陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「燃えつきるまで」

2021-01-05 | 映画──社会派・青春・恋愛

ハリウッド系の映画の恋愛ものってつくづく派手ですよねえ。
でも、事実は小説より奇なりの言葉にあるとおり、つくられた物語よりも摩訶不思議な展開や出会いというものは、あるものです。今回はそんなラブストーリーを紹介しましょう。

1984年のアメリカ映画「燃えつきるまで」(原題:Mrs. Soffel)は、死刑囚と信仰深い所長夫人との危険な愛の行方を描いたラブ・サスペンス。実話を基にしています。

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1901年、ピッツバーグ、アレゲニー刑務所。
殺人事件で投獄されてしまった20代のビドル兄弟が死刑判決を受ける。刑務所所長夫人のケイト・ソフルは、所内で聖書の教えを説いてまわる信心深さで、こころ優しい。兄のエドはそんなケイトに惹かれていく。

死刑判決が迫るになか、兄弟はともに脱獄。
エドはケイト夫人を連れて逃避行をはじめるが…。

実は脱獄を手引きしたのは、他ならぬケイト夫人。
夫も4人の子供もある身、しかも刑務所所長の夫人が、美男子でひと回りも若い死刑囚にうつつを抜かして逃がすなんて、なんとふしだらなと思われるかもしれませんが、ビドル兄弟は濡れ衣を着せられたのですね。以前から兄弟の無実を訴える世論は多く、夫人も知事に兄弟の助命を嘆願しますが、聞き届けられなかった結果なのです。

兄弟は家族のもとに身を寄せますが、母たちはケイトに対して好感情を抱いてはいない。三人は列車でカナダまでの逃避行をつづけ、エドはケイトと夫婦を装っています。しかし、ケイトに首ったけの兄貴に嫌気がさして兄弟仲が悪くなったり、結婚指環を巡ってエドと喧嘩になったり。

いっぽう、脱獄は話題を呼び、死刑囚の二人には多額の賞金がかかります。
ケイトの頼みで追っ手にすら乱暴に抵抗できない。やがて事件を担当する刑事が率いる騎馬隊に追いつめられた三人。生きて捕まりたくはない。そう願ったケイトに乞われたエドは彼女に向けて銃を放ち…。

ケイトはたとえ戻ったとしても、元の所長夫人として、敬虔な母としては暮らせない。行き着く先には絶望しか待っていない、そんな極限状態に置かれている二人が、雪深い冬山のなかで燃え上がる炎のように、恋情を掻き立てていくさまに引き込まれていきます。

ケイトは冒険をして大胆になっていくのも見どころ。
淑女然とした家庭的な妻が、開放的になるというのもやはり危険な恋の為せる業か。しかし、彼女は自分の犯した罪の報いを受け入れねばなりません。塀を前にして入るけれど位置が違う、そしてそこには塀越しに愛情を募らせ、詩を交わしあった相手がいない。その切なさが胸に迫る悲しいラストです。危険な恋に囚われてしまった女、はたして愚かだと思うか、美しいと感じるか。実話だけに思いは人それぞれかと。それにしても、許されない恋の話はなぜこんなにおいしいのでしょうか(艶笑)。

監督は「若草物語」(1994)のジリアン・アームストロング。
出演は「陰謀のセオリー」のメル・ギブソン、「恋愛適齢期」のダイアン・キートン、「フルメタル・ジャケット」のマシュー・モディン。ギブソンは若い頃から、あんな渋い声なんですね。声だけですぐ分かります。


(2011年8月6日視聴)

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