TPP大筋合意断念 盟主の米、求心力低下 妥協かたくな拒否
産経新聞 2月26日(水)7時55分配信
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意がまたしても先送りされ、旗振り役の米国の求心力低下は深刻だ。かたくなに譲歩を拒む一方で、国を挙げTPPを推進する機運を欠き、交渉の停滞を招いている。中間選挙が迫る中、オバマ政権を閉塞(へいそく)感が包む。
交渉を担う米通商代表部(USTR)の機能不全は目を覆うばかりだ。オバマ大統領が「国益を守るタフネゴシエーター(手ごわい交渉人)」と持ち上げるフロマン代表は「粗悪な協定なら結ばぬ方がまし」と各国との妥協を嫌い、本来期待された調整役も果たせていない。「自身に権限を集め、事務方が交渉の地ならしをこなせていない」(通商筋)との声が聞かれ、USTR内部の連携もしっくりしない。フロマン氏の「豪腕」があだになり交渉の硬直化を招いている。
もっと深刻なのは、国を挙げてTPP交渉を推進する「気迫」が各国に伝わらないことだ。オバマ大統領は政権当初こそ輸出倍増計画をぶち上げ、通商戦略を重視する姿勢を示したが、緩やかな景気回復に伴い、財政問題への対処など内向き志向を強めつつある。
オバマ政権が議会に採決を促す「大統領貿易促進権限(TPA)」法案も暗礁に乗り上げている。大統領が議会に通商協定の修正を許さず賛否だけを問えるTPAは、自由貿易を推進する野党共和党は協力的だが、皮肉にもオバマ氏の身内の与党民主党トップのリード上院院内総務が「議会軽視だ」と反対。各国はTPA抜きで協定を締結しても、米議会に骨抜きにされるのではと疑心暗鬼だ。
米国は来月から中間選挙の予備選が本格化し、いよいよ政治モードに突入する。オバマ政権も議会も産業界などの圧力に今まで以上に敏感になり、政治決断は一段と難しくなる。よほど性根を据え各国の信頼を取り戻さねばTPPの「盟主」の座も危うく、手詰まり感も色濃い。
先週号の週刊プレイボーイで、アメリカ国民が自由貿易に「嫌悪感」を抱いている割合が実に7割近くというデータを示していた。NAFTAという北米自由貿易協定なるもののせいで、メキシコ等の「低賃金労働者」にアメリカ国内の雇用が取って代わられ、多くのアメリカ人の失業者を生み出したからだ。
そんな背景があることに加え、TPAでさえ可決できるかどうかわからないのに、TPPをまとめられるわけがない、ということなのかも。
そもそも、「環太平洋」と謳っておきながら、中国、韓国が入っていないという、いびつな構成国となっており、だったら早期に妥結する必要などあるまい。少なくとも中韓2カ国が参加を表明し、さらにASEANも引き入れた形にした上での「TPP」とすべきであろう。
よって、オバマの「弱腰姿勢」は、今はむしろ「歓迎」すべきことなのだ。
となると、オバマが4月に日本を来訪する目的って一体何なんだろう?
オバマ自身は別に日本へ行く必要なんてないと思ってるんじゃないか。
「実際のところ」、アメリカ側も今、日本と話すネタというと、TPPと普天間移転問題の2つしかなく、そのどちらも、ま、実現こそしてないし、また実現するためのハードルには厳しいものがあるが、話そのものは大まかな部分は既に終わり、あとは細部の詰めだけだから、とりたてて日米首脳会談という場で話し合うことなんて「ない」んだよね。せいぜい事務レベル程度の話だろ。
ま、日本の大マスコミは、オバマ来訪は中国、韓国との緊張緩和への「仲介役」となってくれるものと期待しているみたいだけど、オバマが外交で興味があるのはアフガニスタンや中東程度に限られ、アジアへの興味はあまりない。しかも、アジア方面の国防の話はケリーとヘーゲルに「丸投げ」し、自らが声明を出すことはほとんどない。
てなわけで、オバマがTPPに興味ないとなると、ますます日米首脳会談などやる意味がなくなる。
ま、日本では、
「How are you!」
で始まったかと思うと、
すぐに、
「See you again!」
てな話で「終わる」んだろうね?