陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

人気のないキャラこそ猫可愛がりしたくなる二次創作者だっているのだ

2020-09-20 | 芸術・文化・趣味・歴史

二次創作者がやりがちな過ちのひとつに、原作キャラからかけ離れた好き勝手設定やキャラクター崩壊をさせるというのがあります。
原作ではシリアスなキャラが、鼻からピーナッツ飛ばすとか、とんでも性格な親父がでてくるとか、そんなネット上の二次小説を読んではらわたよじれるくらい笑ったことがあります。なんと不謹慎な。

瀬戸内海の赤潮のようにじわじわ腐敗が進むと、二次創作者がやりがちなのが、公式にはない人気キャラどうしの同性カップリング。いわゆるBLやGL化ですね。二次創作から入ってしまった人からしたら、原作を読んでそんな要素がまったくないのに、心底びっくりします。

二次創作者とは、こうした違法すれすれな原作クラッシャーをしながら、他人様の生んだ創作キャラを私物化する者のことです。
時代ファンタジーものをいきなり学園ものに仕立てたり、あるいはその逆にしたり。とにかくあらゆる手練手管を用いて、原作の持ち味を変えようとする。そして、これを自己の創作表現力だと言い張ろうとする。

ところで、こうした版権物の私物化行為において、ゆいいつ許されそうな手法があります。
それは、原作ではあまり目立たたなかった、あるいは不遇の立場に置かれた脇キャラ、あるいは憎まれ役の彼ら彼女らに焦点をあてて、新しい物語をつくる、あるいは魅力的な絵にしてしまう。

二次創作での反響具合は原作そのものの知名度、そして主要キャラの人気度にもよりけりです。
一般的にイナゴと揶揄される、原作が話題になったときしか口を出さないミーハーな二次創作者は、自作の認知度が第一で自分の好きなカップルが誉めそやされることしか考えないので、他のキャラは描きませんし、いないも同然の扱いです。その原作者が意味があって苦心して生み出したキャラであるにも関わらず、消費財として利用価値がないから無視されます。そもそも人気カップルの話はいくらでも類例があるので、首のすげ替えよろしくつくりやすく、描いている方もウケがいいので楽しいです。

でも、そのジャンルで長年読み込んできた二次創作愛好者からすると、もっと新しいものが見たい読みたいつくりたい、という欲があります。
そんなときにターゲットになるのが、いわゆる二番手三番手のキャラ。あるいは総じてファンには蛇蝎のごとく忌み嫌われてしまう敵キャラ。そんなキャラの汚名挽回をするようなエピソード、原作にはない輝きを与えれば旨みが出ることもありえます。

この世界は誰もが主人公の、万能で予定調和の劇場ではありません。
あるひとつの理念に向かって物語が結ばれるときに、割りを食う存在は必ずいます。すぐれた版権作品には脇役でも、地味でも、どちらかといえば冴えない見た目でも、実にいい役回りのキャラがいますし、際立たせるのがうまくもある。そんな作品はいとおしいと思いませんか。

しかし、この手法にはかなりの問題点があります。
まず原作ジャンルに活躍のサンプル数が少ないキャラであった場合、自己アレンジが過ぎるとオリキャラのようになったり、二次創作者の自己憑依したキャラに成り下がりやすいということです。また、いくらその日陰者キャラが好きで、それ推しのみで二次創作活動を続けてもメジャー人気のペア愛好者に押されがちで、なかなか顧みられないということですよね。この危険性を避けて二次創作をするのは楽しくもあり、苦しくもあります。

地味キャラでほんとうに書きたいストーリーがある場合は、ひとまず、人気の出そうなキャラや設定で下地をつくっておくとよいのかもしれません。


【二次創作者、この厄介なディレッタント(まとめ)】
趣味で二次創作をしている人間が書いた、よしなしごとの目次頁です。
二次創作には旨みもあれば、毒もあるのですね…。


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