はっきりいって、昨日のクラブワールドカップ決勝は大番狂わせもいいところ。
対クラブアメリカ戦での圧勝を考えると、UEFAチャンピオンズリーグ王者のバルセロナ断然優位は揺るぎのない事実と思われたが、結果は今年のリベルタ・ドーレス杯王者ではあるが、06年W杯出場選手は一人もいないというインテルナシオナルに零敗という「完敗」を喫した。
そもそも前半からバルセロナは、ゴール前に詰めるシーンがほとんど見られず、苦し紛れにミドルシュートを放つだけ。対してインテルナシオナルは、タテ突破を中心に再三に亘ってチャンスを作るも、いずれもオフサイドに阻まれていた。
しかし後半に入っても、ロナウジーニョ、デコといった選手の個人技にほとんど頼りっきりで、単調なリズムのままだったバルセロナに対し、インテルナシオナルは後半に入ってもタテパスからチャンスを再三作り、ついに後半37分、イアルレイのパスから途中出場のL・アドリアーノが決め均衡を破り、そのまま押し切った。
バルセロナはこれまで、「インターコンチネンタルカップ」、「トヨタカップ」と称されていた世界クラブ選手権時代においても優勝がなく、一度も世界一に輝いたことがない。しかし今回はロナウジーニョというスーパースターを擁し、悲願の「世界一」は目前と見られていたが・・・
そもそもバルセロナは今シーズン、国内リーグでは現在トップにいながらも、レアル・マドリードの追撃を受けて昨年ほどの勢いにはなく、先日まで行われていたUEFAチャンピオンリーグの予選ラウンドも、辛くもブレーメンを退けて漸く予選突破するなど、これまた昨年のような強さはなかった。
その上、ロナウジーニョの移籍問題が再三報じられるなど、チーム内におけるモチベーションの低下は懸念されていたところであった。しかし。
準決勝のクラブアメリカ戦では完璧な試合運び。ロナウジーニョの変幻自在なプレーは面白いように決まるし、過去、トヨタカップなどを通じても最大得点差となった4点差をつけて勝ったことを考えると、ましてや、南米のクラブといっても、昨年「世界一」に輝いたサンパウロやボカ・ジュニオルズといった地力のあるチームではなかったことを考えると、決勝戦でも「何点差」つけて勝つかに焦点が行っていたはず。それが・・・
それにしても、南米、特にブラジル勢の世界クラブ王者にかける意気込みは以前から並々ならぬものがあり、FIFA主催のクラブ世界大会においては、2000年のコリンチャンスも優勝しており(この際は世界クラブ選手権と銘打たれた)、昨年のサンパウロも含め、これまでブラジル勢が「全勝」している。
対して欧州勢は何といってもチャンピオンズリーグのステータスが非常に大きく、トヨタカップのときから世界クラブ選手権についてはモチベーションが上がらないということを懸念されていたが。
ま、来年の大会は欧州勢も多少は目の色を変えてくるのかもしれないが、激戦が続くチャンピオンズリーグ予選リーグや国内リーグの合間に行われるという日程上の問題も前々から懸念されていたこと。
できれば欧州勢からすれば、日程の「前倒し」も希望されるところかもしれない。