yoshのブログ

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欲に翻弄されると道を誤る

2012-03-14 07:33:07 | 文学
田口佳史氏は『老子の無言』の中で次のように書いています。

『老子道教』の「檢欲 第十二」の中で老子は、人が欲にくらむ状態をこう表現しています。

五色は人の目をして盲ならしむ。五音(ごいん)は人の耳をして聾ならしむ。五味は人の口をして病ましめ、馳てい田りょう(ちていでんりょう)は人の心をして發狂(くる)はしむ。得難きの貨(たから)は人の行いをして妨げしむ。

色々な色の紙を見せられても目移りして、心を落ち着けてその色が味わえない。色々な音を聞かされても、何も聞こえないのと同じだ。色々な味の料理を食べさせられても、口に爽快
さがなくなって何の味かわからなくなってしまう。そんなふうに私たちは五感に惑わされ、真実を見失っていないか、ということです。さらに、狩をする人が獲物を見つけて、長い時間をかけて追い詰めて仕留めることで欲望を満たすと、いつしか人は心を狂わせてしまう。手に入りにくい珍しい物を欲しがると、人は行動を誤ってしまう。 (中略)

では、聖人はどうかと言うと

聖人は腹の為にして目の為にせず。故に彼を去りて此を取る。

内を守りて外に誘われず、故に彼(外誘)を去りて此(自己)を取る。それが聖人であると、老子は言っています。

         田口佳史   「老子の無言」 光文社
         武内義雄訳註 「老子」  岩波書店
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