yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

先達

2015-05-21 05:18:22 | 文学
先達(せんだつ)とは、その道の先輩という意味ですが、平たくいえば、師匠・先生・ガイド・ツアーコンダクターなどが該当すると思われます。有名な「徒然草」の「第五十二段」には以下のように書いてあります。

仁和寺にある法師、年寄るまで、石清水を拝まざりければ、心うく覺えて、ある時思ひ立ちて、ただひとり、徒歩よりまうでけり。極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て歸りにけり。さて、かたへの人にあひて、「年比(としごろ)思ひつること、果し侍りぬ。聞きしにも過ぎて尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」とぞ言ひける。すこしのことにも先達はあらまほしき事なり。

石清水八幡宮は男山の山上にある。麓にあったのは付属の寺。仁和寺の法師は、付属の寺
にだけ参拝して山上の八幡宮を見落したのです。兼好法師は小さなことにも案内者(指導者)
はほしいものであると書いています。
 
 これは現代にも通用する知恵です。学問、芸術、芸事、スポーツ、旅行などすべてにおいて、先達は重要だと思われます。殊に、海外旅行におけるツアー・コンダクターの存在や情報は有用ではないかと思います。また、理系の研究などにおいては、先人の業績をよく調べて、先人の到達点から研究を開始することを常道としています。

日本古典文学大系「方丈記 徒然草」岩波書店 

コメント
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