陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

カラダは病を欺けない

2018-11-21 | 医療・健康・食品衛生・福祉

外国人労働者の就労拡大をもくろんだ、出入国管理・難民認定法の法改正をめぐって、連日にぎわっている模様の国会。なかでも批判材料として出される技能実習生への酷使や、専門学校生や留学生をすでに人手不足分野の貴重な戦力として依存せざるをえない日本の労働現場のいびつな構造が明らかになっています。日本人対象であるはずの専門スクールが実際はほとんどがアジア圏の学生ばかりで、不法滞在で退学せざるをえなくなったという事態も報じられていましたね。

技能実習生においては、日本の最先端技術を働きながら習得するという名目であるにもかかわらず、実情は単純労働ばかりを不当な待遇で担わせていたケースも多い。事故で疾病障害を負っても、勤務先が労災を適用しないというとんでもない事例も。労災はたとえアルバイトであっても一人でも雇用者がいれば会社は適用事業所にされますし、労災事故が生じて未加入が発覚すれば、罰則もあります。日本人労働者をリストラして安い労働力のベトナム人介護士をほぼ休みなく働かせた結果、過労で帰国せざるをえなくなったりも。労働力をまず安易に外に頼る前に、国内でまず自浄作用が必要だと思いますが。将来的に、慰安婦問題や徴用工みたいに、国家規模で賠償問題にされるでしょう。「おもてなし」の日本のはずが、そのうち「こきつかい」の日本だと揶揄されるのが目に見えています。

そのいっぽう。
不法滞在の移民や治安悪化の懸念とともに、取沙汰されるのが、世界に例をみないほど恵まれているとされる日本の医療保険制度の悪用。神戸市では在日のベトナム人姉の保険証をつかって、なりすまし受診してエイズ治療を受けていた女性がいたらしい。国民健康保険は市町村が徴収する税金で運営されていますし、会社員が入る健康保険は厚生年金ともども、保障がさらに手厚い。日頃、健康管理に留意しめったなことでは病院にかからない被保険者からすれば、毎月数万円も健康保険料が給与から天引きされているのに、医療費が無料にされた生活保護者や、病院を老人クラブのようにはしごしているお年寄りへの反発は根強い。そこへ、このなりすます受診の知らせ。

外国人だけの差別にならないように、日本人もすべて医療機関受診時の本人確認義務を徹底するようです。外国人ならば在留カードですが、日本人ならば運転免許証でしょうかね。以前からふしぎだったんですよね、顔写真がないのに、保険証を身分証明書代わりに使用できるというのが。そのいっぽうで、免許証がない人もいるので、これを機会に証明写真付きのマイナンバーカードの普及を進めたい考えのようですが。

この健康保険証の貸し借り、信じられないのですが、ネット上でもバレないし処罰されないから大丈夫という書き込みを見かけます。
いやいや、とんでもない話ですよ。昔、私が住んでいたマンションの近くにいた人で、派遣で働いているが社会保険に加入しておらず、保険証を持っていなくて、いたって健康体だからだいじょうぶ、虫歯にでもなったらそのときだけ全額自己負担する覚悟あるから!と豪語している方がいましたが。病院にかかった時点で、それまで未払いだった国民健康保険料の督促がきますよね。市町村への税金と同じですから。会社辞めたのに、協会けんぽや健康保険組合の保険証を使って受診していたら、両手が後ろに回りますよ。どんなにからだに気をつけていても、不意に交通事故に巻き込まれることもあるでしょうし。

世の中にはいろんな家庭の事情があり、民法772条嫡出否認の訴えに阻まれて(いわゆる離婚後300日問題)、戸籍がつくられないまま暮らしている人も現にいます。国民健康保険証が得られなければ、仮の保険証(資格証明書)を渡され、それで病院を受診することもできます。会社員でも入社すぐで保険証が間に合わないときは、申請すれば「健康保険被保険者資格証明書」をもらえますよね。

しかし、重ねていいますが、安易に保険証の貸し借りをするのはやめてください。
学生の皆さんは、親御さんの保険に入っていて自分で保険料負担していないので重みに気付かないかもしれませんが。自分のキャッシュカードをうかつに他人に預けるのと同じです。保険証はれっきとした身分証明書ですし(扶養されているか、勤務先までわかる)、他人の保険証を用いれば身分詐称になりますし、それで医療を受ければ不当利益を得たことになります。そもそも、他人に貸して利用されたら、自分が知らない病歴や医療機関の受診歴が残ってしまうのでは。医療カルテは医療機関ごとに保管され、保存義務は5年間。しかし、他医療機関へ紹介状を書く際に送られますし、日本ではいまだ電子カルテが普及しているわけではないですが、人間の健康情報はビッグデータとして重視されていますし、市町村単位で個々人の既往歴のデーターベースをもくろむという向きもあります。

──となれば。
たとえば、あなたが一時的に気の迷いで友だちやきょうだいなどに貸してしまった保険証のせいで、将来、安全に受けられるはずの治療が受けられなくなったりする恐れがないわけではない。アレルギー体質がないはずなのに、あるものとしてリスクや費用のかかる治療法を選択されてしまう。手術をしたわけではなくても、肺炎を病んだ痕跡などは完治しても残っていて、健康診断でずっと引っかかります。もし、医師の判断を狂わすような材料をもちこんでいたら、後年命とりになりかねないでしょう。

そもそも、契約書での名義貸し、替え玉受験、ゴーストライター、ペーパーカンパニーなどもそうですが。
実態もないのに目先の利益のために、他人の存在を借りる、あるいは貸し付けることへのハードルが低いのは、自己という重みが感じられないことへの裏返しであるのかもしれませんね。



【関連ニュース】
日本の保険証が狙われる~外国人急増の蔭で(クローズアップ現代 2018.07.23)

外国人の医療保険ただ乗りもむろん問題ですが。そもそも、現役世代で健康に留意し、医療機関のお世話にならず、まじめに保険料納付している人には、キャッシュバックがあるとか、減免があるとか、そろそろ、車や住宅の保険みたいな優良被保険者への優遇措置があった方がいいとは思います。それをやれば、相互扶助の理念が崩れ、生まれつき障害や病気持ちの方から差別だという反発があるのでしょうけれど…。まあ、確定申告時の社会保険料控除が増えるという恩恵はありますけどね。


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