yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

月下独酌

2010-10-26 07:12:51 | 文学
詩仙 李白の有名な漢詩、「月下独酌」を紹介します。李白には、月や酒を賦した
詩がいくつもあります。当時の李白は翰林供奉という役職にあり、宮廷詩人として
活躍していたのですが、宮仕えの身では、気配りや追従など、自分には不本意な
事もする必要があったと思われます。そんな李白にとっては、月も自分の影も酒の友として相応しかったのでしょう。

     月下独酌
   花間一壺酒      花間一壺ノ酒
   独酌無相親      独リ酌ンデ相親シム無シ
   挙杯邀名月      杯ヲ挙ゲテ名月ヲ邀(むか)へ
   対影成三人      影ニ対シテ三人ト成ル
   月既不解飲      月既ニ飲ヲ解セズ
   影徒随我身      影徒(いたず)ラニ我ガ身ニ随フ
   暫伴月将影      暫ク月ト影トヲ伴ヒテ
   行楽須及春      行楽須(すべから)ク春ニ及ブベシ
   我歌月徘徊      我歌ヘバ月徘徊シ
   我舞影繚乱      我舞ヘバ影繚乱ス
   醒時同交歓      醒時ハ同(とも)ニ交歓ス
   酔後各分散      酔後ハ各(おの)オノ分散ス
   永結無情遊      永ク無情ノ遊ヲ結ビ
   相期遥雲間      相期シテ雲間遥カナリ

「訳」

   花咲く木かげに酒壺ひとつ
ひとりぼっちの手酌で相手がいない
そこで杯をあげて、のぼって来る月を招き
影も出て来て三人となった
月はもともと飲めないし
影もひたすら私の真似をするだけ
心ゆくまで楽しんでこの春をのがさぬようにしよう
私がうたえば月はふらふらと舞い
私が踊れば影は乱れ動く
酒が回りきらないうちには三人で楽しみ合い
酔ってしまえばそれぞれ別れてゆく
いつまでもこのような、しがらみのない交遊を続け
次にはあのはるかな天の河ででも再会するとしよう

酒仙・李白ならではの作です。
余談ながら、島根県の松江を訪れた際に「李白」という銘酒に出会いました。
「酒中の仙」と自称した李白に因んで命名したとのことです。なお、杜甫は李白のことを
「李白一斗詩百篇」と言ったとのことです。
コメント
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