iPS細胞を用いたパーキンソン病治療 治験で“有効性” 京都大 NHK 2025年4月17日 0時04分
パーキンソン病の患者の脳にiPS細胞から作り出した細胞を移植する新たな治療法を開発している京都大学の研究チームは、7人の患者を対象にした治験の結果、安全性と有効性が示されたと発表しました。治験に協力した製薬会社は今後、国に製造・販売の承認申請を行うことにしています。
パーキンソン病は、「ドーパミン」という神経の伝達物質を作り出す脳の細胞が失われることで、手足が震えたり体が動かなくなったりする難病で、国内にはおよそ25万人の患者がいるとされています。
主に薬の投与や電極を脳に埋め込むなどの治療が行われていますが、現在、根本的に治療する方法はありません。
京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授らの研究チームは、ヒトのiPS細胞から作ったドーパミンを作る神経細胞を患者の脳に移植することで症状の改善を目指した治験の結果を発表しました。
治験では、50歳から69歳の男女7人の患者の脳に500万個または1000万個の細胞を移植し、すべての患者で健康上の大きな問題は見られなかったということです。
このうち6人について2年間にわたり経過を調べたところ、いずれの患者でも移植された細胞からドーパミンが作り出されていることが確認されたということです。
また、症状の程度を調べる検査では6人のうち4人で運動機能の改善が見られたということで、研究チームは「安全性と有効性が示された」としています。
治験に協力した大阪の製薬会社、住友ファーマはこのデータをもとに国に製造・販売の申請を行うことにしています。
高橋教授は「細胞移植で症状が改善するというのは研究者にとっては革命的だ。国の承認を得て一日も早く患者に治療を届けたい」と話していました。
患者や家族からは新治療法に期待の声
パーキンソン病の患者やその家族からは、iPS細胞を用いた新たな治療法への期待の声が聞かれました。
京都市のパーキンソン病患者と家族で作る団体は、定期的に治療に関する情報交換や新たな治療法に関する勉強会などを行っています。
患者の妻の66歳の女性は「夫が発症してから長い年月がたち、転倒することも増えことばも出づらくなっている。iPS細胞を使った治療法が出てきたのは家族にとって新たな希望だ。ずっと待っていた」と期待を寄せていました。
一方、75歳の患者の男性は「治験でいい結果が出たことは大歓迎だし、先生方の努力は大変ありがたいが、患者全員が治療を受けられるのだろうか」と話していました。
全国パーキンソン病友の会京都府支部の岡田孝支部長は「夢のようです。画期的な治療法で早くなんとかしてほしいと思うだけです。若い人ほど効果のある治療法だとも聞いていますが、パーキンソン病は高齢の患者が多いので、いずれすべての患者に効果があるような治療法になればと期待しています」と話していました。
専門家 “服薬の回数減や生活の質の向上期待”
今回の治験の結果について、パーキンソン病に詳しい順天堂大学の服部信孝特任教授は「治療の新たな選択肢になるかもしれないという点で患者にとっては朗報だと思う。この治療法が確立されれば、服薬の回数を減らしたり、場合によっては服薬をなくしたりすることができるかもしれないし、患者にとっては寝ているときの状態がよくなったり、飲み忘れのおそれが減ったりすることで、QOL=生活の質の向上が期待できる」と話しています。
そのうえで、「治験の結果を見るとすべての患者が劇的によくなっているわけではないが、高い効果が見られた患者もいる。より早い段階で移植をすると、症状が長期にわたって安定する可能性があるが、今後、どういった患者に効果があるのかを検証する必要がある。今回の治験では効果を調べた患者が少なく、まだ分からない点も少なくないので、より効果的な方法を明らかにすることも必要だ」と話していました。
【詳しく】患者の運動機能改善
今回の治験は7人の患者に対して行われましたが、1人については安全性のみの確認で、治療の効果が調べられたのは6人です。
患者の運動機能がどのくらい改善したかを確かめるために、パーキンソン病患者の症状の程度を評価する国際的な指標の一つが使われました。
この指標は、しゃべるときのことばがはっきりしているかどうかや、いすから立ち上がるときに支えが必要かどうかなどの項目についてそれぞれ0から4までの5段階で評価するもので、症状が重いほど数字が大きくなります。
パーキンソン病の治療薬の効果が切れた状態で運動機能の検査を行った結果、2年が経過した時点で6人中4人の数値が改善し、中には32ポイント改善したという大きな効果が見られた人もいました。
4人のうち2人は症状の程度の区分が「中等症」から「軽症」に、1人は「重症」から「中等症」に改善したということです。
一方、2人は数値が数ポイント悪化しましたがこれは同じ期間、薬で治療を受けていた人と同じ程度の悪化だったということです。
研究チームによりますと、大幅な改善が見られた患者は年齢が比較的若く、症状の程度が軽かったということで、研究チームはこの治療について「若くて重症度の低い患者に適していると考えられる」としています。
京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授は「最適な投与量やどのような患者に効果が期待できるかという方向性も見えてきたので非常に意義のある結果だと考えている」としたうえで、「初めてのヒトでの治験なので、症状が重かったり年齢が高かったりする患者に少なめの細胞を移植することから始めている。今後、より効果が期待できる患者を対象にして移植する細胞を増やすなどして段階を踏んでいくことで最終的には細胞移植だけで十分な量のドーパミンが補われて、薬が必要なくなるようになることを目指したい」と話しています。
パーキンソン病の患者の脳にiPS細胞から作り出した細胞を移植する新たな治療法を開発している京都大学の研究チームは、7人の患者を対象にした治験の結果、安全性と有効性が示されたと発表しました。治験に協力した製薬会社は今後、国に製造・販売の承認申請を行うことにしています。
パーキンソン病は、「ドーパミン」という神経の伝達物質を作り出す脳の細胞が失われることで、手足が震えたり体が動かなくなったりする難病で、国内にはおよそ25万人の患者がいるとされています。
主に薬の投与や電極を脳に埋め込むなどの治療が行われていますが、現在、根本的に治療する方法はありません。
京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授らの研究チームは、ヒトのiPS細胞から作ったドーパミンを作る神経細胞を患者の脳に移植することで症状の改善を目指した治験の結果を発表しました。
治験では、50歳から69歳の男女7人の患者の脳に500万個または1000万個の細胞を移植し、すべての患者で健康上の大きな問題は見られなかったということです。
このうち6人について2年間にわたり経過を調べたところ、いずれの患者でも移植された細胞からドーパミンが作り出されていることが確認されたということです。
また、症状の程度を調べる検査では6人のうち4人で運動機能の改善が見られたということで、研究チームは「安全性と有効性が示された」としています。
治験に協力した大阪の製薬会社、住友ファーマはこのデータをもとに国に製造・販売の申請を行うことにしています。
高橋教授は「細胞移植で症状が改善するというのは研究者にとっては革命的だ。国の承認を得て一日も早く患者に治療を届けたい」と話していました。
患者や家族からは新治療法に期待の声
パーキンソン病の患者やその家族からは、iPS細胞を用いた新たな治療法への期待の声が聞かれました。
京都市のパーキンソン病患者と家族で作る団体は、定期的に治療に関する情報交換や新たな治療法に関する勉強会などを行っています。
患者の妻の66歳の女性は「夫が発症してから長い年月がたち、転倒することも増えことばも出づらくなっている。iPS細胞を使った治療法が出てきたのは家族にとって新たな希望だ。ずっと待っていた」と期待を寄せていました。
一方、75歳の患者の男性は「治験でいい結果が出たことは大歓迎だし、先生方の努力は大変ありがたいが、患者全員が治療を受けられるのだろうか」と話していました。
全国パーキンソン病友の会京都府支部の岡田孝支部長は「夢のようです。画期的な治療法で早くなんとかしてほしいと思うだけです。若い人ほど効果のある治療法だとも聞いていますが、パーキンソン病は高齢の患者が多いので、いずれすべての患者に効果があるような治療法になればと期待しています」と話していました。
専門家 “服薬の回数減や生活の質の向上期待”
今回の治験の結果について、パーキンソン病に詳しい順天堂大学の服部信孝特任教授は「治療の新たな選択肢になるかもしれないという点で患者にとっては朗報だと思う。この治療法が確立されれば、服薬の回数を減らしたり、場合によっては服薬をなくしたりすることができるかもしれないし、患者にとっては寝ているときの状態がよくなったり、飲み忘れのおそれが減ったりすることで、QOL=生活の質の向上が期待できる」と話しています。
そのうえで、「治験の結果を見るとすべての患者が劇的によくなっているわけではないが、高い効果が見られた患者もいる。より早い段階で移植をすると、症状が長期にわたって安定する可能性があるが、今後、どういった患者に効果があるのかを検証する必要がある。今回の治験では効果を調べた患者が少なく、まだ分からない点も少なくないので、より効果的な方法を明らかにすることも必要だ」と話していました。
【詳しく】患者の運動機能改善
今回の治験は7人の患者に対して行われましたが、1人については安全性のみの確認で、治療の効果が調べられたのは6人です。
患者の運動機能がどのくらい改善したかを確かめるために、パーキンソン病患者の症状の程度を評価する国際的な指標の一つが使われました。
この指標は、しゃべるときのことばがはっきりしているかどうかや、いすから立ち上がるときに支えが必要かどうかなどの項目についてそれぞれ0から4までの5段階で評価するもので、症状が重いほど数字が大きくなります。
パーキンソン病の治療薬の効果が切れた状態で運動機能の検査を行った結果、2年が経過した時点で6人中4人の数値が改善し、中には32ポイント改善したという大きな効果が見られた人もいました。
4人のうち2人は症状の程度の区分が「中等症」から「軽症」に、1人は「重症」から「中等症」に改善したということです。
一方、2人は数値が数ポイント悪化しましたがこれは同じ期間、薬で治療を受けていた人と同じ程度の悪化だったということです。
研究チームによりますと、大幅な改善が見られた患者は年齢が比較的若く、症状の程度が軽かったということで、研究チームはこの治療について「若くて重症度の低い患者に適していると考えられる」としています。
京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授は「最適な投与量やどのような患者に効果が期待できるかという方向性も見えてきたので非常に意義のある結果だと考えている」としたうえで、「初めてのヒトでの治験なので、症状が重かったり年齢が高かったりする患者に少なめの細胞を移植することから始めている。今後、より効果が期待できる患者を対象にして移植する細胞を増やすなどして段階を踏んでいくことで最終的には細胞移植だけで十分な量のドーパミンが補われて、薬が必要なくなるようになることを目指したい」と話しています。





