yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

金谷園 杜牧

2020-11-27 06:13:56 | 文学
晩唐の詩人、杜牧の七言絶句、金谷園を紹介します。 

        金谷園

      繁華事散逐香塵
      流水無情草自春
      日暮東風怨啼鳥
      落花猶似墜楼人


繁華(はんか)ノ事 散ジテ香塵ヲ逐(お)ウ
      流水無情 草自(おのずか)ラ春ナリ
      日暮東風 啼鳥ヲ怨ム
      落花猶ホ似タリ 墜楼ノ人

「訳」
昔、ここ金谷園でくりひろげられた豪奢な遊びは、香ぐわしい塵のあとかたなく消 えるのを追って散じ、今はしのぶよすがもない。流れる水は、人事の興亡をよそに無情 
にせせらぎ、草は春のよそおいをこらして生い茂るばかり。日の暮れがたにたたずめば、春風に吹かれて鳥の啼く声も怨みぶかく聞こえてくる。おりしも、目の前を花びらがハラハラと落ちてゆく、そのさまはかつてここで楼から袂をひるがえして落ちていったあの緑珠に似ているようだ。

「鑑賞」
晩春の夕暮、いにしえの金谷園のあとに立ち、懐古の情に沈んで作った詩です。杜牧の得意な懐古の詩です。かつての金谷園の繁華と、今日の荒れた情景とがうまく相対してとらえられています。

吟剣詩舞道漢詩集 「絶句編」日本吟剣詩舞振興会




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