陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

映画「タイムマシン」

2017-09-13 | 映画──SF・アクション・戦争
2002年のアメリカ映画「タイムマシン」(原題:The Time Machine )は、運命を変えるためにタイムマシンに乗り込んだ科学者の物語。H. G. ウェルズの古典小説が原作のSFアドベンチャー。今となってはさほど珍しくもないタイムトラベルものの元祖というべき作品です。なお、1959年に「タイム・マシン 80万年後の世界へ」として一度映画化されています。

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1899年のニューヨークの冬。
コロンビア大学の助教授にしてアレクサンダー・ハーデゲンは変わり者扱いされている科学者。
恋人のエマに求婚した矢先、自分の目前で、彼女が強盗によって命を奪われてしまう。悲しみに暮れたアレクサンダーは、時空を超える装置タイムマシンの研究に没頭。四年後、ついに完成させるが…。

四年前に無事に辿り着き、エマとも再会を果たすものの、どうしたって運命は変えられない。手がかりを求めようと未来に飛んだアレクサンダーは、2030年5月のニューヨークに降り立つものの、そこは情報網が発達し月世界への旅行も叶いながら、混乱の生じた世界。どさくさまぎれで避難したアレクサンダーはなんと80万年後にタイムスリップしてしまいます。そこにいたのは、貝殻のように岩肌にびっしり張りついた集落で生活するエロイ族という人々でした。マーラとケイレンの姉弟と親しくなり、村の生活にもなじんでいく。

過去を引きずらないで心に刻むというエロイ族の考えに共鳴し、居心地の良さを感ずるものの、アレクサンダーは、村に訪れるおぞましい脅威に直面することになります。

私が原作を読んだのはかなり前。
くしくもこの原作者と同じような気持ちを抱いていたときでした。タイムマシンの稼働時の時間の経過の表現は、CGを駆使してあるだけによくできています。”モーロック”の形状がずいぶん異なるようにも感じるのですが、うろ覚えなのでなんとも。ラストはエンターテンメントらしい異世界での冒険アクションで、ややご都合主義的な展開と言えなくもない。

しかし、こういうSFというのは未来になると、生活様式が近代以前に退化してしまうのですよね。表現者の想像力に限界があったというべきか、今の高度文明社会がいずれ破綻して縮小させざるをえない未来図を言い当てているものか。
後半は「宇宙戦争」とおなじでよくあるモンスターパニック物に堕してしまうのは、19世紀の創作物であるからして致し方ないのですが、生きとし生けるものに食うか食われるかの関係をつけるというのは生物が進化してもかわらない事実なのですね。この搾取される関係は資本主義社会にあてはめることができるでしょうし。

たとえいち個人のささやかな運命のかけらであったとしても事実の積み重ねが、歴史を編み上げていく。「過去へ連れ戻すのは記憶、未来へ連れていくのは夢」─というウーバー(モーロックの知性をつかさどる親玉)の言葉もなにかを悟らせてくれるけれど、そこはやはり映画。これは必然の流れだからと諦めるだけでは終わらない。喪失の悲しみから脱するには、幸せになる場所を見つけ出すこと。それはきっとタイムマシンを持たないわれわれ視聴者でもできるはずなのです。タイムトラベル物にありがちなサスペンスな因果関係については練りこまれていませんが、愛する者を失った人間の自己再生の物語として見ればそこそこ楽しめます。未来を良くも悪くするもすべては自分の意思次第なのだと。

出演は「L. A. コンフィデンシャル」のガイ・ピアーズ、サマンサ・ムンバ、「仮面の男」でアラミスを演じたジェレミー・アイアンズ。オーランド・ジョーンズ演じる図書館の「フォトニック」は、短い活躍ながら非常に存在感の光るキャラクターでした。
監督はサイモン・ウェルズ。なんと原作者の曾孫なんですね。

(2011年6月27日)

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