陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

それでも、やっぱり奈良が好き。

2017-09-10 | 政治・経済・産業・社会・法務
この時期あたりになりますと、大手報道局がまる一日かけてテレビ番組をジャックして、独自の企画をやらかします。そのひとつ、フジテレビ系列FNSの27時間テレビ。今年のテーマは歴史なのだそうですが、その放送中のなかで、奈良県出身の芸能人たちがいかに郷土が不遇であるかを訴えるという一場面がありました。明石家さんまさんは、奈良育ちなんだそうで、意外で驚きです。

私は奈良県の在民でもなければ、出身者でもありませんが、奈良にはひとしおの愛着があります。歴史好きな方って、たいがい、京都が好きですよね。とくに女性で。陰陽師とか、源氏物語だのの平安文学とか、幕末の維新の志士やら新選組とか。外国人に日本の好きな観光スポットを訊ねても、かならず京都がナンバーワンになるはずです。そんな京都に負けがちな奈良をこそ、私は応援したい。ちなみに歴史ある街でいえば、奈良と鎌倉と倉敷が好きです。

このテレビ番組内で紹介された奈良の弱点といいますのは、内気な県民性なのであまりPRしたがらない、音楽や寄席などの上方文化を親しむアバウトさがない、景観が地味で目立たない、といった点。古墳や遺跡の宝庫なので、土地を開発することができず、地下鉄も通せないので不便ということ。商業地として人気がなければ、地価も上がらないので、自然、経済も所得も逼迫することになります。遊園地も二回潰れてしまいましたし、大型百貨店も撤退するありさま。

しかし、裏を返せば、そこが他県にない魅力といえます。
私は学生時代とそのあと数年関西圏にいましたが、いちばん付き合いやすかったのは、奈良県と和歌山県の方。友だち少ないくせに僅かなサンプル数で結論を出してはいけないと思いつつ、言わせてください。京都人(もしくは京都に近い北大阪)はなんとなく偉そうだし、神戸人はおしゃれだけど打算的だし、大阪人は南が義理と人情を大切にするけれど、ちょっと癖がある。奈良人はがめつくなくて、控えめだし、というのが、私のいまとなっては貴重な在阪経験からくる刷り込みです。

日本の歴史上、本格的な律令制度が整えられた古都であったのに、その後、京都にお株を奪われてしまった奈良県。派手好きな京都人からはなんとなく見下されがちな奈良県ですが、京都のように町屋のすぐ横に現代的なビルが建っているというような、ちぐはぐさがないのも、それはそれで魅力的。世界最古の木造建築とされる法隆寺がこの21世紀に拝めるのも、変化の波を受けなかったから。日本を空襲した米国の爆撃機も、その価値を知っていたから、あえて避けたのです。

ちなみに、私がいちばん声を大にして言いたい、奈良の魅力。
大仏様も、由緒ある寺院も、柿の葉寿司も、鹿もいいけれど、それは夜空。どのような田舎にも、美しい星空はあります。しかし、古代の人も同じものを眺めていたのだと、じんわりと胸が熱くなるような、あの荘厳にして静謐な星空があるのは、おそらく奈良だけでしょう。しかし、それを見たのは、もう十年以上前なので、現在はコンビニの出店でやや薄れているのかもしれませんが…。

誰にでも、その場所に立つと魂が響きあうような瞬間というのがあります。
東京や京都ではあまりそれを感じなかったのですが、奈良や鎌倉ではそれを感じます。えせ貴族めいた浮ついた雅っぽさがなくて、質実剛健さがあるからなのでしょう。ただ、奈良や飛鳥のような古戦場だった場所は、なんとなく、通ると背筋がひんやりするような不気味さはありますよね。


『ささやき』 ジャンルのランキング
この記事についてブログを書く
« 映画「ベオウルフ/呪われし勇... | TOP | 映画「タイムマシン」 »
最近の画像もっと見る

Recent Entries | 政治・経済・産業・社会・法務