陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

日本映画「るろうに剣心 京都大火編」&「るろうに剣心 伝説の最期編」

2018-04-08 | 映画──SF・アクション・戦争

人気アニメや漫画を実写化するとどうしても不安がつきものです。
原作に似せようとするあまりビジュアルを凝り過ぎるとわざとらしくなりますし、いくらCGでごまかせるかといいましてセットやロケーション次第では、学芸会っぽくなってしまいます。最近ですと、NHKドラマの「精霊の守り人」にそれを感じます。俳優さんのキャスティングは悪くなったのだけれども、やはり、極端なファンタジーものは実写でやるべきではないのかも…。

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先日、二週にわたって地上波放映されたのは「るろうに剣心 京都大家編」&「るろうに剣心 伝説の最期編」。原作は言わずと知れた、和月伸宏による、週刊少年ジャンプ誌掲載の往年の人気漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』。テレビアニメが有名ですが、その後、OVAが発売され、1997年にはオリジナルストーリーのアニメ劇場版も公開されたようです。

最近では新シリーズが復活し、集英社の公式サイト「ジャンプスクエア」でも連載されていたのですが、とある事情でストップに。再開の目途が立たないところへ、この映画の放映が舞い込んできたので話題になっていましたね。原作でいうところの京都編、志々雄真実率いる一派と緋村剣心たちが死闘を演じる話ですね。ちなみに、私、この原作全シリーズ読破したことなくて、とくにこの志々雄はビジュアルが気持ち悪いので、まともに読んだことありません。テレビアニメもほとんど観てなかったですね。

2014年夏から秋にかけて劇場公開された本作。
実はかなりの高評価のうえ、日本映画史上の興行収入を塗り替えた優良作。そういえば、最近の邦画は、「デビルマン」とか「キャシャーン」とか「ヤッターマン」とか、あるいは「宇宙戦艦ヤマト」とか、わりあい古い名作アニメを実写化しては好評を得ています。今回実見して(テレビ版だから部分的にカットされているものの)、その良さがよくわかりました。

ひとつめはキャスティング。
正直、剣心役の佐藤健と、志々雄役の藤原竜也は逆だったらいいのに、とか思っていました。原作初期の主役の童顔に、佐藤健が似合わないと思ったから。でも、アニメ版の涼風真世の声の感じそのままに、のほほんとした「ござるよ」口調から、殺気立ったドス声までの変化がうまい。荒んだ目つきとか、怖いくらい凄みあります。武井咲の薫はやや可愛すぎるくらいですが、左之助、斎藤一、弥彦とか、キャラクターにしっくりハマっていました。いちばんシンクロ率高かったのは、神木隆之介扮する宗次郎ですよね。ほんとうに、この人しかいない! 小澤征悦の伊藤博文も実物そっくりでしたよね。

ふたつめは、なんといっても、殺陣。
佐藤健はもともとブレイクダンスをたしなんでいたのでかなり身軽なのでしょうが、驚くべき身体能力を発揮。しかもスタントマンじゃなくて、みんな体当たり演技というから驚きです。中国映画のワイヤーアクションみたいにわざとらしくなく、かといって、漫画のように、大技を一コマで見せて締めるのでもない。新感覚時代劇といったらいいのでしょうか。とにかく動きが絶妙にすばらしい。

みっつめは舞台設定。
もともとフィクションとはいえ、現実の明治時代を下敷きにしただけあって、実在の人物も登場します。だから舞台セットもつくりやすかっただろうし、どこかの時代劇で見たなという決闘シーン(竹藪とか、切通しの崖とか)も登場します。でも、原作ほど衣裳が奇抜でないようで、しっかり三次元になじんでいましたね。政府高官とか警官とかわりと史実に照らしてあったせいでしょうか。

よっつめは音楽。
大河ドラマ「龍馬伝」の佐藤直樹が手掛けた、緊迫感溢れる、ゾクゾクするようなBGMがいいですね。そういえば、佐藤健と、剣心の師匠役の福山雅治は、人斬り岡田以蔵と、坂本龍馬の間柄でしたよね。

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最後に。
これほどの壮絶な剣戟シーンを披露してありながら、原作漫画の目指すとおり、人の命を奪うことの愚かさ、醜さがきちんと描かれていたことです。明治の世にもはや剣は要らないが、自分の身近な人だけは守りたいという流浪人。正義者たる剣心にも、かつて維新の美名のもとに罪なきひとを惨殺しきったという殺人鬼の顔が潜んでいます。そして、敵側にも政治利用されて裏切られたという、悪に陥ってもおかしくないだけの理由があります。

さらには、純粋に使命に燃え仲間思いだった良きリーダーだったはずの、四乃森蒼紫の暴走劇は、いっけん狂気じみてもみえますが、やりばのない怒りがそれを受け止めてふさわしい好敵手へと向かうか、それとも無差別殺人的に名もなき民衆へ向かうかの紙一重の差でしかありません。それを考えると、今回のラスボス志々雄が、剣心の渾身の一撃(逆刃刀なので、即死させられないのだろう)ではなくして、自身の憎悪の業火によって焼死したという結末もまた、納得のいくものであったろうと思われます。最後の船上の戦闘シーン、パイレーツ・オブ・カリビアンみたいでしたけどね(笑)。

「伝説の最期編」の伊藤博文のとった敬礼は賛否両論あった(原作になかった?)ようですが、西郷隆盛らの士族の叛乱を経た後の明治の要人が言う台詞だからこそ重みがあるのではないでしょうか。国体は変わったけれど、弱きを助け強きをくじく武士道精神は滅びてはいない、という制作陣の意思を感じさせます。忍者とかサムライとか、武術の流儀とか、日本らしいものを形だけ借りて萌え遊んでいるだけでは足りないのです。ところで、伊藤博文は原作に登場しないので、この部分、映画独自演出だったようですね。

(2018年3月30日および4月6日視聴)

【参照記事】
【あるある】実写映画『るろうに剣心 伝説の最期編』を見た原作ファンがつい思ってしまうこと45連発!(ロケットニュース24)


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