goo

タヌキ姉妹

隣市にあるタヌキの実家に行った。
仏壇に手を合わせる。タヌキの両親の懐かしい顔があった。

待ち合わせていたタヌキの姉夫婦も来た。
子どもたちのこと、旅行のことなどで話が盛り上がる。

やがて帰ろうとそれぞれの車に乗り込む。
その時、「忘れ物!」と言って、実家を継いでいる義弟が眼鏡を持ってきた。
それは、タヌキの姉のものであった。
「ほんと、姉はおっちょこちょいなのだから。」とタヌキ。

親父の運転で国道に出たとき、タヌキの携帯が鳴った。
実家にもう一つ眼鏡の忘れ物があるという。
「あっ、わたしも忘れた。」
急いで実家に引き返す。
姉が忘れたときに、なぜ自分のことに気が付かないのだろうか。
タヌキは、「家に帰り着く前でよかった」と、あくまでもプラス思考だ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

タヌキのスリッパ作戦

今日は土曜日なのに、よっぱらい親父は仕事なのだ。

起床して、いつものようにトイレに行く。
しかし、トイレのドアの前にタヌキのスリッパがある。
先客だ。
親父は耐える。結構我慢強いのだ。
こういうときに複数のトイレが必要なのだ。
築35年の我が家には、ここしかない。

いつもは早いタヌキの用足しが長い。
中で倒れているのか。・・・コンコンとたたいてみる。
反応なし。
もう親父も限界に近い。

失礼ながら、ドアを開いた。・・・誰もいない。
その時、玄関の方から声がした。
「お父さん、何してるの。遅れるよ。」
顔が笑っている。
トイレの前にスリッパを置くな。
そう言いたいが、心の広い親父は黙ってトイレに入った。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

タヌキに見つめられた親父

いつものように「ただいま」と家に帰る。

「腹が減ったよ。今日も暑かったね。」と言う。
タヌキは、そのことに返事もせず、黙って親父を見つめるようにのぞき込む。

「何をしげしげと見ているのだ。」と言うと、「それだからなあ。」と顔が曇る。
「ほら」と、自分の頭を指さして「美容院に言ったのに、気づかないの。」と言う。

「ああ、そうね。」と言った時は遅く、「どうせ私には関心ないのね。」とふくれた。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )