今日では人間のプロよりも強い将棋AIにも弱点が有ります。以下に3件の事例を述べます。
(1) ハメ手に引っかかってしまう
相手がやりそうな手を事前に調べておいて、対抗策を考えた上で対局に臨むのは、人間の将棋でもよくある話です。しかし、将棋AIがやる事前準備は、人間のものとはかなり質が異なります。その中で特に重要なのが、「AIは負け戦から学ばない」ことです。人間であればある戦法を試したところ、相手が得意顔で応対して自分を負かしてきたら「次は別の戦法を使おう」と思うところでしょう。AIにはそういった感情の機微がありません。そのため、AIの対局結果からAIの癖を見抜き、AIが指しやすい、かつ、ハメ手があるような局面に誘導されてしまうと、AIは本来の力を発揮できずに敗れてしまいます。
(2) 不条理な手に対する脆弱性
将棋の駒は相手陣内に入ると「成って」威力が増すので、通常の対局では、大抵「成る」としたものです。これは人間の常識です。永瀬王座はAIとの対局において、敵陣で角を動かしたのに、わざと、角を「成らず」としました。このような不条理な手にAIは最初は対応できていなかったので、クラッシュしてしまい敗北しました。
(3) 大会の文脈が読めない
AIの盤上での強さは人間を超えたかも知れませんが、盤外戦での思考力においては、人間に及ばない場合があります。その一つに千日手(指し手の無限ル-プ)に関する判断ミスがあります。将棋の高等戦術の一つに千日手があります。双方が同じ手順を繰り返して採用すると、同じ盤面が無限に生じ
ます。したがって、同一盤面が4回あらわれると、千日手となります。千日手の結果は引き分け、または、先手、後手を入れ替えて指し直しとなります。
これを戦術として利用して、有利な先手番を得る戦術があります。AIは盤外戦術がプログラムされていないので、大会の文脈や大会のしくみを読み取って、人間のように駆け引きの判断をすることが不得意です。
澤田亮人「将棋AIのやらかしの近代史」電気学会誌 2022年10月号
(1) ハメ手に引っかかってしまう
相手がやりそうな手を事前に調べておいて、対抗策を考えた上で対局に臨むのは、人間の将棋でもよくある話です。しかし、将棋AIがやる事前準備は、人間のものとはかなり質が異なります。その中で特に重要なのが、「AIは負け戦から学ばない」ことです。人間であればある戦法を試したところ、相手が得意顔で応対して自分を負かしてきたら「次は別の戦法を使おう」と思うところでしょう。AIにはそういった感情の機微がありません。そのため、AIの対局結果からAIの癖を見抜き、AIが指しやすい、かつ、ハメ手があるような局面に誘導されてしまうと、AIは本来の力を発揮できずに敗れてしまいます。
(2) 不条理な手に対する脆弱性
将棋の駒は相手陣内に入ると「成って」威力が増すので、通常の対局では、大抵「成る」としたものです。これは人間の常識です。永瀬王座はAIとの対局において、敵陣で角を動かしたのに、わざと、角を「成らず」としました。このような不条理な手にAIは最初は対応できていなかったので、クラッシュしてしまい敗北しました。
(3) 大会の文脈が読めない
AIの盤上での強さは人間を超えたかも知れませんが、盤外戦での思考力においては、人間に及ばない場合があります。その一つに千日手(指し手の無限ル-プ)に関する判断ミスがあります。将棋の高等戦術の一つに千日手があります。双方が同じ手順を繰り返して採用すると、同じ盤面が無限に生じ
ます。したがって、同一盤面が4回あらわれると、千日手となります。千日手の結果は引き分け、または、先手、後手を入れ替えて指し直しとなります。
これを戦術として利用して、有利な先手番を得る戦術があります。AIは盤外戦術がプログラムされていないので、大会の文脈や大会のしくみを読み取って、人間のように駆け引きの判断をすることが不得意です。
澤田亮人「将棋AIのやらかしの近代史」電気学会誌 2022年10月号
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