yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

「風立ちぬ」余話

2014-03-17 06:18:25 | 文学
宮崎駿監督のアニメ「風立ちぬ」は良い作品でした。ゼロ戦を設計した堀越二郎(1903~1982)と、同時代の文学者 堀辰雄(1904~1953)の小説「風立ちぬ」の世界を融合した佳品です。さて、最近、この堀越二郎と堀辰雄が旧制の第一高等学校の理科で同期であったことを知りました。1921年に堀越二郎は理科甲類、堀辰雄は理科乙類にいました。当時の理科は東京帝大の工学部や医学部に進むコースで約200名でした。今日の理科一類、二類、三類の合計定員、1704名(平成25年度)と比べると当時は僅かに200名(現在の約1/10)ですから、いかに狭き門であったかがわかります。堀越二郎は群馬県藤岡市の出身で、旧制藤岡中学から一高に合格しました。
堀辰雄は東京生まれで東京府立三中(現・都立両国高校)を4年終了した時点で一高に合格し堀越二郎に追いつきました。(いわゆる飛び級)二人とも超秀才です。堀越二郎は工学部航空学科(現・航空宇宙工学科)に進み、卒業後、請われて三菱内燃機製造(現・三菱重工業)に入社してゼロ戦の設計に携わりました。学生時代から探求心が旺盛なため、「根ホリコシ、葉ホリコシ」と言われたそうです。一方、堀辰雄は、三中、一高の先輩である芥川龍之介の知遇を得て、芥川に傾倒し、文学部国文科に進学し、理科から文科に転進しました。堀辰雄、は結核の療養所で婚約者と生と死を見つめて過ごした日々を元に小説「風立ちぬ」を書いたということです。

   山田博政 「アニメ映画「風立ちぬ」余聞」 學士會会報 No. 905 2014―Ⅱ

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