「男の隠れ家ー陶酔庵」日記

いろいろあってまだ生きてます。世捨て人を気取りながら、その高みにはほど遠い俗世の世迷い人生、命だけが通り過ぎてゆきます。

夫婦喧嘩を招いた夫婦湯呑

2007年01月19日 | 陶芸作品




昨年11月も下旬の事であった。
度々、ワラ灰をポリバケツで届けてくれるゴリさんから一通のメールが届いた。
タイトルは「夫婦湯呑の注文」、内容は「・・・ところで、常々世話になっている知人夫婦に、
湯呑をさし上げたいと思っております。 藁灰を使ったものであれば、形などはお任せします。
(素朴なものが好み) 気が向いたときに作ってくだされ。」
というものであった。

私はすぐに、この知人夫婦というのがいつもゴリさんに稲藁を譲ってくださり、
またその稲藁を焼却する畑を貸してくださるご夫婦だとピンときた。
真実は未だに分からない。その事にはお互い触れていない。


素朴なものと言われても素人の私には何を作っていいのやら・・
でもとにかく水簸作業中のワラ灰を一部乾燥させ藁白釉を作った。
湯呑はロクロではなく久しぶりに手びねりで作る事にした。
そして全体に藁白釉を掛けてみたが、素朴すぎるのもと迷った挙句に、ご主人用に織部を流し(上)、
奥様用に瑠璃を流してみた(下)。同じ色もなんなのでと2色に分けたのだが、これが喧嘩の原因だった。
そうやって出来たのが写真の2客の湯呑。





そして先日ゴリさんが取りに来て、翌日ご夫婦に渡したらしい。

昨日ゴリさんが来て聞いたのだが『往生したばい、あの湯呑をお礼にと渡したらその場で、
奥さんが「こいがうちんと!!」、 ご主人に「あんたがそいで飲みなさい!!」、
ご主人も負けずに「ばかがこのー、こいがおいがとくさ!!」と夫婦喧嘩   が始まり、
収拾がつかなくなった』との事。

ゴリさんが「あんた達もみたんなか、そがん事で喧嘩しなんな!!」と何とかなだめすかして収めたらしい。

その話を聞いてつくづく考えた。素人の私が湯呑を2個作って、嫌われた方はかわいそうだが、
仲の良い田舎のご夫婦が喧嘩をしてまで自分の湯呑にしたかった織部流しの湯呑はなんと幸せな事だろうと!!
それを作った私も幸せであった。そして同じ織部流しをもう一度作って差し上げようと決めたのです。

私もこれまでヘタクソながらにいろんな人にプレゼントしてきた。
「ありがとう」と興味のない人もいれば、気に入って喜んで尋ねるたびにそれを使い続けてくれてる人もいる。

しかし喧嘩までして奪い合って頂いたのは初めての事で、私は素直にうれしかった。





最後にゴリさんが言ったのだが、このご夫婦奥さんの方が旦那さんより強いらしい。
そして焼酎が大好きらしい。

よし、同じ織部流しで焼酎のお湯割り、水割り、ロックと何でも呑めるビアマグ風の少し高さのあるものを作ってやろう。
そしてあの織部流しを御主人に取り戻そうと決めたのでした。

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8 コメント

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Unknown (維真尽)
2007-01-19 22:54:34
なるほど~
目の前で、けんか...
なかなかできることじゃございません!
それだけ、魅力的だった ということですね

同じ系のものをあげるすべきでしたねぇ(笑)
ぜひ、同じやつを作って差し上げてくださいね
でも、そこまで言ってもらえると
ちからが湧いて来ますよね 
(うらやまし~~~ (笑) )
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維真尽さんへ (ansyu)
2007-01-19 23:09:50
確かに作り手にとっては、冥利に尽きるわけですが、
私の作った湯呑みが魅力的だったかどうかは??

世の常として2種類の物があれば必ず優劣ないし好き嫌いが付きまとう訳でして・・・・

おっしゃるとおり同じ系のものであれば何の問題もなかったのかと。
ただ「ありがとう!」で終わってたのではないでしょうか。
その点では違う系であったために学んだことも、喜んだことも、できたのかも、ですね。
返信する
お久し振りです! (harchan)
2007-01-20 10:59:21
いいお話ですねェ。
また、とってもはっきりしているご夫妻で、分り易くて良いですね。
夫用には濃い色彩で力強く、妻用には淡いコントラストで優しさを…といった事を意識された訳ではないでしょうが、ご夫妻に関する予備知識を仕入れておくべきでしたね。(笑)
でも、こんなに喜ばれるって嬉しいですよね。
返信する
harchanさんへ (ansyu)
2007-01-20 12:41:22
お久しぶりです。
いいお話だと受け取ってもらって安心しました。
都会と違って田舎の農家のご夫婦って意外とカカー天下が多いのかも??
おっしゃるとおり、予備知識は必須です。「素朴なもの」だけでは素朴で済まず、ハデな大喧嘩になりますね。(笑い)

ところで最近の大作傾向には感心してましたが、自家製手洗い器には驚きました。収縮する粘土でサイズを合わせるだけでも大変なことですよね。しかも部品まで自分で買い揃えて、素人にはなかなか手が出せないところですよ!!そこを全面改造なんて、都会の奥様のharchanさんの度胸と器用さに驚きました。
ひょっとすると田舎のおば様よりも度胸も肝っ玉も器用さも負けず劣らず??(笑い・・ジョークです。怒らないで・・・)
返信する
Unknown (ガラス工芸@伊藤)
2007-01-21 01:26:58
夕景もいいですが、湯呑もいいですね。

私も織部の方がいいと思います。(画像で比較ですが)
もし、家に頂いたと仮定して、主人が織部が使いたいと言ったらば、私は、心で織部がいいな、と思っても
多分、瑠璃で我慢してしまいます。

でも、けんかするほどに自分のものにしたいなんて
「織部」の湯呑みはなんて幸せ湯呑みでしょう。
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ガラス工芸@伊藤さんへ (ansyu)
2007-01-21 11:36:37
ありがとうございます。

この織部は友人の注文でなければ私も手元に残したところです。
うちの家内も伊藤さんと一緒だと思います。ただ私が忘れた頃、いつの間にか織部を使ってるというタイプ(笑い)
我慢できる人とはっきりと自分の気持ちを言える人といらっしゃるみたいですね。
ただ相手次第かなとも思いますが(笑い)
一度伊藤さんも大声を張り上げて大喧嘩をしてみてはいかがでしょうか??
ものすごく無責任な提案ですが・・・

今回はたまたまはっきりとした御夫婦で私も作り手の喜びを味わえたパターンでした。
返信する
わははは、すごいですね (mizu。)
2007-01-23 15:44:07
藁灰釉の湯飲み、どちらもすてきで迷いますね!
織部もステキだけど、瑠璃もいいなぁ!
自分の作ったものの取り合いで喧嘩になるなんて、うれしいような悲しいような…(笑)

そして、私も3月から自宅陶芸始めます!
窯は貸し窯を借りるんですけどね、釉薬とかもいろいろ試したりしたいです♪
灰釉も興味があるので、今度質問するかも知れません(笑)
返信する
mizu。さんへ (ansyu)
2007-01-23 16:49:03
ねー、すごいでしょー。今回優劣がはっきりしていたんですけど、
mizu。さんが初めてです。かわいそうな瑠璃を褒めてくださったのは!!
もう少し濃淡があればよかったんですけど。

3月から自宅陶芸ですか?思えば私も迷いに迷って昨年3月に自宅陶芸始めました。
貸し窯ってあるんですね?一眼レフカメラも買っていよいよ発進ってとこですかね。
私も小さな500万画素のデジカメ使ってたんですけど、一眼先月やっと買いました。でも重くって小さいデジカメ何かと便利で重宝してます。

私も多くの人に助けられて自作のワラ灰釉薬に挑戦してますが、いつもたずねてばっかりなので、今度私に
質問してください。えらそーに教えますから、何茶って。(笑い)
こちらは大寒に小春日和ですが、そちらはまだまだ寒いんでしょうね?
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