浦安中年期外伝

カミさんを師匠に修行中の週末の料理やポタリング、読み散らしてている本の事など

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恐怖の報酬

2006-07-03 23:44:02 | 映画な日々
数字があわなくって今日は帰りが遅くなってしまった。

先般から肩の具合があまり良くない。右腕を回すと肩甲骨の内側がひどくグキグキと鳴る。

更に回したりしてると腕全体と指先までが痺れてしまう。指先の痺れは長時間たっても取れなかったりするのだが、こりゃ、単なる老化なのか、それとも何か対策を打つべきなのか、深く悩んでいる、今日この頃である。

ところで先程、弟からのメールで連絡があった。仙台で映画を自主上映する企画を進めているらしい。

その一環で映写技師の方を探していたら、かなり高齢の方を紹介されたんだそうだ。メールの本題はその人と話をしていたら、その昔、戦災復興記念館で「恐怖の報酬」のフィルムを回した人だったと云うのだ。

「恐怖の報酬」?

そうそう観に行った、行ったね。勿論それは、1953年にアンリ=ジョルジュ・クルーゾー(Henri-Georges Clouzot)が撮った方ね。

記憶では、そのちょっと前にウィリアム・フリードキンがリメイク(こっちは1977年の作品だ。)を観てた。

シャンパンゴールドのポルシェとか、強盗のシーンとか、印象の強い映画でもあった。そしてトラックの顔。これが夢に出てくる程強烈な顔をしてた。

更にすげ~のは音楽。「タンジェリン・ドリーム」でしたからね。「タンジェリン・ドリーム」だよ。「タンジェリン・ドリーム」。
おどろおどろしい事、この上ない。ジャケットの絵を拾ったのでここに紹介しよう。どうゆう訳かヘッドライトが片目でボンネットの脇についているその具合がなんとも気色悪い事。訳もなく。趣味悪いのだ。只管。

さすが「エクソシスト」の監督だけあって全編に渡り、何か画面には映らない何者かに対する目線というか、なんか「居る」感じが満ちている感じだった。そうそう、これ、面白かったんよ。とても。

そんな訳で、どうしても大本が観たいと思っていたのだった。そしたら、これがまた、なんと映画の方が自分の方にやって来た。というのが戦災復興記念館でのリバイバル上映だったのだ。この機会を逃してどうする。

あの白黒のフィルムの銀幕での映画上映を暗闇で「観る」機会を得たという事ははっきり言って「自慢」である。そしてそれはやはり素晴らしい体験であった。

アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの作品の方はあくまで「人」。実際本当に恐ろしいのは人間であるという前提がそこにはあって、これがもの凄く怖い訳。

金に目がくらんで、それこそ欲望に突き動かされて行く人の怖さだったね。

リメイクはリメイクとして、それなりに健闘したハズだったが、やはり大本の影に回る運命なのは仕方ない。それぐらいの出来であったんよ。

で、なんでこんな話しかと云うとメールで弟はこの映画には僕が連れて行ってくれたと云うような事を言ってくれた。彼は僕と一緒に行った「恐怖の報酬」をはじめとするマニアックな映画によって、人生が変わったと思ってくれているのだ。

僕の方はそもそも自分が観たくて行ってた訳なので、誰かに何かをしてあげたなんて意識はまるでなかったし、一緒に行った事自体も言われるまで忘れてた。

思い返すと確かに二人で一緒に行ったよね。開館早々の戦災復興記念館に。場所も良く判らないまま二人で歩いた記憶があるよ。

そして学んだ事、映画はそれを理解し、楽しむ事、雰囲気、匂いを記憶する事、それが人生だよな。学んだのは僕も一緒だったのだ。

貰ったメールにはほんと正直個人的には非常に「感動したっ!」の一言。それにつきる。ありがとう。

しかし、弟の人生を変えたもの、それは僕の力ではなく。映画が本来持っている力であろう。本来、映画は人の人生を変える力を持ってるものだ。

何より人生の楽しみを映画に見出した事について、おめでとう。
そして自主上映会の成功を陰ながら応援させて頂きます。

そして数十年前の思い出をポンと出して来た映写技師のおじいさん。すげーぞ。じいさん!じーさんにもありがとう。いつまでも元気でね。

これぞ、映画の力じゃない?!って思うけど、如何でしょうか~。皆さん~。