yoshのブログ

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偶成 朱熹

2022-04-07 06:25:17 | 文学
南宋の詩人で、哲学者「朱子」として著名な朱熹(しゅき)の「偶成」を紹介します。少年時代に師から教わりました。

  偶成

少年易老学難成
一寸光陰不可軽
未覚池塘春草夢
階前梧葉已秋風 
 
     「読み方」
少年老イ易ク 学成リ難シ
一寸ノ光陰 軽ンズベカラズ
未ダ覚メズ 池塘 春草ノ夢
階前梧葉 已(すで)ニ秋声 

      「訳」
    若い時代はうつろいやすく、学問というものはなかなか成就しない。
    それゆえ、ほんのちょっとした時間すらも、おろそかにしてはならない。
    池のほとりに春の草が萌え出して楽しい夢からいまださめきらないうちに、
    早くも庭先の梧桐(あおぎり)の葉を落とす秋が来たことに驚くのです。

         「鑑賞」
朱熹は南宋の詩人であるばかりでなく、哲学者として朱子の呼び名で有名であり、その学問、朱子学は後世に多大な影響をあたえました。この詩は、そうした学者の面目躍如たるもの。夢多い青少年期の努力いかんで、学問の成果も決まるのだから、刻苦勉励せよ、という「少年老い易く・・」の有名な起句・承句が一篇の主題。このお説教の詩を、春草、梧葉のしゃれた比喩が救っています。朱子らしい機知にとんだ詩です。

        石川忠久 「NHK 漢詩紀行」NHK出版

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