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2018.4 桂離宮/太鼓橋を渡り茶屋風の賞花亭、水辺に建つ持仏堂の園林堂、船着場と笑意軒を見る

2018年09月09日 | 旅行

2018.4 京都を歩く 2日目 ⑧桂離宮/賞花亭 園林堂 笑意軒

桂離宮/賞花亭 園林堂 笑意軒
 庭園内の道の多くは砂利敷き飛び石切石敷きである。砂利敷きは平らな道、飛び石は傾斜のある道、切石は平坦地に多いように感じたが、築庭者の演出もあるようだ。
 松琴亭から飛び石を踏みながら進むと、入り江になる。向こうの島には、木造で、緩やかなカーブの太鼓橋を渡る(写真、web転載)。
 橋の踏面は横木で段々になった砂利敷である。砂利は、踏まれるたびにシャリシャリといった音を出す。
 築庭者は、砂利敷きでシャリシャリという足音を聞かせ、きびきびした雰囲気をつくろうとしているのかも知れない・・もっとも25人の参観者がぞろぞろ歩いているから、シャキシャキよりもジャッジャッといった音になっている・・。杖をついた老婦人は苦労しながら渡っていたが、私は足音も楽しんだ。


 この島は池の中では最も大きく、しかも小高い築山になっていて、一番高いところに賞花亭が建っている。
 橋を渡り、飛び石を踏み、斜面の飛び石を上ると、茅葺き切妻屋根、皮付き丸太柱の開放的な賞花亭に出る(写真、web転載)。峠の茶屋を見立てたつくりだそうだ。
 コの字型の畳を敷いた腰掛けがあり、開口は竹を組んだだけの吹き放しで、庭園を回遊し、茶屋で一息といった趣向である。小高い立地なので庭を見下ろすことができる。一方の裏手=南側は樹林に覆われていて、深山=比叡山?の中腹から池=琵琶湖?を眺める気分であろうか。

 飛び石は不規則な並びで、形もいびつなので、ゆっくり下る。足を止めると、新緑の植え込みのあいだの石の手水鉢や石の灯籠、石の五重塔が目に入る。植え込みだけで仕上げると単調になりすぎるから、来訪者の目を楽しませるために石のデザインがさりげなく配置されたようだ。

 賞花亭から飛び石を下り水辺に出ると、池の向こうの古書院に渡る木造+砂利敷きの太鼓橋が架かっている。参観者は庭を回遊するのでこの橋は渡らず、水辺を左に進む。
 視点が少し移動すると、書院群の全景が見えてくるが、木立でところどころが隠されている(写真、web転載)。築庭者は、松琴亭で見た書院、賞花亭で見た書院、そして目の前の書院を頭の中で重ね合わせないと全景が想像できないような仕掛けを楽しんでいるようだ。

 水辺に園林堂が建っている(写真)。もともとは持仏堂で、本瓦葺き方形屋根に唐破風の向拝を付け、漆喰壁に花頭窓を設け、回廊を回すなど、つくりも寺院風である。
 正面には後水尾天皇宸筆の「園林堂」と書かれた扁額がかかっている。園林堂は第2代智忠親王(1619-1662)による桂山荘復興のときに建てられていたが、第3代隠仁親王(1643-1665)が後水尾天皇(1596-1680)の第11皇子だったから、1663年に桂山荘行幸のときに書いたか、隠仁親王は行幸の2年後に没しているから、夭逝した親王を忍び贈ったのかも知れない。

 園林堂の前の入り江に架かった太鼓橋を渡る(写真、web転載、右が太鼓橋、左が笑意軒)。橋は木造だが踏面は横木で段を付けた砂利敷きである。
 橋が高いので、靴が砂利に食い込みジャーリジャーリと鳴る。杖をついた老婦人は前を娘?、後をガイドが支えて渡った。
 橋が高いのは築庭者のデザインというより、この橋の下にを通すためである。賞花亭と古書院のあいだに架かった太鼓橋は渡らなかったので気づかなかったが、同じく船を通すために橋高の太鼓橋になっていたようだ。


 太鼓橋を渡った左が船着場があり、船着場に面して笑意軒が建っている(写真前掲)。池は曲線で構成され、海、湖、川を連想させる浜辺、岸辺の自然な形でデザインされていたが、船着場は船を着けるために直線である。
 その向こうに立つ笑意軒は茶室ながら、農家をイメージさせる茅葺き寄棟屋根に、庭に大きく伸ばした庇を回している。

 庇下の縁先の壁には6つの丸窓が設けられている(写真、web転載)。窓は縦横に竹が組んであるが、少しずつ組み方が異なっている。一説には丸の大きさも違うらしいがそこまでは分からなかった。
 縁先の飛び石も大きさ、形、高さが異なる。庇を支える丸柱も自然のままである。格式から離れ、自由気ままな気分を空間化したようだ。

 後ろ側=南側の先には田んぼが広がっていて、部屋からのんびりと野良の風景を楽しんだそうだ。
 眺める貴人はのんびりした気分になれるだろうが、貴賤の身分がある限り、見られる農民は気分が鬱積してしまうのではないだろうか。気ままさのデザインにとどめておくべきだと思う。

コメント
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