陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「三人の妻への手紙」

2018-03-02 | 映画──ファンタジー・コメディ

1949年のアメリカ映画「三人の妻への手紙」(原題:A Letter to Three Wives)は、夫婦の愛情を時に切なく、ユーモアラスに描いたハートフルコメディ。構成はいたって単純なのですが、最後の五分間の急展開で虚を衝かれます。

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デボラ・ビショップ、リタ・フィリップス、ローラメイ・・ホリンズウェイの三人は日ごろから親しい新妻トリオ。三人は子どもたちの引率として、ピクニックに出かけるべく優雅な船旅としゃれこんでいます。
ところが、その船上で不安をかき立てられるできごとが。つい最近になって町を離れたという三人の共通の親友アディから手紙が届きます。アディこそは彼女たちにとっては目の敵の人物。その内容は、三人のうちの誰かの夫と駆け落ちをするという脅迫めいたもの。

半日だけの旅とはいえ、夫を残してきた三人のご夫人たち。気が気ではありません。しかし、お互い探りを入れて牽制しあうこともなく、三人が振り返るのは愛すべき旦那さまとの過去。

農家の娘でありながら海軍に志願し、エリート将校のブラッドと結ばれたデボラは、生い立ちのために社交界で引け目を感じています。夫がさかんに同級生で才色兼備のアディのことばかり持ち出すので、拗ねているのです。

いっぽう、ラジオの脚本家リタには、薄給の教師のジョージとのあいだに双子の子どもがいます。しかし、業界の付き合いと締切に追われて神経を尖らせ家庭の切り盛りができないリタと、堅実派のジョージもなんとなくぎくしゃく。そこへ、夫の気持ちを掴むような贈り物を届けたアディに焼きもちを妬くわけですね。

前妻と離婚して独身貴族を謳歌する大富豪ポーター・ホリンズウェィとの結婚に漕ぎ着けたローラメイ。金目当てで結婚した愛のない生活に夫婦の仲は冷えきっていました。アディはポーターの前妻で、彼の気持ちがそこへ戻っているのではないかという疑念にかられてしまいます。

三人の疑惑は最後には解消するのですが、なんといいましょうか、こういう扱いづらい女ごころといいますのは、殿方にとりましては悩みの種かもしれませね。紆余曲折を経て、数年分の恨みつらみが爆発しそうになりながら、冷たかった男が優しく見つめただけで、女は何も聞かず知らずにできる。男女の仲といいますのは、ふしぎなものです。

監督は、「イヴの総て」のジョセフ・L・マンキーウィッツ。
主演は、ジーン・クレイン、アン・サザーン、リンダ・ダーネル。

語りが最後に誰かが明らかになるところが、ちょっとしたからくりです。
単純ながらもうまいと思わせる名作コメディですね。

三人の妻への手紙-goo映画

(2011年1月29日)




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