夜の山中や川原などで、無数の狐火が一列に連なって提灯行列のように見えることをいい、狐が婚礼のために提灯を灯しているといって「狐の嫁入り」とも呼びます。これらの怪火は遠くからしか見えないといいますが、私の子供の頃よく、天気の日に雨のことを「狐の嫁入り」といいました。
〈お話〉
怪火が狐の嫁入りと考えられただけでなく、江戸時代の随筆『古今妖談集』には実際に嫁入りに遭ったという話がある。寛保5年(1745年)に、本所竹町の渡し場に現れた男が、自分の仕える主人の家で婚礼があるために渡し船を多数寄せるよう依頼し、渡し場の亭主に祝儀として金子一両を渡した。亭主が喜んで多くの船を準備して待っていると、立派な嫁入り行列がやって来たので、亭主は丁重に一行を送り届けた。しかし翌朝には、祝儀の金はおろか、渡し賃まですべての金が木の葉に変わっていた。人々は葛西金町(現・東京都葛飾区)の半田稲荷から浅草の安左衛門稲荷への婚礼があったと噂したという。-辞書-
天気の日に雨のことを「狐の嫁入り」と呼ぶのは、突然の天気雨に驚いて農作物を取り込む人々の様子が想いだされます。狐の嫁入りと天候との関連は地方によって異なり、
・熊本県では虹が出たとき、
・愛知県では霰が降ったとき、
・徳島県ではこれを嫁入りではなく狐の葬式とし、死者の出る予兆としている
・福島県では旧暦10月10日の夕方にすり鉢を頭にかぶり、腰にすりこぎをさしてマメガキの下に立つと、狐の嫁入りが見える
・・・等
この正体不明の青白い炎が、山野や墓地で闇夜に見られるのは気持ちのいいものではありません。一方、田舎の畦道に浮かぶ幻想的な「狐火」にも心惹かれます。
〈俳句〉太郎に見えて次郎に見えぬ狐火や(上田五千石)
〈お話〉
怪火が狐の嫁入りと考えられただけでなく、江戸時代の随筆『古今妖談集』には実際に嫁入りに遭ったという話がある。寛保5年(1745年)に、本所竹町の渡し場に現れた男が、自分の仕える主人の家で婚礼があるために渡し船を多数寄せるよう依頼し、渡し場の亭主に祝儀として金子一両を渡した。亭主が喜んで多くの船を準備して待っていると、立派な嫁入り行列がやって来たので、亭主は丁重に一行を送り届けた。しかし翌朝には、祝儀の金はおろか、渡し賃まですべての金が木の葉に変わっていた。人々は葛西金町(現・東京都葛飾区)の半田稲荷から浅草の安左衛門稲荷への婚礼があったと噂したという。-辞書-
天気の日に雨のことを「狐の嫁入り」と呼ぶのは、突然の天気雨に驚いて農作物を取り込む人々の様子が想いだされます。狐の嫁入りと天候との関連は地方によって異なり、
・熊本県では虹が出たとき、
・愛知県では霰が降ったとき、
・徳島県ではこれを嫁入りではなく狐の葬式とし、死者の出る予兆としている
・福島県では旧暦10月10日の夕方にすり鉢を頭にかぶり、腰にすりこぎをさしてマメガキの下に立つと、狐の嫁入りが見える
・・・等
この正体不明の青白い炎が、山野や墓地で闇夜に見られるのは気持ちのいいものではありません。一方、田舎の畦道に浮かぶ幻想的な「狐火」にも心惹かれます。
〈俳句〉太郎に見えて次郎に見えぬ狐火や(上田五千石)