yoshのブログ

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弘道館に梅花を賞す 徳川景山(再掲)

2021-03-18 06:19:51 | 文学
水戸藩九代藩主 徳川斉昭の七言絶句です。

弘道館賞梅花

弘道館中千樹梅
清香馥郁十分開
好文豈謂無威武
雪裡占春天下魁

弘道館ニ梅花ヲ賞ス

弘道館中千樹ノ梅
清香馥郁十分ニ開ク
好文豈ニ威武無シト謂ハンヤ
雪裡春ヲ占ム天下ノ魁

 「訳」

弘道館の中にはおよそ千株もの梅の木がある。その梅はいま満開で、清らかな香りがぷんぷんとあたりに漂っている。昔、晋の武帝が学問を好むと梅の花が開き、学問をやめると咲かなくなった故事から、梅を好文木と称するようになったというが、その一面、武の威力が梅にないといえようか。あのきびしい寒中に雪を冒して独り咲き出でて、天下の春のさきがけをなすのは、まさにこの花である。


「鑑賞」

石川忠久先生によれば、
単なる観梅の詩ではなく、烈公みずから企画設計した弘道館に、その教学の大方針の象徴として植えた梅に対する感慨である。起句・承句は実景であるが、転句では力強く文武兼備
の理想をいい、結句は叙景をかりて、現下の難局と将来の明るい希望をのべ、みずからそのさきがけたらんとする決意を暗示している。

「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」 日本吟剣詩舞振興会編
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