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鎌倉近郊を歩く12.葉山の早馬

2010-04-29 08:38:47 | Weblog
鎌倉近郊を歩く 12
               葉山の早馬
                          
                          (写真はクリックして見てください)         

 葉山の語源が気になっていました。「ハヤマ・葉山はハユマ・早馬に由来し、馳馬、駅馬とも書かれた(神奈川古道 木下良)」とあるのを見て、なるほどと思いました。同じ例として、久留米市葉山に筑後国御井駅があったと指摘されています。そのことで、葉山を歩いてみました。

 古東海道は藤沢、鎌倉、逗子、葉山を通り、走水から船で上総に渡りました。鎌倉から葉山まで名越、桜山と二つの難路を踏破しなければなりません。JR逗子駅の辺りは入り江が拡がっていました。鐙摺は馬の鐙(あぶみ)と山肌が摺り合うほど狭くて危険な道だったとあります。

 京(みやこ)の指令や政変を一刻も早く、上総の国司に伝達しなければなりません。由比カ浜の和賀江から船を漕いで森戸神社を目指せば、二つの山越えと入り江を渡るよりはるかに早く到着します。東海道を旅する人も渡し船のほうが、ラクで早いコースです。

歩く:JR逗子駅下車 バス海岸回り葉山行 森戸神社下車

 森戸神社は森戸川が川口に突き出た、三方が海に囲まれた堆積岩の上におあしまし、鎌倉の海岸も一望です。渡し船が和賀江との間を往復していたに違いありません。

 案内書には「頼朝が源氏再興を祈願した三島明神を山王権現の社地に勧請し、森戸神社とした。祭神は大山祗命と事代主命。頼朝は森戸岬に別邸を建てて来遊した」とあります。古来より、多くの人が鎌倉への往来につかった船着き場だったのでしょう。

歩く:森戸神社バス停を少し戻る 橋を渡らずに東へ 葉山図書館前バス停を右 葉山町役場まで約20分  

 古代に早馬の駅家(うまや)が在ったとすれば、町役場の辺りが適した土地柄です。次のバス停の葉山大道で、東へ行くと上山口、木古場、衣笠を経て走水へ達します。南へ行くと、三浦岬です。駅馬が用意されていて、至急便のほか、安房、上総や下総、常陸などに赴任する国司が馬を利用したのでしょう。

 日本地名大百科(小学館)には、「葉山は中世の郷名に由来し、端山とも書いた。古代には東海道から三浦半島東部へ通じる交通の要衝であった」とあります。ほかにも、「ハヤマは端山のこと、歌語で人里に近い方の山、新古今和歌集の恋歌に『筑波山端山茂山茂けれど思ひ入るには障(さは)らざりけり』とある」などとも説明されています。

 走馬なのか端山なのか、考えながら役場の横の坂道から仙元山(118m)に登りました。案内にしたがって歩くと、30分ほどで頂上です。たいへん景色がよいので、ぜひお奨めします。帰りは同じ道に戻って、役場前から逗子駅行のバスに乗れば10分で着きます。



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