陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

あなたの考えをあらわす、その一冊

2017-10-23 | 教育・学術・読書・子ども
打ち解けた初対面の人に、どんな本が好きですかと聞くことがあります。
思想調査になりますのであまり立ち入ったことは聞けないのですが、私は読書が趣味という人とは、だいたい取引や仕事でうまい関係になることが多いです。ただし、純文学や甘ったるい恋愛小説などは除きますが。

どんな本を読んでいるか知りたいのは、その人の人柄や考えを知りたいからなのです。また、そのひとがどんなストレス解消をしているかを知る目安にもなります。営業にいらっしゃった事業主さんがうさんくさかったけれど、曽野綾子の本を愛読していると聞いて、親近感を抱いたことも。政治や経済について熱弁をふるう地方の中小事業主さんは、あんがい勉強家なんですよ。自分にきちんとした教養がないと、恥ずかしくなります。

ポイントは、かならずしも、同じ本、同じ作家が好きではないこと。
映画でもアニメでもそうですが、同じものを好きな人は同志であるように思えて他のことも想いが共通であると見なしてしまいやすくなります。とくに女性はこの同一化現象が激しいので要注意。同じ方向を向いている人が、同じものを好きかはわからない。それは相手の領域の問題で、こちらが踏み込むことではない、とアドラー心理学も語っていますよね。

私はこのブログで載せているような趣味の漫画などの話は、現実では絶対にしません。いちおう外面というものもありますから(笑)。最近は、商工会の職員がお祭りでアニメのコスプレをしたりする時代ですけれど、地方振興策として楽観的に若者カルチャーに依存しすぎるのはよくないと考える。

就職活動で、面接時に読書歴を訊ねられることがありますよね。
日経新聞を読んでいますと答える学生さんは多いでしょう。経営者さんは立志伝中が好きなので、司馬遼太郎などの歴史小説や、山崎豊子などの企業小説を好む人がけっこういます。就活でなくても、採用後の社内研修時や、もしくは先輩や上司と仲良くなったときに、好きな本や雑誌を問われることは多いもの。本さえ読んでいればいいものではありませんが、仕事ができる人は、やはりよく勉強されています。若いのに渋い本を読んでいるな、そのなかの一節でも引用して、自分の考えを付け足して述べられたら、評価も違ってくるかもしれませんね。

ちなみに、私はかつての職場の女性の先輩に、参考になったビジネス書はある? と聞かれて、即座に名前が出てきませんでした。その方いわく、題名も浮かばず、中身もすぐ思い出せないようならば流し読みしているので、身に着いていないよね、とのこと。まことにおっしゃるとおりです。

本や雑誌(週刊誌やネタ本のような下世話なものを除く)は、ある程度の識者が執筆していますし、公序良俗に配慮もしていますから、インターネット上のどす黒い感情に包まれた文章と違って、こころがあまり荒むことは少ないです。また、いちいち、PCやスマホを起動しなくて済むのもいいですね。

昔のインテリゲンチアは、「デカンショ」といって、デカルト・カント・ショーペンハウアーの著作を読むのが、知的なステータスだったそうです。デカルトは科学っぽい考察があるのでわかりやすいのですが、カントとショーペンハウアーは挫折しました。トレンドやベストセラーの本を愛読書にあげるのもいいですが、ときには通といえるような、自分だけの名著の名前を出すと、ひと味違うと思われるかもしれませんね。だいたい字面を追っているだけで、中身をしっかり理解していないままになってしまうのですが(笑)。



読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。


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