陽出る処の書紀

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神無月の勇者・大神ソウマの秘め力(四)

2017-12-17 | 感想・二次創作──神無月の巫女・京四郎と永遠の空
ツバサ戦に勝利を収め、姫子に告白も果たしたソウマ。
はじめて誰にも邪魔だてされずに無事にデートを終えたその夜。ソウマの前には現れたのは、敵としての姫宮千歌音でした。千歌音は(その当時の初心なソウマなら)絶対にしないであろう行為に及び、姫子をもソウマをも徹底的に傷つけ、そしてさらには愛機タケノヤミカズチまで強奪してしまいます。姫子をめぐっての、ソウマと千歌音のラブゲームは、ここにきてソウマの絶体絶命のピンチであるかのように思われます。

ソウマにとっての作中、最大の敵にしてラスボスは姫宮千歌音だったか。
さきほども申し上げたように、ソウマにとって勝たねばならない相手は、ツバサであり、弱かった自分、優しかった過去への訣別でした。血を分けた兄弟さえも裏切っても、貫きたい意志がある。だからこそ、ソウマは大人になれた。そして、実のところ、千歌音にとってもソウマは真の敵ですらありませんでした。最終決戦で千歌音は、姫子ただひとりがアメノムラクモに搭乗してくることを望んだからです。姫宮千歌音は、大神ソウマと敵対したかったのではなく、愛する姫子と敵として対峙したかったのです。ですから「じゃまなお供まで連れてきて」という言葉を投げたのですね。べつに、千歌音はソウマを嫌ってはいないのです。それどころか、最終回の告白によれば、自分が消滅した世界で、姫子がソウマと結ばれて、真琴たち友人と平和に暮らすことを望んでいたわけです。

ところで、前々から不可思議に感じていたことがあります。
巫女ふたりが祈願して覚醒させるべき神機アメノムラクモ。搭乗するにも、当然巫女ふたりでなければならなかったはず。しかし、なぜにソウマが姫子と乗り込むことができたのでしょうか。しかも、ソウマはもともとオロチ衆の一員だったはずですのに。

八話で千歌音がソウマに対して明らかにしたように、ソウマの勝利はすべて姫子に内在するパワーの手助けがあってゆえのものでした。おそらく、姫子の陽の巫女のとしての力は、彼女が愛情を注ぐ対象に効果を発揮するのでしょう。太陽が天体を照り輝かせるように。大地をあたためていくように。ソウマの必殺業に日輪の冠がつくことも、その証左と見てとれます。ですから、姫子と側にいる以上、ソウマはオロチロボットにも勝つことができた、と考えるのは不思議ではない。

しかし、最終戦で姫子はオロチ戦から離脱し、千歌音のもとに走ります。
つまり驚くべきことに、巫女としての本分を全うせず、アメノムラクモのコクピットから降りてしまうのです。オロチの合体邪神と孤軍奮闘し、ついに粉砕したのはソウマのみでした。それはなぜだったのか。

私はある仮説を立てます。
それは、ソウマ自身にもアメノムラクモを動かせる潜在能力があったということ。つまり、巫女としての資質があったということです。男の子なのに巫女?と思われるかもしれませんが、この作品での「神無月の巫女」という役目は、オロチを封印すべく選ばれた運命のふたり、だと広義に解釈すれば、それは別に少女ふたりでなくともよいのではないか、ということになります。そのような前提に立てば、本作が百合作品であることの意義がなくなってしまうわけですが。

大神ソウマと姫宮千歌音はじつは、もともとひとつの存在が分離したものではないか、というのが,この仮説における想定です。つまり、もともとは同じ月の巫女だったが、転生するにあたって二つに分かれてしまったのではないか、と私は考えるのです。陽の巫女たる姫子ただひとりでムラクモを降臨せしめたように、月の巫女の因子を持っている人物なればこそ、ソウマはムラクモにただ一人でオロチ本体に勝利することができたのではないか、と。

この考え方は、「京四郎と永遠の空」における白鳥空とワルテイシアとの関係とも言えますし、かつ、「絶対聖域アムネシアン」でも見受けられますね。個人主体ではなく、主人公に対する役割と考えると、大神ソウマと姫宮千歌音は同一存在になり、けっして反発しあうことはないのです。

おもしろいことに、ヒンドゥー教では「ソーマ」という名の月神がいるそうな。『食戟のソーマ』とかいう人気漫画もありましたが、ソウマという風変わりな名前は、ここから採用されたのかもしれませんね。


神無月の勇者・大神ソウマの秘め力(目次)
神無月の巫女考察シリーズ第三弾。絶対にやってはいけない(?)大神ソウマの視点から、アニメを解釈してみよう!

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