yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

蘇台覧古  李白

2022-03-24 06:40:57 | 文学
蘇台は「姑蘇台(こそだい)」の略称。春秋時代、呉王夫差の宮殿があった場所で、江蘇省呉県の西南にあり、詩仙・李白が江南を周遊中に、この古都をおとずれて、栄華をきわめたといわれる呉王の昔を偲んだ詩です。
 
      蘇台覧古

    旧苑荒台 楊柳新
    菱歌清唱 不勝春
    只今惟有西江月
    曽照呉王宮裏人

    「読み方」
    旧苑 荒台 楊柳新タナリ
    菱歌清唱 春ニ勝(た)エズ
    只今 惟ダ西江ノ月ノミ有ツテ
    曽テ照ラス 呉王宮裏ノ人

     「訳」
古びた庭園、荒れはてた高台には、楊柳が青々とした新芽を吹いたばかり。
    菱とり歌の清らかな歌声を聞いていると、春の感傷にたえられない。
    西江の水面にのぼる月の光だけが、今も昔も変わらない。
    この月こそ、かつて呉王宮殿の絶世の美女西施(せいし)を照らしていたのだ。

      「鑑賞」
    「呉王宮裏の人」は、呉王の寵妃で超飛燕、楊貴妃、とならぶ中国史上の代表的美女の西施を指します。夫差は西施におぼれ、ついに国を亡ぼしました。
芭蕉も「象潟や雨に西施がねぶの花」という句を詠んでいます。

  前野直彬注解 「唐詩選 下」 岩波文庫
  石川忠久 「漢詩紀行 四」 NHK出版
         



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