陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」

2017-05-22 | 映画──社会派・青春・恋愛
1997年のドイツ映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」(原題:Knockin' on heaven's door )は、死を宣告された男二人が車で海を目指すロード・ムービー。ドイツ映画というと暗い画調で陰鬱な話という気がするのですが、こちらは新進気鋭の作り手らしいノリの良さ。冒頭から引き込まれます。

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア デジタルニューマスター [DVD]
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア デジタルニューマスター [DVD]角川映画 2009-11-20売り上げランキング : 1918Amazonで詳しく見る by G-Tools



脳腫瘍と骨肉腫。いずれも末期癌で余命わずかと知らされたマーチン・ブレヒトとルディ・ウルリッツアー。
入院した病棟でたまたま顔合わせした二人は意気投合。最後の想い出にルーディが見たことなかった海を訪れようと、病院を抜けだします。

この設定、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン主演の「最高の人生の見つけ方」と似ているのですが、異なるのは二人の男が冒頭に出てからの騒動。二人が盗んだのはじつはギャングの車。そこには銃と大金が積まれていて、もはや残り少ない人生の彼らでありますから、やりたい放題。とくにワルぶってるマーチンのほうは俄然やる気です。

とうぜんギャングからも警察からも追われる身(このあたりが「テルマ&ルイーズ」を思わせる)となりますが、このギャングのコンビもどこか間の抜けたところがおかしい。自分の車を勘違いしたり、ニアミスでマーチンを発見したのに気づかなかったり、強盗で先を越されたりといろいろ惜しい。とはいえ、恐ろしい相手には違いないのですが。トンマっぷりなら警察も負けていなかったり。

逃亡中にも頻繁に死の恐怖が二人を襲います。
庇いあって絆を深めていく男たちがいいですね。愉快犯的に犯罪を犯して二人ですが、犯罪には及び腰だったルディのほうが銃をとらざるを得ない場面の切実さ。しかし、二人は心底悪人というわけではありませんし、盗んだお金もそもそも裏世界のものですから罪悪感も薄れがち。そこがこころ憎い。しかし、現実にこんなことやったら大問題なんですけどね。巻き込まれた紳士がかわいそう(笑)

転んでもただでは起きないといいますかね。機転を利かして追っ手の網を切り抜けるものの、ついにはギャングに捕まってしまうわけですが、そのエピソードまでが練りこまれていておもしろい。二人が目的を果たすことができるかどうかはあえて書きませんけれど、なぜこの二人がそこを目指したか、ラストの男たちの背中で分かりますね。天国の扉は彼らにとってそこで開かれていたのです。そして太陽が沈んでいくのあわせて、魂が昇天していく。なんとも印象的なラストです。

主題歌はボブ・ディランの「天国の扉」
タイトルはそれに基づいているわけですね。本国ドイツでは大ヒットした映画だそうですが、東西統一後はじめてハリウッドらしいエンターテインメントを発揮したせいなのでしょうか。
ドンパチとギャングのロードムービーなのですが、詩的な台詞回しがなかなか利いていますね。

監督はトーマス・ヤーン。
出演はマーチン役にティル・シュヴァイガー(脚本も担当)、ルディ役はヤン・ヨーゼフ・リーファース。終盤に出てくる親分役のルトガー・ハウアーは「ブレードランナー」で知られる俳優。端役ながらいい味出してますね。

(2011年6月8日)

この記事についてブログを書く
« そのアニメ、儲かりまっか? | TOP | たとえば、こんな宮様倍増計画 »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 映画──社会派・青春・恋愛