陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

アニメ「神無月の巫女」ブックレットについて(三)

2018-11-13 | 感想・二次創作──神無月の巫女・京四郎と永遠の空

最近、往年の名作漫画などを執拗にお勧めして、若い世代に嫌われてしまう、ということがあるようです。私も気をつけねばいけませんね。老兵は去るのみ、妄想のすぎた病葉は散るのみ。頼まれてもいないのに神無月の巫女ハラスメントをするブログがこちらです。しかも、十一月になっても続くんです、この与太話。

しかし、自分が観ているアニメの制作者や漫画原作者、あるいは作家さんは、たいがい自分より先を生きた人が多い。当然、影響作なども古い作品が多いもの。小説家でも、自分が影響を受けた作家を掲げてリスペクトしている人はほほ笑ましくなります。逆にあきらかに過去の名作からしっかりと影響受けただろうに、さも自分がはじめて開発したアイデアであるかのように言い張る文筆家はうんざりしますね。芸術作品でもそうですが、すぐれた作品ほど過去をオマージュし、歴史に食い込み、文化の枝葉の一つになっていくものではないでしょうか。

たとえば、あるアニメ作品を気に入ったとして。
たいがい、そのアニメーターさんや漫画家に好意というか敬意を持つ人は多いでしょう。すると、そのクリエイターが語る過去の良作に興味を抱いたり、下手したら、その作家さんの生い立ちなどにまで関心をもってしまったり、することもありえます。最近、『ガラスの仮面』で知られる漫画家の美内すずえさんの子どもの頃のにせ絵日記がオークションで出回っていたそうですが、これも、現代日本でクリエイターが神聖化されつつある証左ともえるでしょう。でも、ちょっと、ストーカーっぽくって怖いですけどね。

かねてから、そこそこの人気アニメは資料集などが別売され、そこに製作者の声やインタビューなどが掲載されたものでした。クリエイターにも、クリエイターの卵だった時代があり、さらには、ただのいちファンだった幼年時代があるわけです。

そのクリエイターがですね、もちろん自信を持って自作を語るのもいいですが。
あたかも、子どもに還ったかのようにですね、自分の制作の根源にあるものの片鱗を見せるって面白くないですか。アニメだけでなく、漫画だけでなく、昭和の香りのするドラマだとか、景色だとか、玩具だとか、当時のお子様が争うように夢中になったモノ。

じつは、私がこの旧版DVD付録の、オールカラーブックレットを眺めていて受けた衝撃の一つがそれだったと言えるのかもしれません。なぜって、アニメだけ観ていたら制作者の声とか背景とかってわからないですよね、基本。漫画だったら、あとがきとか、著者近影とかにちょこっと作者の言葉が載っているから、人柄がわかりやすいですが。

このアニメが放映されたのは2004年、平成も半ばを超えた16年。なのに、平成の、最先端という感じがせず、なんだかちょっとほろ苦い、メロドラマのような涙と笑いをもよおすこのアニメの秘訣が、このブックレットにはもれなく記されています。と同時に、制作者のキャラクターまでもがわかるようになっている。

もちろん、このアニメはいまや芸能人までがファンだと公言する「エヴァンゲリヲン」や「少女革命ウテナ」のように、世に知られた作品ではないけれど。けっして、大資本の劇場版になって観客動員数で話題を呼ぶこともなくて、ソーシャルゲームになって経済を回してくれることもなく、むしろ、この作品より後に出た百合アニメのほうが新聞広告になって、いろいろメディアを騒がしてはいるけれど。作画が渾身のロボットアニメなのに、いまだにスーパーロボット大戦への参戦もないけれど。

好きな人には好きだが、嫌いな人には蛇蝎のごとく毛嫌いされる。
いまだに、作品評価は二分されてはいるけれど、それでも、どこか妙な忘れがたい魅力があるこのアニメの本質について、2004年放映直後のあの生々しい時期に──まだ、続編のあの「京四郎と永遠の空」すらもかたちになっていなかった──そのときの、制作者がわの声がたどれるもののひとつ、それがこのブックレットです。

余談ですが。
私はアニメ放映の第十一話と最終話がファーストコンタクト。その後、レンタルビデオで全話視聴したものの、DVDを扱ったのがはじめてで、特典映像などが再生できずに返却。そののち、ネット情報でオーディオコメンタリーなるものを知り、それ聞きたさに購入したのがこの運のはじまり。はじめて買ったアニメのDVDでしたので、アニメのDVDにはどれもこれぐらいの気合の入ったブックレットがついてくるのだと思っていましたね。

あまりに完成度が高い小冊子なので、毎年、このブックレットだけ別置きして、十月になるとていねいに読み返してしまうわけです。

制作者の声って、最近ですと、個人のブログやツイッターなどでもこぼしたりしていますけれど。この作品発表時の2004年では、原作者先生の専用サイトとアニメの公式ホームページはあっても、制作者個々人の声を聞く機会はあまりなかったといえるでしょう。会社のサイト上とかですと、どうしてもよそ行きの発言になってしまいますしね。

このブックレット、企画段階からの没になったアイデアなども載っていたりするのでなかなか面白いです。しかも、そこに載せられたのはごくごく一部。介錯先生、植竹さん、柳沢監督、それぞれの頭に電極つけて記録紙にアウトプットしたら、たぶん、ハローページぐらいの妄想話が取り出せそうです(不敬罪)。

その妄想もとい構想が結実したのが、のちの「京四郎と永遠の空」であり、漫画「絶対少女聖域アムネシアン」であり、またウェブノベル「姫神の巫女」であったりもするのでした。2004年の時点ではどこまで考えていたのかわからないですけれど、すくなくとも、このブックレットには続編の可能性は匂わされていたわけです。




さて、今年に入って個人的に驚いたニュースは。
なんと、神無月の巫女アニメ監督の柳沢テツヤ氏が、あの伝説のサンライズアニメ「鎧伝サムライトルーパー 輝煌帝伝説」に関わっていたという事実!! OPアニメーター;柳沢哲也(中村プロダクション)とあります。アニメスタッフデーターベースで検索すると、もうばっちり出てきます。ウィキペディアに載っていないから知らなかった…。ちなみに、氏の手掛けた「アイアンリーガー」「太陽の勇者ファイバード」ネタは、神無月の巫女ドラマCDにも登場します。まさか、自分が子どもの頃にハマったアニメに関わっているとは…。トルーパーも今年放映30周年で、BD版が出るらしいですね(詳しくはコチラ)。 というか、もうかなり前過ぎて、どんな内容だったかほとんど覚えていませんが。キャラデザの塩山紀生さん、もうお亡くなりになったんですよね。──俺のココロを鎧が走る!


アニメ「神無月の巫女」ブックレットについて(まとめ)
月には誰も知らない朽ち果てた社があるの。全ては其処からはじまりました──。感動の全十二話を堪能したあと、再観賞用に、保存用にオススメのDVD。今回はその旧版DVD付録のオールカラーブックレットで、作品をふりかえります。

★★神無月の巫女&京四郎と永遠の空レビュー記事一覧★★
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