陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

スクリーントーンの使い道

2019-01-12 | 芸術・文化・趣味・歴史

断捨離をしていたら、むかし、柄にもなく熱中しすぎた趣味の残骸が出てきて、困惑することがありませんか。とくに、文化的な行動に浸ることによって、何かを成し遂げた気になっていた若かりし頃の思い出に出会うと、恥ずかしさと虚しさとで打ちのめされます。

机の奥から出てきたのは、スクリーントーンとレタリングのシート。
ご丁寧に一枚ずつファイリングされていました。

スクリーントーンは、いま、絵を描くひとはご存じなのでしょうか。
原産は英国で、もともと商業デザイン用に開発された網掛け模様がはじまり。これが戦後すぐの1950年代前半に漫画に採用されたことから、日本の漫画には欠かせないものになったそうです。

なぜ、スクリーントーンが残ったのかといえば。
子どもの頃、アニメ雑誌にイラストを投稿していたこともあったのですが、それは数回程度。おもに文化祭のパンフレットやチラシなどの広報物、もしくは友人に出した年賀状のデザインとして用いたのでした。漫画は描いたことはありません。

スクリーントーンは画材屋さんで購入できますが、1枚当たり500円ぐらい。絵柄のいいものになると1000円近く。なかなか値が張るのですが、当時、美術に関するコレクション癖があった私は、きれいな柄と見るや、のきなみ買い込んでしまった覚えが。買ったものの、カッターで削るのが下手で、貼るのもいびつ。けっきょく、余らしてしまった切れ端ばかりが残るけれど、子どものお小遣いの投資にしては高かったので捨てられなかったというわけです。

徹夜して漫画を描いたあとに学校に行ったら、まぶたにトーンの欠片が貼りついていた、なんて笑い話がよくありましたよね。

いまだと、この手の模様は、デザインソフト持っていなくても、ワードなどで作れそうですし、そもそも、インターネット上の無料素材を拾ってくればいいので、便利ですね。

インスタントレタリングのシートも、上記の用途向け。
ただし、カセットテープやビデオテープのタイトルシールにも貼ったりしました。事務員がよく使うテプラなんてものが家にはなかったので。CDのレーベルを自作したひとも多かろうと思いますが、いまだと、音楽も映像もダウンロードか動画配信なので、パッケージをアレンジして楽しむこともなくなりましたね。

なおスクリーントーンはいまでも販売はされていて。
漫画家さんのなかには、プリンタでスキャンしてコピーして使用されているようです。昔はデコレーションめいた柄が多かったのですが、街並みとか、そのまま貼れば背景描かなくて済むようなものまでありますよね。かなり昔のマンガだったら、漫画家がペン描きで描いていたようなものまで。ただ、そのためか、表現が均質化しているような感じもしますが。

昨年、ニューヨークの競売大手クリスティーズで開催されたオークションで、人工知能が描いた肖像画がなんと5000万円近くで落札されたそうです。
AIが進化したら、パターンを暗記させたら、シチュエーションに応じてかってに表情を描きわけてくれるようになるかもしれませんね。消費者の好みの創作物がかってにできあがってくる。2016年には、レンブラントの絵画データを読み込ませたAIに「新作」を描かせるのにも成功。クリエイティブな作業はAIにはできないとされてきた、常識を覆すいきおい。機械学習によって、いくらでもこの現代に、かつてのアートの天才たちの作品がかってに生まれるのならば、新しい創作者など要らなくなるのでしょうか。美術作品は現物をミュージアムで保管する必要がなくなり、どこかにアクセスして、VRとして体験できるようになるのかもしれません。できあいのスクリーントーンを買ってくるように、剥がしてすぐ使い捨てされるように、誰かのつくったものが専有されることがなくなってしまうのかもしれない。

それはともかく。
この余ったスクリーントーン、捨てるのもしのびない。
ネット検索したところ、オークションに出して買い取ってもらえることもあるようです。ただし、我が家のはかなり細分化されてしまっているので無理ですね。軽くて燃やさせるゴミになってくれただけマシと思うほかありません。

三連休なのに、どうでもいい与太話なのでした。
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