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望慮山瀑布 李白

2017-05-10 05:51:52 | 文学
詩仙 李白)の七言絶句を紹介します。
  望慮山瀑布
日照香炉生紫煙
遙看瀑布挂長川
飛流直下三千尺
疑是銀河落九天

慮山ノ瀑布ヲ望ム
日ハ香炉ヲ照ラシ紫煙ヲ生ズ
遙カニ看ル瀑布ノ長川ニ挂クルヲ
飛流直下三千尺
疑ウラクハ是レ銀河の九天ヨリ落ツルカト


「訳」
 陽の光が香炉峰を照らして、峰は紫にけぶっている。はるか彼方は、大きな滝が長い川をたてかけたように流れ落ちているのが見える。飛ぶようなその滝の勢いままっすぐに三千尺も流れおちる。まるで銀河が天空から流れ落ちるのではないかと思われるばかりである。

 「鑑賞」
慮山とは江西省の九江市の西南、鄱陽湖と長江のほとりにそびえる、峰や滝にめぐまれる名山で、香炉峰はその峰のひとつ。ここも多くの詩人に親しまれているが、李白らしくダイナミックにうたいあげたのがこの作です。起・承の前半ニ句で瀑布を遠望し、「香炉」と「煙」との縁語によって慮山の美と奥深さを描き出し、転・結の後半ニ句では瀑布そのものき焦点を合わせて、躍動感と着想の奇抜さを発揮している。三千尺の滝などはあろうはずがないが、銀河が天から直下するかのような豪快な滝の表現はぴたりです。壮大にして迫力十分な李白の代表作。

 石川忠久 「NHK漢詩紀行」 日本放送出版協会
コメント
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