陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

映画「許されざる者」(1992)

2012-09-15 | 映画──SF・アクション・戦争
1992年のアメリカ映画「許されざる者」(原題:Unforgiven)は、クリント・イーストウッドが老年のガンマンを演じた西部劇。主演どころか監督・製作がこの人だけあって、主人公持ち上げに走ることは分かりきっているのですが、中盤にへたれな部分があってやきもきさせられます。

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1880年のワイオミング洲ビッグウィスキー。
かつて冷酷な殺し屋だった老境のウィリアム・マニーのもとに、若い殺し屋のスコーフィールド・キッドが訪ねてくる。コンビを組んで娼婦を切り刻んだカウボーイ二人を殺すという依頼だった。妻をなくし、子供二人と豚を育てながらつつましい暮らしをするウィリアムは、いったん拒むものの、背に腹代えられず、仕事を請け負うために旅立つ。かつての相棒ネッド・ローガンとともにウィリアムは目的地を目指す。

かつてはその名を聞けば震え上がるほど悪名高い殺し屋だったウィリアムも、11年も銃をとっておらず、馬にも乗り馴れない。おまけに合流したキッドとネッドはなにかといがみ合う。

賞金稼ぎたちが街に集うのを畏れた保安官リトル・ビル・ダゲットは警備体制を強化。
ウィリアムは保安官に脅されたり、病に倒れたりで前途多難に。それでも三人はターゲットのカウボーイに接近し、一人を仕留めるのですが…。

終盤は義憤に駆られたウィリアムが命がけで保安官と対決します。
亡き妻への操のためにけっして酒も女遊びも断った男が、かつての狂気に満ちたおぞましい殺人鬼に生まれ変わる。しかし、けっしてウィリアムが悪者にもダークヒーローにも思えないのは、傷ついた娼婦との交流があったからなのでしょう。冗長で無駄に思えた部分が多かったのですが、主要人物の人間性を掘りさげるためにはじゅうぶんに必要なエピソードを重ねていたのだと気づかされます。虐げられた弱者への労り、青春時代ならではの高慢、老境の悟り、公権力の傲慢などなどイーストウッド作品に通奏低音のテーマが掲げられています。

共演は「ミリオンダラー・ベイビー」でもタッグを組むモーガン・フリーマン、ジーン・ハックマンほか。「ハリー・ポッター」シリーズで有名なリチャード・ハリスはインパクトのある殺し屋役で登場したのですが、物語の根幹に絡まないまま退場させられてしまいがっかりでした。

西部劇には珍しく、死に至る苦しみや人を撃つことへの恐れがじっくりと描かれていて、銃社会への警告とも受け取れる一作でしょう。

(2011年5月30日)

許されざる者('92) - goo 映画
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