陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

フィギュアスケートGPファイナル2011(三)

2011-12-17 | フィギュアスケート・スポーツ
カナダのケベックで開催された、フィギュアスケートGPシリーズファイナル戦。
男子シングルは予定通り六人で争われました。その六傑のショートプログラム演技を順に紹介すると。

一位はカナダのパトリック・チャン選手。
曲はポール・デスモンド 「テイク・ファイブ」。スコアは86.63点。
この人はとにかく、終始、パフォーマーですね。冒頭の二連続ジャンプでかなり高いのを飛びますが、壁に激突して思いっきり転倒してます。そのあと、着地が危なっかしいシーンもありましたが、減点一点におさえています。審査員に評判がいいんでしょうね。リンクを精いっぱいつかって動いてはいますし、開催国でもあったし。まあ深くつっこまないことにしましょう。

二位は米国のジェレミー・アボット選手。
曲はベニー・グッドマン作「素敵なあなた」~映画「スウィング・キッズ」より。スコアは82.66点。
日本でいえば、小塚選手に相当するタイプなのではと個人的にかってに考えているアボット選手。今季はややワイルド(というかセクシー?)な感じです。特にズボンの吊り紐をつかんだしぐさはじめ、振付けがなかなかおもしろいですね。ノリのよい曲調に乗って、会場を湧き立てようとするうまさがあります。スピンの最中の手の位置もアピールを狙っています。正当派タイプだと思ってましたが、こんな型破りな楽しい演技もできるんですね。

三位はスペインのハピエル・フェルナンデス選手。
GPファイナル初進出の二十歳。スペインでは第一人者だそうですが、バンクーバー五輪ではふるわず十四位に終わっています。
曲はザ・ウィットネス「アイ・ラブ・パリ」。スコアは81.26点。
冒頭のジャンプは質が高かったものの、二度目のジャンプでやや着氷が揺らいでしまいますが、後半、着実にたてなおしてまとめています。片膝をついて回る演技、以前だったらエキシビジョンでしか許されなかったような気がするのですが、現在は試合でも解禁されているのでしょうかね。甘いマスクもあいまって、人気が出そうな選手です。

四位は日本の羽生結弦選手。
滑走順では最初だったのですね。シニアデビュー二年目、十七歳にしてのファイナル進出。今後の活躍が期待される若手。
曲はアレクサンドル・スクリャービン「12の練習曲作品8 悲愴」。スコアは79.33点。80点台には届きませんでしたが、技術点だけで半分以上を占めており、安定感を示しています。
他選手がややエンターテインメントに走った選曲であるに比べ、ただひとり、古典にかける気概を感じますね。途中、着氷の乱れであわや転倒かという場面もありましたが、からだのしなやかさと手足の長さを生かした演技と単発のかなりダイナミックなジャンプに助けられたような。四回転は失敗したようですが、残りふたつのジャンプは成功。終了後にしきりと残念そうに顔を歪めていた部分に幼さを感じますけれど,彼の真骨頂はフリーですよね。

五位は日本の高橋大輔選手。
シリーズ戦のカナダ杯では三位に終わった雪辱を、おなじ地で晴らせるのかが見どころ。しかし、優勝候補と目されていた日本のエース、大きく出遅れました。スコアは76.49点。
曲はVas「イン・ザ・ガーデン・オブ・ソウル」。
冒頭、今季はじめて挑んだという四回転が両足着氷となって回転不足とされたのが悲しい。連続ジャンプのところを着氷でつまづいてしまい、単発に終わってしまったのも悔しい。解説によれば落としたのは三回転なので、四点を失ったようです。とはいえ、ステップは他の追随を許さないほどハイレベル。彼らしい独特の柔らかさと粘りのあるステージでしたね。ジャンプの損失は演技構成でカバー。高橋選手がここで終わるわけがない。後半のフリーでは大躍進を果たしてくれます。

最下位はチェコスロバキアのミハル・ブジェジナ選手。(誤ってブレジナと表記してましたが、ブジェジナが正しい)。二十一歳の若手。
曲は和太鼓の「鼓童」。スコアは75.26点。
演技に隙き間が多く、高いジャンプを飛んだあとに転倒してしまったのが惜しい。後半のステップではよく動いているのですが、上体の表情がやや散漫すぎる印象。
振付けを依頼したのは、パスカーレ・カメレンゴという元アイスダンスの選手ですが、高橋大輔選手のバンクーバー五輪SP『道』を観て、感動したからだそうです。かなりの親日派のようですね。日本人選手の活躍のみならず、日本の楽曲が愛用されるという面でもまたフィギュアスケートは楽しいものです。


男子陣は今回、美丈夫揃いだったせいか、会場の熱気が女子に比べると高いように感じましたね。(ただ高橋選手、羽生選手のときだけ拍手が少なかったような…)そのせいか、この六人、やたらと張り切ってしまったようで、ふつうなら避けて通るであろう四回転にアボット選手のぞく五名が挑戦してしまったようです。いや、むしろ、彼らが練習から気合いはいりすぎていたために、会場がヒートアップしてしまったのでしょうか。女子は浅田真央選手がいなくて、やや白けた感じもしただけに。


【参考サイト】
フィギュアスケートYoutube-動画Blog
スポーツナビ フィギュアスケート
テレビ朝日 フィギュアスケートグランプリシリーズ世界一決定戦

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