陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

子どもだからと言ってタダにはならない

2017-11-07 | 教育・学術・読書・子ども
少し嫌な話をしますね。
私の小学校の級友で、身長が極端に低い子がいました。柔ちゃんこと田村亮子選手並みに。その彼女が大学生ぐらいのとき、「自分は顔が可愛いし小学生に間違えられることが多いから、たまに電車を子ども料金で乗っている」と自慢げに話したことがあります。皆さん、どう思われますか?

ある新聞の投書欄にあった、中学生男子の問いかけが目に留まりました。
中学生から電車料金が大人扱いになるのがおかしい。中学生は義務教育だし、戦前の小学生までの義務教育を反映しているか。日本の教育費も高いが、運賃を安くすれば両親の経済的負担も少なくなり、少子化対策につながるはずだ、という内容。

博物館は、施設によりますが、小中学生、下手したら高校生まで割引料金がありますよね。
電車やバスで中学生料金がないのは、なぜなんでしょう。

私が思うに、「中学生は電車に日常的に乗る機会が少ないから」が理由ではないでしょうか。
商品やサービスの値段は、需要と供給によって決まりますよね。単価×人数で、会社は売上を考えます。鉄道のようなすでに設備投資された、客を待つだけのサービスは、どれだけ頭数で稼げるかが勝負。スーパーでも薄利多売、買い手が多ければ利益確保できますので価格を下げます。遠くの私立の中高一貫校に通学するケースを除けば、中学生は公立ならばだいたい自転車か徒歩で通える範囲の学校に行っているはずでは。そうなると、たまの休日ぐらいにしか電車を利用してくれません。ですから、鉄道会社にとっては利益にならない顧客層なのです。

では、なぜ小学生は子ども料金なのかと言えば。
小学生は遠足などで団体利用してくれますね。混雑時に親御さんの膝に座れば、ひとり分の座席で済みますよね。それに中学生ぐらいになれば、育児に専業していた母親も働き始めるので、世帯収入が増えるから。通学に電車を利用するならば、通学定期できちんと割安にしてくれていますよね。別に中学生だけをないがしろにはしていません。この中学生が、たまの休みに出かけるイベント(たとえばコミケとかアイドルのコンサートとか)の交通費が高いとこぼしても、それは生活上の必要経費でもないし、納得してもらうしかない。

ちょっと気がかりなのは、この投稿者中学生くんが、学校の教育費と生活費とを同時に考えていることです。博物館は中高生でも割引されていますが、これは博物館施設が文部科学省の管轄で、もちろん、わたしたち国民の血税で運営されています。

ところが、鉄道会社は民間企業。国から補助金なんてありません。人口減少で経営が苦しく、不採算なのに地域の足だから廃線に踏み切れなかったりもする。JALみたいに経営破綻したのが幸いで巨額の公的支援を受けて、逆に同業他社よりも利益が上がってしまった航空会社もありますけど、運輸業界は経営がよくはありません。地方のJR路線は無人駅も多いですし、駅員のお給料もかなり安いです。運転士さんはダイヤ運行を守るため、過酷な勤務をしています。そして、子ども料金でも大人料金の半分なんて差はつきません。私がよく使う路線はたった50円しか差がなく、昔からそうです。ですから、同級生(父親は大企業リーマンで、母親は専業主婦)がたったそれだけの料金差を大学生にもなってごまかしていることに、とても驚きました。都会の私鉄は距離に応じて差が広がるのかもしれませんけど。

それから、少子化問題解消の手立てとして「両親の負担のために」「教育費を無償化」という論議がさかんですが、これも疑問があります。義務教育の授業料は無償ですが、給食費や制服・体操服など、お金はかさみますね。そして、子どもの学力に問題があると、学習塾や家庭教師も用意しないといけませんよね。親御さんはたいへんですよね。でも、中学生の皆さんが学校の授業の予習復習をしっかりやって勉強すれば塾や予備校にさほど通わなくていいですし、ゲームやアニメグッズ、アイドルのコンサートチケット、漫画を買うのを少し我慢すれば、お小遣いだって減りませんよね。親元で同居して稼いだお金は、みんな趣味や娯楽にパッと散在してしまう計画性のない大人は、一定数いるかもしれません。ほんとうは成人したら、きちんと家に生活費を入れるか、一人住まいで自活するか、が筋なんですよ。それができない人が、楽して稼ぎたいといって、オレオレ詐欺など犯罪行為に走ったり、見境なく投資でおカネを失ったり、迷惑をかけて生きることにためらいがないんです。だから、ひとに自分の人生を応援してもらえない。

これは、高校生でも、大学生でも言えることですが。
ぼくたち、あたしたちは、学生なんだから、貴重な子どもなんだから、親や国がしっかり面倒見るべきだ、という考えは、これからの未来は通用しませんから。教科書には書いていませんけれど、残念ながら、ほんとうなんですよ。晩婚化で子育てと介護がダブルで襲ってきて、子どもの手まで借りたいと思う親だっています。

以前に、無職の祖父母の養子になっていた若者が働いてもはたらいても生活苦で遊びにもいけずに、祖父母を手に掛けた事件がありましたよね。痛ましい話です。祖父母でなくとも、子が授かるのが遅かった両親ならば起こりうることです。祖父母世代も年金カットで不安ですし、孫疲れでうんざりしていますから、お金をやたらとせびってはいけませんよ。子どもだから許されると甘えるのは、少年法でひっかからない年齢だから人を殺してやったという中学生に似ています。

大人は働いて、税金や社会保険料を払っています。児童は俳優業などを除けば、就労が禁止されていますから、自分でお金を稼げませんよね。将棋の天才少年・藤井くんみたいなのは、レアケース。戦前は、子どもでも家計を助けるために働くのは当たり前で、小学校すら退学させられる、成績優秀だったのに旧制中学に進めない人もおおぜいいました。家が裕福だったのに親が商売に失敗して、進学できなかった人は、親を恨んだりはせず、家計の支え手になるべく努力していました。日本を代表する有名な経営者の松下幸之助さんもそうで、丁稚奉公から独学で電気技師になり、そして電球を開発して、世の中に光をもたらした人です。国民作家と呼ばれた吉川英治も、中卒とは思えないほど古典に造詣が深く、いろんな職業を経験して、あの豊かな人間劇を生み出したのです。

私の大学の同期生にも、「日本は遅れている。ドイツを見習って、大学無償化すべきだ」と主張していた人が居ます。そのドイツは、中学生ぐらいまでに成績が伸びなければ、自動的にブルーカラーの職業訓練校へ行かされます。勉強しなくても、学力が足りなくとも、誰でも国が大学に通わせてあげるのではないんです。勘違いしないでくださいね。

日本でも、大学の授業料や給付型奨学金などは、家計が苦しくても成績優秀であれば免除になります。大学の学費が高い!と非難した子たちは、実家から通っていて、講義ノートを他人に借りて遊びほうけ、外食が多かったり、海外旅行に出かけていたりしました。新聞奨学生として働いていた同級生は、そんなふざけたことは言いませんでした。自立すべき20代に巣立ちを経験しなかった大人は、いつまでも、親に頼って自立できない。

自分で学ぶために、どうやってお金を捻出していくか、どれぐらい掛ければ効果が得られるかを考えるのも、賢い親なら子どもに教えていくものです。スマホをいじってばかりいないで、親も世間を学べばいい。親や国が払って当たり前と思う人は、男性や気前のいい女友だちが食事をおごってくれたり車で送ってくれたりするのが当然と考えている傲慢な女性と同じで、乞食とおなじ生き方です。教育という美名を隠れ蓑にした生活保護と考えは同じです。

子どもの教育費に援助を惜しむな、と言いたいわけではありません。
片親家庭や親が失職してしまい世帯所得が低くて、やる気があるのに学力が上がらない子もいます。そういうケースは、NPO法人や学生ボランティアなどで支援する。大阪府で橋下さんが考案したような、教育バウチャー制度でもいい。退職した教師なども動員して、安価に学校以外でも学べるようにすればいい。大学に公的教育投資するより、小中学生までの基礎学力を上げたほうがいい。勉強したくない子に、無理に大学進学を進めて借金を背負わせるほうがおかしいんですよ。大卒でも院卒でも、倫理観の欠如した大人はいますから。

ただ、子育てにかかる費用が多すぎるのは事実。
とくに、スマホや携帯電話などを小学生から持たせるのが学校現場でも当然視される風潮は気になります。通信費が半端なく家計を圧迫します。ネット中毒になって勉学に支障がでますし、出会い系の性犯罪や、お金欲しさに援助交際やJKビジネスに走る子などもいます。SNSで不用意な発言や動画を投稿して騒ぎになることもありますよね。子どもの頃からIT能力を高めるのはよいのですが、昔のポケベルみたいな、最低限の保護者連絡用と学習サイトの閲覧だけできるような道具として無償で貸し出すなどできないのでしょうか。

ちなみに、少子化になっているのは、大人が子どもを産み育てる喜びや利益よりも、負担のほうが大きいと感じているからです。昔は農林水産業や商店経営などの自営業の親が多くて、子どもはそのお手伝いや下の子の子守に駆り出されていたので、子どもは多くいればいるほど良かったのです。そして、みんなで協力して働かないと食べていけないことを、子どもたちは学んでいたはずです。上橋菜穂子の作品にでてくる子どもたちは、不遇な身の上だけれどみんな働き者ですよね。だから、まともな大人が読んでも気持ちがいいんです。

また残念ながら、大人の意識が落ちてしまったことも事実です。
ゲームやアニメのキャラの関連グッズを爆買いし、ギャンブルなどに浪費し、ネット上のSNSにかまけ、自分のことに消費する方が楽しい大人が増えました。不倫をして家庭を壊しても、自分の恋愛を貫くが尊いとかいう馬鹿な大人もいる。要するに、いまの大人が精神的に子どものままだからともいえますが、子どもの皆さんは、働かずに文句ばっかり言っている大人は見習わないで、勉強をしっかりするとともに、仕事で疲れているご両親に代わって、家事などをしっかりと手伝ってあげてくださいね。学校に行ってあげているから、勉強できるから、自分は家では王様だと勘違いすると、家事に協力してくれない横柄な旦那さんと同じです。家事を身に着ければ生活力も尽いて独立できますし、そうすれば、お金がたいへん、たいへん、というお母さんのお小言も少なくなりますから。「子どもなんて生むんじゃなかった」「結婚するんじゃなかった」という、リセット願望の多いノイローゼ親が増えていますけれど、そうした疲れた大人たちを癒す役目が、全国の青少年の皆さんにはあります。まずは、ネット中毒の親御さんのスマホを隠しましょう。親御さんも好きなモノを我慢して子供にお金をかけているし、仕事はつらいし、介護もあるし、とてもイライラしていることがあります。だって、学校だけ行っていればいいわけじゃないですから。

新聞を読むのはいいですが、むやみやたらに社会批判に流されないでほしい。そうしないと、大人になっても、子どものままでいたいという、後ろ向きな考えになってしまいますから。覚えておいてほしいのです。笑顔や道徳心や礼儀のある子には、社会はきちんとチャンスを与えてくれますから。そのために、勉強するべき時にきちんとしておかないと、年をとってから悔やみますよ。自分が勉強しなかったからといって、他人の足を引っかけて喜ぶような、わがままを言って人を困らせてしまうような、残念な大人になるのはやめましょうね。それを反面教師というのです。



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