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偶感 西郷南洲

2013-06-01 06:44:53 | 文学
西郷隆盛(1827~1877)は明治維新の英傑で「南洲」と号しました。南洲の有名な七言絶句「偶感」です。

偶感

幾歴辛酸志始堅
丈夫玉砕恥甎全
我家遺法人知否
不爲兒孫買美田

幾タビカ辛酸ヲ歴(へ)テ志始メテ堅シ
丈夫玉砕スルモ甎全(せんぜん)ヲ恥ズ
我ガ家ノ遺法人知ルヤ否ヤ
兒孫ノ爲ニ美田ヲ買ハズ



いくたびか辛酸を経験して志が初めて堅くなり、不屈の精神が養われるのである。
男子としては、玉となって砕けるとも、瓦となって生命を全うすることを恥辱とするものである。わが家には先祖から伝わった守るべきおきてがある。それをご存じかどうか解らないが、子孫のために田畑などの財産を残し、安楽に世を送らせるようなことは絶対にしないとの教ええである。

この詩の通り西郷隆盛は生涯、公のために身を捧げ、私利私欲というものが全くなく、「敬天愛人」を唱えるやさしく謙虚な大人物でした。西南戦争で追討されても、程なく名誉を回復され、現代でも敬愛されている所以です。上野の山に銅像があるのも当然のことでしょう。結句の「児孫のために美田を買わず」は、秀逸に思われます。

「吟剣詩舞漢詩集(絶句編)」 日本吟剣詩舞振興会編
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