陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

あれからの神無月の巫女、これからの姫神の巫女(十)

2021-04-12 | 感想・二次創作──神無月の巫女・京四郎と永遠の空・姫神の巫女
剣の舞踏会、実質第三ラウンド開始!
BGMはSupration‐core‐でお願いします



付き合っているときは両目を見開いて、いざ結ばれたあとは片目を瞑って。恋愛に絡んだ教訓として言い古されていますけども、好きな相手に全幅の信頼を寄せてしまうことは愚かなのか。つゆほども疑わないことは美しい愛なのか。そんなことをふと考えてしまいます。

遅ればせながら、漫画『姫神の巫女』第十話のレビューをします。
神無月の巫女のスピンオフ漫画とうたわれたこの漫画も、運命のあの場面を迎えます。

2021年2月発売分の雑誌『電撃マオウ』4月号に掲載され、コミックウォーカーでもすでに電子書籍版が無料公開中なので、ネタバレに配慮しない全開レビューです。単行本待ちの方はくれぐれもお気をつけください。


*****


儀式直前に、媛子に想いをぶつけようと最後のデートとしゃれこんはずだった千華音ちゃん。しかし、うっかり媛子のあの秘密の日記を覗いてしまい、彼女の本意を知り打ちのめされてしまう…。

修羅場です、修羅場です、修羅場です。
しかし、かつて、こんなにも痛ましいふたりの決裂があったでしょうか。アニメ版と違ってクレイジーファンタジー(といっても、姫宮千歌音は別にサイコなんとかではないのだが)じみてないだけに、なおさら等身大で傷つく女の子どうしの裏切り、あるあるです。

とうとう、この瞬間がやってきてしまいました。
日記発見の契機になる媛子の服が乙橘学園制服っぽかったり(前回九話)、わざわざ一張羅にお着替えしてきたり、このあたりは媛子の作為なのか、どうなのか。


(ひぐらしのなく頃に出演できそうな、
媛子の すごい 殺人オーラ!
全世界のひめちか臣民が衝撃
((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタカタカタ )


媛子の字面を追う千華音の表情がなんとも言えないですね。
文体が異なっているのは、前半部が誰かの指示だからか、それとも、これが日之宮媛子の素だからなのか。日記のさりげない一文なのですが、七話のあのスカイタワーでの再会場面の麗しさが壊れる…。ウェブノベル読んでたときに、都会で日時場所知らせずに待ち合わせなんて神業では、と思ってました、たしかに。

二度目の「私を殺していいよ、千華音ちゃん」の表情がやはり怖いですね。媛子、催眠術にかかっているような虚ろな瞳です。千華音ちゃんをもう見ないようにしてるみたいな。目の表面にアルミの膜貼ってそうな。

儀式は次回お預けなのかと思いきや、御霊鎮めの儀がしっかりとはじまってしまいます。剣戟シーンはなかなかの見ごたえ十分。どちらかといえば、千華音ちゃんの優勢か?

タペストリー絵では全容がわからなかった御神巫女の衣裳。
女袴型で丈が短く、ニーソみたいなものを穿いています。黒と白とで対になってるんですね。ついでに白衣にも刺繍があり、第一話の最後の神無月の巫女EDパロディ絵にはなかった後付けと思われます。ちょっと中華っぽい? 驚いたのは足もとで、ふつうの靴なんですね。JKが巫女のコスプレしてるみたいな。

今回のお話で特筆すべきなのは、御霊鎮めの儀直前の千華音の心境が描かれたことです。
ウェブノベルだとおそらく発狂して双磨はじめ九頭蛇に取り押さえられたのではないか、と推察されるがぼかされている、あの空白部分。

千華音は媛子と並んで、霊句子さまの面前へ連行されたものの、手枷を嵌められて奴隷のような扱い。禊をしている際も、あの双磨にさえ気遣いされてしまう始末。


(押しキャラの窮地を眺めてご満悦な
腐女子の自画像みたいで
微笑ましいですね (´∀`*)ウフフ)


この場面、双磨の微笑がいわくありげで不気味なのですが、私はむしろ千華音を鼓舞して戦意を喪失させないようにしているように感じられました。わざわざ日乃宮家の策謀を洩らしているあたり、実は九頭蛇のなかでも、彼は味方なのでは…? ひょっとすると、千華音が水に沈んだまま浮いてこないのかもと危ぶんで、生きて戦うことを確認したうえで枷を外してあげたのかも。介錯先生のキャラは最終的には勧善懲悪にはならないことが多いので、どうなんでしょうね。彼は神無月の巫女の大神ソウマもとい、絶対少女聖域アムネシアンの大神先輩みたいな要素もあるのかも?

そして、四の五のと言い訳したりも、暴言を吐いたりもせず、ただ「逃げる理由が私にはない」と運命に向き合う千華音の潔さ。なんと悲しい前向きさ。このあたりが、やはり千歌音ちゃん気質ですね。

儀式開始時の鈴を鳴らす演出などなど、アニメ神無月の巫女オマージュにとどまらない仕掛けは、この漫画版ならでは。
媛子の文面に打ちのめされた暗い悲しみの涙をこぼした千華音が、その同じ瞳に煮えたぎる怒りをともらせる最後は、なかなかの圧巻です。「媛子ぉおおおおお」という雄叫びのシーン、もはや少年漫画の血気に逸る主人公そのものです。

この十話のみでアニメの一話分ぐらいに相当するような濃度があり、天地の起伏があり、儀式の初めの部分と中間とを入れ替える構成で、千華音の心の揺らぎと切替えを表現しており、緊迫感が途切れないのがよかったですね。

ところで、二話での媛子を襲う刺客は九頭蛇で、じつは六話のコンビも…というのがやんわりと語られたあたり、正直、どこから仕組まれていたのかと悶々とします。千華音ちゃん、正々堂々と勝負しようとしたのに、やるせないですよね…。

彼女の想いが報われる日はくるのか、もう全身狂気の血を好む戦士然とした姿にはそれを望むべくもなく…。何度も言いますが、媛子、お前罪なオンナだなあと…。

なお、姫神の巫女第二巻は5月27日発売決定とのこと。
この十話を読んでしまうと、第一巻のおまけ漫画の印象が恐ろしいくらいに変わってしまうこと請け合いです。ほのぼの百合もいいけれど、殺伐とした百合も、令和発神無月の巫女スピンオフ漫画の持ち味なのです。


*漫画「絶対少女聖域アムネシアン」&ウェブノベル「姫神の巫女」、そのほか関連作レヴュー一覧*
漫画「絶対少女聖域アムネシアン」および、ウェブノベル「姫神の巫女」、そのほかの漫画などに関する記事です。

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