
あまり漫画の単行本を買わないほうだと自負しておりますが。
数少ない私の漫画読書歴からわがままを言わせてもらえば、漫画でも読みやすさがあるのでは、と感じています。今回はそんな個人の思惑をピックアップしてみました。
・表紙のデザインが統一されている
装丁が一致していて背景色がだいたい同じ。表紙にめいっぱい漫画家が描画しておらず、アニメのように人物セル画と背景画とが別々になっている。バックカラーがシンプルで派手か、デザインが凝っていたりすると、見つけやすいですよね。キャラクターがひとりづつ表紙を飾るタイプは画力が高くないと、かなりショボく見えます。
・背表紙が読みやすい
小説などの文庫本ならばよいが、背表紙タイトルの文字が細い、背景カラーに埋もれてしまうと探しづらいです。また、ナンバーでわかりづらい数字にされているのも困ります。
・吹き出しや台詞の位置が煩わしくない
たまに、その位置おかしいでしょ、と思うような漫画を見かけます。吹き出しの形がいびつだったり、キャラを圧迫していたり。ネームを短くしていないので、説明台詞ばかりの、もはや絵本になっていたりとかね。文字(発言)だけではなくて、人物の表情やしぐさ、効果演出などで語らせるようにしてほしいです。読者はそれを読み解くのが楽しみなんですから。
・作品タイトルのロゴが個性的
作品イメージを盛り込んだ特色あるロゴは、ひと目見ただけで頭に残ります。アニメ化されるとき、そのまま採用されると、OPのアバンタイトルでおもしろい演出されたりするんですよね。
・作者のこだわりを感じる企画頁
巻末とか連載各話の空白頁にありそうな、おまけ漫画とか、おふざけ企画とか。雑誌掲載時よりも、さらにおもしろさパワーアップで、単行本買いしてよかったと感じます。最近はカラーのカバー下にも工夫があったりしますよね。著者のサービス精神に、読者が喜びます。
・適度なサイズで絵の密度が濃い
顔(バストアップ)のどアップばかり、同じ方向ばかりが数コマも、何頁も続く漫画は単調で、かなり下手に見えます。絵もあまり細かく描き込み過ぎず、かといって雑過ぎないくらいがベスト。空白とベタ、トーンの割合が難しいですよね。
・人物紹介と前回までのあらすじがある
これは出版社によるのでしょうが。大手の有名雑誌社の漫画はたいがいありますよね。脇キャラでもしっかり紹介欄がある漫画は群像劇としてすぐれており、小さな存在でも重要な立ち回りをさせるのがうまい印象。
・帯に不可解なコピーがない
漫画だけに限らないのですが、誰それさんが絶賛とか、その人の顔写真入りであったりする。嫌いな人だった場合、読むボルテージが下がります。キャッチコピーがやや大げさなのは、まあ致し方なしとしても。
・最後によけいな広告が入っていない
これはその著者の系列作品ならばよいのですが。同じ出版社の知らない作家の紹介をされましても、作品の読後感ぶち壊しですわ。ツイッターを眺めていたら、公式さんがお付き合いで他作家さんの作品紹介しているが、スルーしたくなる気持ちと同じです、勝手ながら。広告物は折込チラシで別封してほしいです。
近作では、これに該当するのが『進撃の巨人』です。
絵が絶対的に上手いというわけではないのですが、漫画としては読みやすかったです。ただし、あまり何巻もつづくと途中で飽きてしまうので、長くても20巻ぐらいまでが理想でしょうか。少し前だと『鋼の錬金術師』ですね。少年漫画や少女漫画の定番雑誌は、装丁の枠があって、額縁絵みたいに絵が嵌められていたのが多かった印象です。『ハイスクール奇面組』は毎巻の登場キャラすべてをバランスよく配置していましたね、子ども心に驚きでした。
漫画やライトノベルは表紙買いという言葉通り、オモテだけに力を入れて、中身のストーリーや挿絵がイマイチということがあります。
これと逆なのは、高橋留美子の『犬夜叉』でした。単行本のカラーセンスが独特ですよね。かなり無駄を省いているので効率重視なのでしょう。おしゃれな装丁の文庫版ができたら買いたいのですけどね。
(2022.04.16)
読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。