陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

ねらわれた、ふるさと納税

2017-07-03 | 政治・経済・産業・社会・法務
今回は、頭を悩ませたくなるお金の話です。出ていく方の。
二月、三月あたりの確定申告が終わって安堵して、のんびり春を迎えたと思ったら、六月近くからまた慌ただしくなるんですよね。税金とか、お寺の会費とか、組合費とか、もろもろの請求がくる季節です。もともと、この夏あたりは憂鬱で仕方がないのですが、なおさら、出費が増える。

最近、耳目を集めているのがふるさと納税。
住民票のある場所以外の自治体に寄付をすると、住民税が減額されるうえに、場合によっては、寄付先の自治体から贈り物がもらえるという、なんとも嬉しいサービス。2008年導入当時はまだ3万人の利用者で寄付金も全国で73億円ほど。これが2015年には、なんと130万人に広がり、総額1471億円にも上っています。この年、手続きを簡素化し、寄付できる金額を増やしたことが奏功したらしい。

「ふるさと納税」の名が示すとおり、もともとは人口が減りつつある地域の自治体の税収減を補うのが目的。好きな自治体を選べるので、生まれ故郷も含めて、地域を応援することもできるし、納税者が節税もできる便利なもの。

しかし、ここ数年は問題点も指摘されはじめていました。
各自治体が返礼品の豪華さを競いあうようになり、下手をすると、寄付金の3割近くを返礼品のために使わねばならない。返礼品は地場産業の商品や特産品などが中心のはずですが、なかには、まったく自治体とは無関係な品もあったようです。

また、このふるさと納税が利用できるのは、住民税が一定以上の人に限られます。あたりまえですが、誰でもできるようになったら、もともと収入の少ない人が多い地方では、さらに税収減になってしまいますから。このことが逆に、豪華な返礼品とあいまって、金持ち優遇策と非難されはじめました。寄付をすればするほど、払うべき税金が減るうえに、贈答品が多くなるのを横目で見ていれば、あまりいい気はしないのが世の常。大阪府では、ふるさと納税を利用して住民税を減税したがために、年収が高所得世帯に分類されて本来は対象外であるはずなのに、子女の私学助成金が給付されるというケースが露見しました。

このふるさと納税、余所の自治体を応援すると言えば聞こえはいいのですが、要は税収入の奪い合い。中堅都市の自治体が張り合って返礼品をよくして集金しているいっぽうで、人口増で待機児童や介護施設などの自治体サービスにお金がかさむ都市部では、税収減で悩ましい事態に。

そのため、今年になって急きょ見直しが呼びかけられ、制度自体がなくなることはないものの、無駄な返礼品競争はどうやら収束に向かいつつあるようで。今年から返礼品の縮小傾向を見越して、駆け込み申し込みもあったことでしょう。一部では、返礼品にかけるコストを考えて廃止する自治体もあったとか。

実は数年前にガイドブックを書店で見かけて知り、検討したことありますし、めぼしい自治体をネットで調べたこともあります。でも、私は利用したことがありません。味音痴なので高級な牛肉とか魚とかとくに食べたいと思わなかったし、あんまり自分にとって魅力的な商品がないな、というのと、帰来、面倒くさがりなのでわざわざ、手続きしたくないな、という思い。

さらに少しええかっこしいで語れば、自分の住んでいる自治体とお世話になっている自治体、二箇所に納税している身の上ですが、とくにそれらのサービスに異論はないということ。よく役所の態度が気に入らないので、あてつけでふるさと納税してやる!という声も聞きますが、そういう不満もないです。とくに、ご当地の図書館など文化施設のサービスは気に入っていますので、自分の納税額を減らす必要もないのじゃないかと思えてきます。いや、税金は少なければ少ないほどいいのですけどね。うちのご当地はあまり税収がいいほうではないので、住民サービスが悪くなるのは困りますので。

東日本大震災の被災地への復興支援もかねてふるさと納税が増えたように、地域格差を解消するうえでは、やはりこのふるさと納税のシステムはありがたいもの。地元の特産品関連の企業や農林水産畜産業などが潤えば嬉しいこと、この上なし。返礼品の有り方も見直されてきたようで、故郷から遠く離れた人のために、お墓参りだとか空き家の手入れを請け負うサービスも出始めたとか。これこそが、まさに地域活性のためのふるさと納税の本旨ですよね。

しかし、少し注文を付けますならば。
このふるさと納税を利用された方は、お得な返礼品だけを狙って毎年あちこち寄付先を変えるのではなく、その返礼品の魅力を地域の情報とともに発信し、ぜひともその自治体のサポーターになってほしいなと望むのです。貰いましたよ、という買い物報告みたいな感じで、それがどこの、どういう経緯の贈り物なのか、傍から見ていたらよくわからないのがよく散見されますので。ふるさと納税しないけれど、どの地方の、どんな特産品か、知りたい人もいますし。自分がつくった農産物の喜ばれる声を聞きたい人だっていますし。おそらく、そういう愛情ある豊かな利用者が多かったならば、憎々し気にふるさと納税が批判されることもなかったのでしょうが…。


ジャンル:
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