yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

スイスアルプスと外国語

2021-02-10 10:29:03 | 文化
不肖が敬愛する佐貫亦男教授は、第二次世界大戦の頃からヨ-ロッパアルプスを廻られていました。スイスを旅行するのに、ドイツ語、フランス語、イタリア語が必要であり、英語は要らないと言われました。確かに道路標示も切符も街中の看板も案内文も現地語表記です。新田次郎の著書『アルプスの谷アルプスの村』には、下記のように書いてあります。
「佐貫さんは、戦前ヨ-ロッパに滞在していたし、アルプスに関する外国図書はほとんど読破していた。ここに来たのも今回で七回目であった。アルプスのことならおそらくスイス人よりくわしく知っているだろうといわれるほどのアルプス通。ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語の4カ国語を自由に話す。ツエルマットの遭難者墓地に行く。イタリア人の墓守よりも佐貫さんは墓のことに詳しい。観光客もそれと察して、しきりに話かける。英語、フランス語、ドイツ語の質問を快刀乱麻と、得意のスピ-チでやってのけるのは見事なもの。新田次郎と佐貫の二人は電車でチナ-ルの谷へ向かう。二人と老人夫婦とハイティ-ンの男女四人だけ。そのうちハイティ-ンの連中が傍若無人に騒ぎ始める。少年が窓を開けっ放しにする。冷たい風が吹きこむので、佐貫さんが立ち上がって閉めに行く。三度目に少年をつかまえ大きな声でどなりつける。お前たちは他の乗客の迷惑ということを考えないのか、窓を開けたらなぜそのあとを閉めないのだ。少年がとっちめられると、他のものも責任が自分たちにあると思ったのかしゅんとした顔をして黙りこんでしまう。『今日のことをよ-く憶えておくのだ、わかったか』佐貫さんとどめのひとこと、少年は姿勢を正してわかりましたという。」

ドイツ語でドイツ少年を説教する語学力には驚きます。一方、佐貫先生はスイスでは英語不要と言われますが、英会話も達人です。こんな逸話があります。
ロンドンの空港の税関を御夫婦で通った時、ミセス・サヌキの旅行カバンがミスタ-・サヌキよりかなり大きいのを職員に見咎められました。その時、佐貫先生は「ワイフは私よりずっとリッチだから」と英語で答えたので、税関職員は笑ってそのままお二人を通過させたそうです。そんなユーモアもお持ちでした。また、1954年に本田宗一郎氏が欧州とイギリスを訪問をした時には通訳もされています。



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