ドイツ日記 Les plaisirs et les jours

ドイツに滞在して26年経過。2年後に日本へ本帰国予定。ゴルフを始めて4年半ですが相変わらず下手な初心者ゴルファーです。

ローマ法王がケルンへ

2005年08月19日 | ニュース・トピック

本日は8月になっておそらくドイツで一番暑い日だったと思うけど、それでもこの辺りは28度。今年は本当に天気が悪い夏だった。この暑さも最後の打ち上げ花火みたいなもんで、また明日は崩れて夏もこれで終わりかも。

さて、16日からケルンで始まっていた「世界青年の日」のハイライトは本日のローマ法王ベネディクト16世の訪問だった。テレビはずっとライブで法王の空港到着から遊覧船でのライン河下りとかケルン大聖堂でのミサや聖堂前でのスピーチ、ガラス張りの車でのパレードなどをやっていてケルンは上を下へのの大騒ぎのようだった。

16日から始まっていたこの「世界青年の日」のイヴェントのために、世界中から数十万人以上の若者がケルンを中心に近郊の市に集まっている。うちの市でもライン河沿いの河原の芝の上に仮説テント小屋が幾つもできているし、知人の美容師は夫がドイツ人なのだが、彼はどうしても巡礼の若者の宿泊に自分のうちの部屋を提供すると言っていたらしい。彼曰く、「このボランティア活動をしないと自分は罪悪感いっぱいになって天国に行けない。」とのこと。また、私のダンスパートナーの同居人の太鼓腹Wは巡礼の若者たちへの炊き出しというか食事配給ボランティアで毎朝早くうれしそうにケルンまで通っているらしい。ふ~~ん、そういうものかネェ・・・と信仰心のない私は考えるのだった。

それにしても、21世紀も5年をすぎて世界中からカトリックのイベントのためにこんなにもたくさんの若者が集まってきて楽しそうに歌ったり踊ったりするのって・・何だか異様にも見えるなあ・・・再び首をかしげる不信心な私であった。それでもイスラムのモスクの中みたいにひげを生やした男だけじゃなく、各国の旗を振りながらも男女が友好的にしているのはまだ好感が持てるけどね。

ところで、「世界青年の日」が始まった16日にはブルゴーニュのディジョンの近郊テーゼ(Taizé)にあるキリスト教の共同体を創立した90歳になるブラザー・ロジェが、ミサの途中に大勢の信徒の目の前で頭のイカレタ女性に刃物で刺されて殺されてしまったのだ。直ちにこの悲報がケルンにもたらされ集まっていた若者たちは悲しみとショックに見舞われたのだった。

このテーゼの共同体は第二次世界大戦の最中の1940年にプロテスタントのブラザー・ロジェともう1人のフランス女性によって創立され戦争の避難民、とりわけユダヤ人の保護や後にはドイツ人戦争捕虜などの世話をしていたらしい。現在この共同体には世界の25カ国から100人あまりのプロテスタントやカトリックの修道僧が集まり、またそのうちの何人かはナイロビからニューヨークまで大都市の貧困地域で活動しているとのこと。で、このテーゼ村には毎年夏になると世界各地から何万人もの若者が瞑想などにやってきていてこれは今日の「世界青年の日」の集いの青写真となったらしい。

宗教にファナティックになる姿には引いてしまう私だけど、それに過去に数々の残忍な事件を引き起こしているキリスト教だけど・・それでも困っている人を助ける気持ちを持ち行動することは美しいとは思う。・・・しかし、そんなキリスト教徒が現在イスラム教徒に宣戦布告されているとは・・何とも皮肉なものよのう・・・。