私が所属しております社団法人電気学会は、今年120周年を迎えました。<o:p></o:p>
この学会は工学系の学会としては、我が国で歴史が最も古いのではないかと思います。<o:p></o:p>
電気学会 1888年創立<o:p></o:p>
機械学会 1897年創立<o:p></o:p>
土木学会 1914年創立<o:p></o:p>
日本化学会1878年創立<o:p></o:p>
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イギリスの電気学会 IEE(The Institution of Electrical Engineering)<o:p></o:p>
の創立が1871年<o:p></o:p>
アメリカの電気学会 AIEE(American Institute of Electrical Engineers)の創立が1884年であることと比較しても、我が国が世界の主要な先進国に伍して早くからその重要性に目覚め、この会を中心にして電気の学術の発展に尽力したことが伺われます。それが今日の電気系学術の隆盛の基礎となったことは疑いのないことと思います。<o:p></o:p>
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志田林三郎博士ら先賢の努力により、明治21年6月25日京橋の学協会会館で電気学会の創立の通常会が開催される運びとなりました。<o:p></o:p>
そこで初代会長の子爵 榎本武揚は、電気の重要性を多くの事例を挙げて述べたあと、次のように結ぶ演説をしました。<o:p></o:p>
「以上開陳したる所に依りて之を考えれば、本会会務の範囲は甚だ広大にして、会員諸君が或は学理の蘊奥に叩き、或は実験の成績に照し、詮索考究すべき事項は決して少々にあらず。因って余は会員諸君の熱心協力に依りて他日、本会の目的を達し、此電気学会なるものは、本邦世運の開達、人生の幸福を増進するに於いて必要欠くべからざるの一大利器となり、果して会長演述の旨意に背かざらんことを熱望に堪えざるなり」<o:p></o:p>
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榎本武揚は、果敢に函館戦争を戦い、幕臣の意地を見せましたが、多くの同志を道連れにして敗れてしまい、結果として不幸な結末となりました。<o:p></o:p>
しかし、幕臣としてオランダに留学したこともあり、その地で懸命に欧州の優れた学術を学びましたのでその学識は深く、また当時、一級の外国通でもあったので、許された後に明治新政府において大いに役立つことになりました。(海軍卿、逓相、外相などを歴任)<o:p></o:p>
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