福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

日韓の「春の妖精」たち

2017年02月22日 |   〇自然・動物

봄은 남녘에서 부터..활짝핀 변산바람꽃
春は南から...満開の辺山ハクサンイチゲ
(連合ニュース 2月20日)

경남 통영의 한 산에 한국 특산종인 변산바람꽃이 활짝
피어 가까워진 봄을 실감케 하고 있다.
慶尚南道統営市の山地で韓国特産種の辺山ハクサンイチゲが
花を咲かせ、近づく春を実感させてくれている。

변산바람꽃은 바람꽃 종류 중 전북 변산에서 처음 발견돼
붙여진 이름으로 이른 봄에 길이 2~3cm가량의 흰색 또는
분홍색으로 꽃이 핀다.
辺山ハクサンイチゲは、ハクサンイチゲの種類の中でも全羅
北道辺山で初めて発見されたことにちなみ付けられた名称。
早春に直径2~3cmほどの白、またはピンクの花を咲かせる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここでは、一旦、「변산바람꽃」を「辺山ハクサンイチゲ」と直訳調に
訳し、翻訳練習(素訳段階
)させてもらったが、実は、この訳は不正確だ。

さらに言えば、ニュース本文自体が不正確なのだ。

日本では「春の妖精」とも称される、この可憐で美しい花に礼儀を
尽くす意味で、以下、推敲作業に向け、不正確な内容を含む原文の
不正確な素訳の背景について、実に面倒な解説を試みる。

まず、「변산바람꽃」の正体についてである。

この植物は、1990年代、韓国で発見された韓国特産の新種の
植物として新しい学名もついている。


△広島県庄原市のセツブンソウ(同市観光情報公式サイトより)

しかし、どうやらそれは間違いで、本当のところは日本にも生息している
希少植物の「セツブンソウ」と同一種らしい。



韓国国立樹木院がネット上で提供している専門性の高い「知識情報」に
よると、「변산바람꽃」の
学名は「新発見」後、新しくつけられた

Eranthis byunsanensis B.Y. Sun

となっている。



ところが、全部で3行しかない「特徴」の欄を見ると、その学名の
上下に、首をかしげたくなるような
内容が並記されている。



「ヲタク」は、この記述の行間に、大げさに言えば、記述者の科学者魂、
あるいはギリギリの良心を読み取る思いがした。

いや、心底、それを信じたいと思った。

つまり、韓国という社会的環境の中で、たとえそれが間違いであったと
しても、一旦、韓国特産の新種として登録された「誇らしい」韓国式の
学名を取り消すことはしない(できない)までも、自ら(あるいは
仲間)が突きとめた科学的な事実だけは何らかの形で公表したいという、
抑えがたい思いがあったのではないだろうか。

もし、遺伝子検査などを通じて、それまで日本にしか生息していないと
考えられていた「セツブンソウ」が朝鮮半島にも自生していることが
科学的に証明できるのなら、それはそれで、世界の植物学の進歩に
対する貴重な貢献であることは間違いないのだ。

深読みのし過ぎだろうか?

一方、「바람꽃」については、ネイバー韓日辞典タウム韓日辞典
さらには国立樹木院の説明からも、「ハクサンイチゲ」と訳すのが
妥当だ。

日韓ともに、ハクサンイチゲは高山植物を代表するポピュラーな植物で
あり、亜種や近縁種も多い。

さらに、日韓両地域で希少植物であるセツブンソウ(=변산바람꽃)も、
ハクサンイチゲと同じキンポウゲ(미나리아재비)科に属しており、
外見もよく似ている。

新種かどうかは別問題として、1990年代に韓国で、セツブンソウに
ハクサンイチゲ(=바람꽃)の亜種のような名称が新たにつけられた
のも、それ相応の説得力はあるのだ。

ちなみに、同じく1990年代以降、日本の園芸愛好家の間では、
新しく日本に輸入されるようになった韓国セツブンソウについて、
その開花時期にちなみ「ヒナマツリソウ」なる新名称も流布し始めた。

さてさて。

以上のような事情を全て勘案した上で、最初の記事をいかに、より正確に
より的確に日本語に訳し、日本の読者に伝えればいいのか?

「セツブンソウ」と「ハクサンイチゲ」の日本語を使うにしろ、本文の
記述内容との齟齬(そご)が、あまり広がりすぎないように工夫しな
ければならない。

場合によっては、簡潔な補足を加えてもいいだろう。

中級以上の韓国語学習者には、ぜひ、「頭の体操」と割り切って、
上記の「ヲタク」の素訳例の推敲にチャレンジしてみてほしいところ
である。

もちろん、一般的な韓国語の学習には全く役には立たない。









<追記>

以下、「ヲタク」による推敲の結果を公表しておく。

봄은 남녘에서 부터..활짝핀 변산바람꽃
春は南から..満開の韓国セツブンソウ
(連合ニュース 2月20日)

경남 통영의 한 산에 한국 특산종인 변산바람꽃이 활짝
피어 가까워진 봄을 실감케 하고 있다.
慶尚南道統営市の山地で韓国特産種(ママ)の韓国セツブンソウが
花を咲かせ、近づく春を実感させてくれている。

변산바람꽃은 바람꽃 종류 중 전북 변산에서 처음 발견돼
붙여진 이름으로 이른 봄에 길이 2~3cm가량의 흰색 또는
분홍색으로 꽃이 핀다.
韓国セツブンソウは、ハクサンイチゲの近縁種で全羅北道辺山で
初めて発見された(韓国語名称の直訳は「辺山ハクサンイチゲ」)。
早春に直径2~3cmほどの白、またはピンクの花を咲かせる。





(終わり)



参加カテゴリ:地域情報(アジア)


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