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2004年、福島県旧舘岩村における村民の主体的な村づくりを建築学会に報告

2016年01月22日 | studywork

2016.1.22  2004年 「村人の環境資産の多面的価値の掘り起こしと複合的な連携による村づくり」日本建築学会2004大会協議会
 福島県旧舘岩村の萱葺き曲屋の保全活用による観光立村については、このブログでも何度か紹介した。
 当然ながら、村人の主体的な活動が曲屋の保全活用を後押しし、観光立村に発展したのである。
 日々の暮らしがある。その日々の暮らしのなかで、曲屋保全活用を始めとする観光立村の活動がなされているのである。
 決して無理をしてはいけないし、過大な投資をしてはいけない。日々の暮らしのペースのなかで活動するから長続きするのである。
 そうした活動の内容と成果を広く知ってもらおうと、2004年度日本建築学会大会協議会で、「村人の環境資産の多面的価値の掘り起こしと複合的な連携による村づくり」と題して報告した。
 骨子は、1 前置き&農山漁村における環境資産の多面的価値の評価
 2 環境資産活用の推進を担保した福島県舘岩村の環境美化条例
 3 環境資産活用の第1歩、核となる曲家集落の文化的価値の認識と維持・醸成の動き
 4 環境資産活用の第2、多様な環境要素の複合的連携の推進
 5 終わりに・住民の住民による環境資産の掘り起こしと活用が決め手
である。詳細はホームページを参照されたい。
 
 4 環境資産活用の第2、多様な環境要素の複合的連携の推進から、一部を転載する。
 観光立村であるから、大勢の来訪者が訪れて成功となる。多くの来訪者は自然環境や茅葺き曲屋や温泉などを目当てに来るが、来訪者が増えれば増えるほど、村民は日々の暮らしをのぞかれることになる。
 舘岩村は、この課題の解決に曲家を移築、資料館として公開することを選択した。生活の場である曲家集落を目で楽しんだ来訪者は、曲家資料館でかつての曲家での暮らしを追体験することができる。
 家の中をのぞかれ、一歩外に出るたびに来訪者から質問攻めにあっていた集落の人々は、曲家資料館の出現で自らの暮らしに専念できることになり、手が空けば来訪者に話しかけられるゆとりが生まれてきた。
 資料館は、集落の人々のプライバシー保護と来訪者の環境資産理解に効果を発揮したのである。
 村は、この立地を活かして橋のたもとの空地を駐車場として整備し、奥にもう1棟の曲家を移築して、そば処とした。
 舘岩村はもともと裁ち蕎麦といわれるつなぎを使わずコシのある蕎麦が有名である。前沢集落の東にはかつての養蚕時代の名残で桑畑が広がっていたが、村はここをそば畑に作りかえることにし、さらにそば処開設を助成したのである。
 曲家集落を楽しんだ来訪者は、舘岩川の風に吹かれながら移築された曲家のそばを味わい、十分に気持ちを豊かにすることができた。曲家集落の資産価値は、曲家資料館に加えてそば処曲家、そしてそばによっても高まっていった。
 
 日々の生活をベースに、環境資産を活用して付加価値を高めたことが観光立村を成功に導いた一つと確信している。

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