陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

アニメ「神無月の巫女」ブックレットについて(二)

2018-11-05 | 感想・二次創作──神無月の巫女・京四郎と永遠の空

前回、積年の神無月の巫女ファンが…などといかにも大仰にベテランぶったことを書きましたが。
いちおう、ネタバレ前提とはいえ、ビギナーにも興味をもっていただくような内容にしています。いい作品というのは、性別も国も信条の垣根にも隔てられず、年代こえて語り継がれていってほしいものですから。

ところで。
拙ブログで便宜上「旧版DVD」と呼んでいるのは、2004年12月から2005年5月までに毎月発売された全六巻。第一巻の発売日は、2004年12月22日。

アニメ神無月の巫女の初回放映日は、最速で千葉テレビの2004年10月1日。ちょうど、主人公・来栖川姫子と姫宮千歌音の誕生日と推定されている日ですね。この千葉テレビが最速放映日なので、最終回を誰よりも早く視聴したくて、深夜にテレビの電波をもとめてドライブに繰り出して山中で停車していたら、警察さんから職務質問を受けてしまったとかいう、猛者のファンの方もいましたね。すばらしい情熱です。このアニメ、毎回、かなり続きが気になるような巧妙なシナリオになっていましたから。

私がリアルタイム視聴したのは最終二話だけでしたが、KBS京都で月曜深夜だったのはよく覚えています。独立UHF局放映でしたので、知名度はあまりなかったようですが…。MBSの深夜枠の土曜アニメで放映していたら、どうだったんでしょうね。CS放送系では全国放送していたらしいけれど。かくいう私も、当時、関西在住でなければ、これを知ることも、十数年経ったいま、執着心まる出しでレヴューなどをすることもなかったでしょう。沼っておそろしい…。

この初回限定版があるDVD六巻組は、アニメ放映終了直後からすぐ発売されたわけですが。
2004年5月号の『少年エース』誌で連載開始された原作漫画は、もちろん当時まだ継続中。最終十三話が掲載されたのが2005年6月号ということは、実質、その年5月のはずなのでアニメDVD第六巻とほぼ同時期。しかも、原作コミックス第一巻の発売日は2004年10月1日という、アニメ初回放映日と期を一にしているという、この念の入れよう。原作とアニメは別ものですよというご意見もありますが、公式ではパラレルの話とお断りしています。とはいえ、販売戦略的に足並みを揃えているのは、なかなか面白いですね。制作者さんのこだわりを感じます。神無月の別名は「陽月」。どうしても、十月に揃えたかったんでしょうね。


アニメ神無月の巫女の公式ホームページのグッズコーナーには、発売当時の宣伝文が残されています。しばらく見なかったので忘れていたのですが、この宣伝文がだんだん調子づいてポエムっぽくなっていくのがほほ笑ましいです。DVDジャケット本体の裏にもありますよね。この文面、作成は美文脚本家・植竹さんと思われますが、

「宴の果てに、想いは弾け 心を結ぶ乙女と乙女
  神無き月の夜は明け 二人を分かつ朝日が昇る
  刻よ止まれ刻よ止まれ…どうかもう少しだけこの手を…この手を…
  永遠より重い 夢より儚い 連なる愛のこの刹那」


いったい、どんなもん食べたらこんな超絶美しいフレーズが脳から飛び出してくるのか、教えていただきたいものです。菫の花とかですかい?

ちなみにDVD各巻のジャケット裏にも、この古めかしい文章が踊っています。
アニメ本編にどっぷり浸かるといいのはもちろんですが。これ読むだけで楽しいんですよ、じつに。下は旧版DVDの収納ボックスについていた帯ですね。





この公式サイト、いまは珍しいテレカやクリアファイルなどのグッズの宣伝もありますね。
あいにくとグッズは購入したことないのですが、コスプレ衣裳とか立て看板とか、あの頃のアニメはそういうものまで販売していたものでしょうか。立て看板って、どっかのイベントで販促キャンペーン用にあつらえたのを、ファンの要望あって量産したんですかね…。藤井まきさん描きおろしの複製原画なるものまで。抱き枕はあんがいないのですね。そういえば、本編では水着すがたにはならなかった姫子と千歌音でしたね。ありきたりなので、別に見たかったわけではないけど…。というか、あの乙橘の制服で、あの巫女服だからこその姫子と千歌音のアイデンティティが保たれているように思うわけでして。携帯サイトの待ち受け画面にも登場とか、懐かしいですね。公式サイトで壁紙配布とかありましたね。

この宣伝文を書かれた「担当H」さんは、ブックレット裏に明記された、当時、東芝エンタテインメントのディレクター日高功氏と思われます。東芝エンタテインメントでのアニメ作品には、おなじ原作者・介錯先生の大人気作「円盤皇女ワるきゅーレ」シリーズ「京四郎と永遠の空」もあります。このHプロデューサーが「泣かせる話が得意な人」として連れてきたのが、脚本家の植竹さんだったと、のちのDVD-BOX版小冊子のあとがきにあります。もともと「円盤皇女ワるきゅーレ」の柳沢テツヤ監督の仕事ぶりがよかったので、ロボものをやりたくてはじまった企画が「神無月の巫女」だったとのことです。神無月の巫女の原型はもちろん「十字架トラインアグル」(漫画『十字架トラインアングル』)でしたね。





このHさん、表立っては登場しないひとですが、「誰一人欠けてはつくれなかった作品」と原作者先生が言うぐらい、この神無月の巫女が生まれた背景としては、なかなかのキーパーソンではないでしょうか。個人がネットで気ままに創作発表できる時代だけれど、やはり商業出版物やアニメーションは、多くの人の手を介して生まれるものです。監督さんもそうですが、プロジェクトをまとめる立場の苦労がしのばれます。

この東芝エンタテインメント株式会社は、もともとは映画の配給を手掛ける芸能事務所アミューズの子会社が前身。2007年に東芝グループからの株式譲渡により、博報堂DYメディアパートナーズの子会社「株式会社ショウゲート」に商号変更。2015年には株式会社博報堂DYミュージック&ピクチャーズに社名変更となるも、ショウゲートのブランド名は残っています。2009年にDVD-BOXが発売されたときは、このブランドでしたね。ブランドを変えたから、動画サイトで宣伝を打って、新装版で売り出したのかどうかわかりませんが。ショウゲートには、柳沢テツヤ監督作の衝撃ロボットアニメ「健全ロボ ダイミダラー」や藤井まきさんがキャラデザ・総作画監督のいまだに息の長い人気ライトノベル原作の「精霊使いの剣舞」もありますね。「ダイミダラー」はこれもインパクトのある作品ですが、「神無月の巫女」と同様、社会的タブーに真っ向から挑んだ、世の中にモノ申す稀有なロボットアニメでもあります。観るひと、かなり選ぶでしょうけどね。

この東芝エンタテインメントは製造元で、販売元はジェネオンエンタテインメント。ジェネオンは、アニメDVDのテレビCMでよく見かけます。現在はNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社に商号変更して、ジェネオンのブランドは消滅。神無月の巫女の主題歌を歌ったKOTOKOさんも所属。この作品、神無月の巫女製作委員会として、東芝、ジェネオン、制作会社のTNK、さらに声優事務所株式会社マウスプロモーションなども出資。アニメ業界のことよくわからないのですが、一作、たった1クール12話のアニメであっても、多くの企業、人間が関わっているんですね。ファンはだいたい、原作者か、アニメの監督・脚本か、声優ぐらいしか興味ないわけですが。製作元の身売りなどがあって、BD化がむずかしいのかも。しかし、これだけの関係者がいて、よくあのストーリー企画通りましたよね…。やっぱりロボットものです、って言い張ったんだろうな(笑)。今だったら珍しくないけれど、当時にあの百合直球な中身で資金を集めるのはけっこう至難の業だったのかどうか、そのあたり気になります。

東芝も世界に誇る日本の家電ブランドでしたが、不適切会計などでいろいろありましたね。まあ、会社はなくなっても、制作者の情熱とファンの感動は消えることはないのです。将来的に、DVDの再生機がなくならない限りは。

話がずれましたが。
初回限定版についての付録は、オールカラーブックレットの他に、リバーシブルジャケット、音声特典のオーディオコメンタリー、介錯描き下ろし全6巻収納BOX、市販されていないサウンドトラックCD、そのCDライナーノーツ、さらには各巻にはそれぞれの映像特典があったりします。とくに、声優さんの解説が聞けるオーコメは大人気ですね。ちなみに、発売日から期間限定での「姫子、千歌音、ソウマのおしゃべりCD」なるものもついてきたようです。



私は購入したのが締切以後でしたので、応募できませんでした。
ドラマCDとDVD一巻の両方を購入するともらえる全プレ企画。画像はこちらに。このおしゃべりCDの内容については、2005年当時の老舗レヴューサイトKaz's Anime Recommendationさんの記事をご参照ください。秀逸なネタバレ感想がありますので、要注意。3人のトークとメッセージボイスだそうです。目覚まし時計がわりに当時使っていたひともいたようですね。



アニメ「神無月の巫女」ブックレットについて(まとめ)
月には誰も知らない朽ち果てた社があるの。全ては其処からはじまりました──。感動の全十二話を堪能したあと、再観賞用に、保存用にオススメのDVD。今回はその旧版DVD付録のオールカラーブックレットで、作品をふりかえります。

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