太陽を広めていく」

トーマス・コーバリエルはエネルギー庁長官を辞任。日本における再生可能エネルギーの発展を早める目的で新たに設立される財団を、これから導いていくことになる。この財団の背後には、日本で最も裕福な事業家がいる。

スウェーデンのエネルギー庁長官を3年半務めたトーマス・コーバリエルは、そのポストを辞任し、新しく設立されるJapan Renewable Energy Foundationの理事長に就任する。この財団は、福島原発での事故を受けて、日本における再生可能エネルギーの発展を早めることを目的として設立される。

この財団の背後にひかえているのは、日本のメディア・テレコム企業であるソフトバンクの創設者であり社長である孫正義氏だ。彼は、米フォーブス紙によると80億ドルの資産を持つ日本一の資産家であり、また、社会への積極的な貢献でも知られている。

そんな彼が新しい財団の理事長として選んだのは、トーマス・コーバリエル氏だ。

【以下は、トーマス・コーバリエル氏へのインタビュー】

どのような経緯で新しい仕事が決まったのですか?

― 以前から日本とは深い付き合いがあり、例えば、日本で講演などもしてきました。スウェーデンは、日本では先駆的な国として知られています。孫正義氏は、理事長ポストへの適任者として私の名前を耳にしたのでしょう。先日、日本に招かれ、彼と会うことになりました。

再生可能エネルギーによって日本を支援して欲しいという要請を受けたときの、最初の感想はどのようなものでしたか?

― もちろん光栄に感じました。スウェーデンやヨーロッパでの教訓や経験を日本で生かしていくのは、非常にワクワクするものです。それと同時に、とてつもなく大きな課題であり、一人のスウェーデン人が日本の一組織の中でそのような役割を果たしていくことは容易なことでないとも感じます。

その財団が取り組むのはどのようなことですか?

― ― 再生可能エネルギーの活用をすばやく拡大していくために役に立つ、様々な知識や経験を集めて、それを拡散していくことです。ただし、活動の詳細について現時点で詳しく説明するのは時期尚早です。財団の最初の会合は、9月のはじめに開かれます。

その財団の資金規模はどのくらいですか?

― まだはっきりと分かりませんが、かなりの額になるでしょう。孫正義氏は再生エネルギーに非常に大きな関心を持ち、意欲にも溢れています。人間的にも堅苦しくなく付き合いやすい人物です。

日本に住むことになるのですか?

― いいえ。私の活動の拠点や家族はヨーテボリに残します。日本をたびたび訪れ、1年間に全部で3ヶ月くらい日本に滞在することになるでしょう。

福島原発の大惨事を受けて、日本のエネルギー政策はどのように変わりましたか?

― 日本政府は路線を大きく転換することになりました。あの大惨事は当然ながら、エネルギー政策を巡るそれまでの戦略や意欲に再検討をうながす転機となりました。私は、新しいエネルギー政策の策定に向けて積極的に動いている人たちに何人も会ってきました。

日本における再生エネルギーの割合は、現時点ではかなり小さなものに過ぎませんが、それを今後伸ばしていくための可能性はどういう所にあると、あなたは考えていますか?

― 日本は既に太陽光発電の分野で力を持っています。それに、風力発電やバイオ燃料の分野でも強い産業を発展させていく大きな可能性を秘めています。さらに、地熱エネルギーの分野でも日本が持つ潜在性は大きなものです。

スウェーデンの企業が活躍できる余地はありますか?

― スウェーデンの産業を売り込むことは私の役目ではありません。しかしながら、ABB(発電・送電技術、産業機械のスウェーデン・スイス企業)を始め、日本で成功を収めているスウェーデン企業がいくつかあるのは知っています。スウェーデンには太陽エネルギーやゴミ・廃棄物処理、バイオエネルギーで有名な企業もあり、ビジネスチャンスは大いにあるでしょう。

日本に滞在しない期間は、あなたはどのような活動をするのですか?

― ヨーテボリのシャルマシュ工科大学を拠点にして、研究活動や新しいエネルギー技術の商業化に携わっていくつもりです。

エネルギー庁の長官を務めた3年半の間に様々な経験や教訓を得たと思いますが、あなたがこれから日本で活動する上で参考にしたい、最も重要な経験・教訓は何ですか?

― エネルギーシステムの大きな転換をうまく達成するためには、数多くの要素が同時に動かなければならないということです。企業が新しい技術的可能性を実現するためには十分な知識がなければいけませんが、それと同時にそれに適した法制度・ルールやインフラが導入されていなくてはなりません。必要なことを正しい順番で実行していくことが重要なのです。

スウェーデンにおいて、改善していくべきことは何だと思いますか?

― エネルギー分野では、スウェーデンは世界的にもかなり進んでおり、知識や人材も十分に持っています。しかし、開発した技術を商業化して収入を得ることに、もっと頭を使うべきだと思います。


コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )


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コメント
 
 
 
さすが (里の猫)
2011-08-21 05:47:13
さすが孫正義ですね。
今後うまくファンクションして、発展していくよう、心から応援したいと思います(といっても、何も出来ないですが・・・)
 
 
 
Unknown (aya)
2011-08-21 20:39:26
思いもかけない展開になりましたね!
エネルギー政策はどの国においても重要課題ですから、国内外の叡智が協力することはとても大事なことだと思います。
ISEPの飯田さんの働きかけがあったのだろうと推測しますが、スウェーデンのエネルギー政策にはずっと注目していたので、とても期待したいです。
トーマス氏は、ヨーテボリ在住の方なのですね。
 
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